HOME » 屋根材の種類と特徴 » 【屋根の葺き直し費用相場 全解説】工事はいくら?葺き替えとの違いから、費用を抑える賢いコツまで

「最近、屋根の瓦がズレてきたように見える…」
「雨漏りはまだしていないけど、築30年。そろそろ本格的なメンテナンスが必要なのかな?」
「屋根のリフォームは高額なイメージがあるけれど、できるだけ費用は抑えたい…」

日本の伝統的な瓦屋根の住まいにお住まいの方で、このようなお悩みや疑問を抱えている方は少なくないでしょう。
そんな方にこそ、ぜひ知っていただきたいのが、「葺き直し(ふきなおし)」という、非常に賢く、そして経済的な屋根のメンテナンス方法です。

「葺き替え(ふきかえ)」という言葉と響きが似ているため混同されがちですが、その内容は全く異なります。この「葺き直し」を正しく理解し、適切なタイミングで実施することで、大切な住まいの寿命を延ばしつつ、リフォーム費用を何十万円も節約することが可能になるのです。

この記事では、そんな「葺き直し」工事の費用相場を徹底的に深掘りします。

  • 「葺き替え」との決定的な違いと、リアルな費用相場
  • 見積書を100%理解するための詳細な工事内訳
  • 工事費用を賢く抑えるための具体的なテクニックと、利用できる制度

など、葺き直しを検討する上で知っておくべき全ての情報を網羅しました。ぜひ最後までお読みいただき、あなたの住まいに最適な屋根リフォーム計画を立てるための一助としてください。

そもそも「葺き直し」とは?「葺き替え」との決定的な違いを理解する

まず、最も重要なポイントである「葺き直し」と「葺き替え」の違いを、明確に理解しておきましょう。この違いを把握することが、費用や工事内容を正しく比較検討するための出発点となります。

比較項目葺き直し葺き替え
工事のコンセプト既存の瓦を再利用し、劣化した下地(防水シートなど)だけを新しくする既存の屋根材をすべて撤去・処分し、屋根材も下地も丸ごと新しくする
対応できる屋根材基本的に瓦屋根のみ可能(特に陶器瓦)すべての屋根材で可能
最大のメリット費用が安い(屋根材購入費・処分費が不要)
・廃材が最小限で環境に優しい
・愛着のある瓦の見た目を維持できる
・屋根を軽くして耐震性を向上できる
・屋根のデザインや色を一新できる
・下地の問題を根本的に解決できる
デメリット・屋根は軽くならない(耐震性は向上しない)
・瓦自体の劣化が激しいと実施できない
費用が高い
・大量の廃材が発生する

つまり、葺き直しとは「まだまだ元気な瓦は主役として再登板させ、本当に傷んでいる縁の下の力持ち(下地)だけをリフレッシュさせる」という、非常に合理的でサステナブルな工事なのです。

より詳しく知りたい方は
下記よりお問い合わせください。

フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)

葺き直し工事の費用相場は「70万円~110万円」が目安

では、本題である葺き直し工事の費用相場を見ていきましょう。
一般的な戸建て住宅(屋根面積80㎡程度)の場合、瓦屋根の葺き直し工事にかかる費用の総額は、およそ70万円~110万円が相場となります。

これに対し、屋根材ごと新品に交換する「葺き替え」工事の場合は、130万円~150万円程度が相場です。葺き直しであれば、高価な新しい屋根材の購入費用と、古い屋根材の処分費用が丸々かからないため、葺き替えに比べて数十万円単位で費用を抑えることが可能です。

【重要】費用を左右する「野地板」の健全性

同じ葺き直し工事でも、費用に数十万円の幅があるのはなぜでしょうか。その最大の要因は、瓦の下に隠れている屋根の下地「野地板(のじいた)」の状態にあります。

野地板の状態工事内容費用相場の目安(総額)
健全な場合既存の野地板はそのまま使用し、防水シートのみを新しく張り替える。70~90万円
劣化が進んでいる場合既存の野地板が傷んでいるため、その上から新しい野地板(構造用合板)を重ねて張る「増し張り」を行う。90~110万円

特に、過去に雨漏りの経験があったり、築30年以上一度もメンテナンスをしていなかったりする場合は、野地板が湿気で傷んでいる可能性が高く、増し張りが必要になるケースが多くなります。これは瓦を剥がしてみないと分からない部分のため、見積もり段階では両方のパターンを想定しておくと安心です。

※上記費用はあくまで目安です。工事には別途、足場代(約20万円前後)が必要となります。

葺き直し費用の詳細な内訳を完全理解!見積書のチェックポイント

業者から提示された見積書を正しく読み解くために、葺き直し工事にどのような費用が含まれているのか、その内訳を詳しく把握しておきましょう。

項目費用の目安内容とチェックポイント
足場設置費600~1,500円/㎡安全な作業のために法律で設置が義務付けられている仮設足場の費用。「足場代無料」を謳う業者には要注意。
既存瓦の撤去・保管費用に含まれることが多い瓦を一枚一枚割らないように丁寧に剥がし、工事中に敷地内で一時的に保管する手間賃。
下地清掃・撤去費3,000~6,000円/㎡瓦の下にある古い防水シートや瓦桟(かわらざん)、葺き土(ふきつち)などをすべて撤去・清掃する費用。
野地板増し張り<br>(必要な場合)2,000~4,000円/㎡傷んだ野地板の上に、強度のある新しい構造用合板を張る費用。見積もりに含まれているか確認。
防水シート(ルーフィング)500~1,500円/㎡雨漏りを防ぐ最重要部材。耐用年数が長い改質アスファルトルーフィングなどがおすすめ。製品名が明記されているかチェック。
瓦桟(かわらざん)設置費用に含まれることが多い瓦を引っ掛けるための木材(桟木)を新しく設置する費用。水が抜けるよう加工された「防災瓦桟」が望ましい。
瓦の再設置(葺き工事)費用に含まれることが多い保管していた瓦を、新しい下地の上に葺き直していく作業費。ガイドライン工法に準じた釘やビスでの固定が必須。
棟の積み直し費用に含まれることが多い屋根のてっぺん部分(棟)を新しく作り直す費用。漆喰の詰め直しも含まれる。
諸経費工事全体の5~15%現場管理費、交通費、廃材運搬費、保険料、業者の利益など。内訳が不明瞭な場合は質問しましょう。

葺き直し工事はどんな屋根でもできる?その条件とは

費用を大きく抑えられる魅力的な葺き直し工事ですが、残念ながらどんな屋根でも実施できるわけではありません。葺き直しが可能かどうかは、主に屋根材の種類によって決まります。

葺き直しができるのは「陶器瓦(粘土瓦)」だけ

原則として、葺き直し工事ができるのは、非常に優れた耐久性を持つ「陶器瓦(粘土瓦)」だけです。
陶器瓦は、粘土を高温で焼き固めて作られており、その寿命は50年以上、半永久的とも言われます。塗装も不要なため、瓦自体は健全なまま、その下にある防水シート(寿命20~30年)だけが先に劣化する、というケースが非常に多いのです。この場合に、葺き直しは最適なメンテナンス方法となります。

葺き直しができない屋根材

  • セメント瓦、モニエル瓦
    瓦自体の寿命が30~40年で、10~20年ごとの塗装も必要なため、下地が傷む頃には瓦本体も寿命を迎えています。また、現在は生産が中止されており、補修用の新しい瓦が入手困難なため、葺き替えが基本となります。
  • スレート、金属屋根(ガルバリウム鋼板など)
    これらの屋根材は、一度剥がすと釘穴の再利用ができなかったり、圧力で変形・破損してしまったりするため、再利用ができません。メンテナンスの際は、上から新しい屋根材を被せる「カバー工法」か「葺き替え」となります。

葺き直し工事の費用を少しでも安くする5つのコツ

見積書 屋根修理

高額になりがちな屋根のリフォーム。少しでも費用を抑え、賢く工事を行うために、ぜひ知っておきたい5つのポイントをご紹介します。

1.【必須】相見積もりで適正価格を知る

屋根工事に定価はありません。同じ工事内容でも、業者によって金額は大きく異なります。必ず3社以上の専門業者から見積もりを取り、各項目の単価や工事内容を比較検討しましょう。これだけで数十万円の差が出ることも珍しくありません。

2. 自治体の補助金・助成金をフル活用する

お住まいの自治体によっては、住宅リフォームに補助金が使える場合があります。特に、耐震性や防災性能を高めるための工事(2022年から義務化されたガイドライン工法に準じた葺き直しなど)は、補助金の対象になりやすいです。契約前に自治体のホームページを確認するか、業者に相談してみましょう。

3.【自然災害が原因なら】火災保険の適用を検討する

経年劣化は対象外ですが、台風や強風、雹(ひょう)、大雪などの自然災害が原因で瓦がズレたり破損したりし、葺き直しが必要になった場合は、火災保険が適用される可能性があります。「数年前の大きな台風の後から、瓦のズレが気になりだした」といった場合は、一度、契約している保険会社に相談してみる価値があります。

4. 部分的な葺き直しという選択肢

「予算的に全体の工事は厳しいが、雨漏りしている箇所だけは何とかしたい」という場合は、原因となっている箇所だけを部分的に葺き直すことも可能です。ただし、他の部分も同様に劣化している可能性が高く、あくまで応急処置的な意味合いが強いことを理解しておく必要があります。長期的に見ると、全面工事を一度に行う方が結果的に割安になることが多いです。

5.「瓦工事の専門会社」に直接依頼する

屋根工事の業者には、「塗装」「板金」「瓦」など、それぞれ得意な専門分野があります。瓦の葺き直しは、瓦の特性や施工方法を熟知した「瓦工事会社」や「かわらぶき技能士」が在籍する会社に直接依頼するのが、適正価格で高品質な工事をしてもらうための最も確実な方法です。

まとめ:葺き直しは、瓦屋根の価値を未来に繋ぐ賢いメンテナンス

今回は、瓦屋根の「葺き直し」工事の費用相場について、その内訳から費用を抑えるコツまで、詳しく解説しました。

  • 葺き直しとは、まだ使える瓦は再利用し、劣化した下地だけを新しくする、エコで経済的な工事方法。
  • 費用相場は70万円~110万円程度で、屋根材ごと交換する「葺き替え」よりも数十万円安く済む。
  • 費用は、瓦の下にある「野地板」の劣化状態で大きく変動する。
  • 葺き直しができるのは、基本的に耐久性の高い「陶器瓦」の屋根だけ。
  • 相見積もりや補助金・火災保険の活用で、費用負担をさらに軽減できる可能性がある。

ご自宅の瓦がまだ十分に使える状態であれば、葺き直しは屋根の寿命を延ばし、愛着のある景観を保ち続けるための非常に有効な選択肢です。この記事を参考に、まずは信頼できる専門業者に屋根の状態を正確に診断してもらい、ご自宅に最適なメンテナンス計画を立ててみてはいかがでしょうか。

クイック屋根工事

私たちクイック屋根工事は、日本全国で建物の屋根を中心に、あらゆるリフォーム工事を手がけています。

【累計6,000件以上の施工実績】

屋根葺き替えや屋根カバー工事、屋根塗装、防水工事から、雨樋の修理、内装工事まで幅広い工事に対応。独自の全国派遣ネットワークにより、迅速な対応が可能です。各地で培った経験をもとに、地域の気候や建築様式に適した最適な修理方法をご提案いたします。

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弊社では、厳しい加盟条件を満たした専門修理業者をご紹介します。すべての業者が「一級建築士」「屋根工事技士」などの資格を持つ専門家による監修のもと、豊富な経験を活かした施工を行います。

【お客様の声】

「兵庫県姫路市で屋根修理をお願いしましたが、親切な対応と確かな技術で大満足です!」(50代・女性)
「雨漏りが気になっていましたが、しっかりと原因を特定し、丁寧に施工していただきました」(40代・女性)

屋根やお家のリフォームのことなら、お気軽にご相談ください。

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