HOME » 屋根修理を依頼する前に » 屋根の形状 » 【風に強い屋根の形 完全ガイド】寄棟・切妻・片流れを徹底比較!台風に負けない家づくりの秘訣と最強の組み合わせをプロが解説
寄棟 屋根

「これから家を建てるなら、どんな自然災害にも負けない、とにかく風に強い家にしたい」
「家のデザインを考えているけど、屋根の形って、見た目だけで選んでしまって本当に大丈夫?」
「よく見る『切妻屋根』は、台風に弱いって聞いたけど本当?一番強い形は何?」

毎年のように日本列島を襲い、その勢力を年々増しているかのように感じられる大型台風や竜巻などの突風。その猛烈な風の力に、家のどの部分が最も耐えなければならないか…それは間違いなく、建物の最前線に立つ「屋根」です。

そして、その屋根の耐風性能を、実は設計段階で大きく左右している要素こそが、屋根の「形(形状)」であることは、意外と知られていません。

屋根の形は、単なるデザインや見た目の問題ではありません。風がどう当たり、どう流れ、どういう力が加わるのかを決定づける、建物の安全性を根本から左右する重要な「空力設計」なのです。

この記事では、そんな「風に強い屋根の形」に徹底的にフォーカスし、

  • なぜ屋根の形で、風への強さが劇的に変わるのか?その科学的な理由
  • 【徹底比較】代表的な屋根形状「寄棟」「切妻」「片流れ」を耐風性でランキング!
  • 【新設】意外な伏兵?「入母屋」「陸屋根」の知られざる耐風性能
  • 屋根の形と合わせて考えたい「勾配」と「軒の出」の最適なバランス
  • 最強の組み合わせは?風に強い屋根材とのベストマッチを考察

まで、台風や強風に負けない、本当に安心できる家づくりのための知識を、初心者の方にも分かりやすく、そしてどこよりも詳しく解説していきます。

なぜ屋根の形で風への強さが変わるのか?その科学的な理由

まず、なぜ屋根の形で風への強さがこれほどまでに変わるのでしょうか。
それは、風が建物に当たると、その進路を妨げられた風が建物周辺で複雑な流れを生み出し、屋根の各面に「正圧(押す力)」と「負圧(吸い上げる力)」という、相反する力を同時に発生させるからです。

  • 正圧(押す力): 風が直接ぶつかる面(風上側)に発生します。屋根材を内側に押し込もうとする力です。
  • 負圧(吸い上げる力): 風が屋根のてっぺん(棟)や軒先を通り過ぎる際に発生する、屋根材を外側へ引き剥がそう、持ち上げようとする力(揚力)です。飛行機の翼が浮き上がるのと同じ原理で、屋根が飛ばされる被害の最大の原因となります。

風に強い屋根の形とは、この破壊的な「正圧」と「負圧」を、特定の面に集中させることなく、建物全体でバランス良く受け流し、力を分散させることができる形なのです。

より詳しく知りたい方は
下記よりお問い合わせください。

フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)

【徹底比較】風に強い屋根の形ランキング!寄棟・切妻・片流れ、最強はどれ?

日本家屋 瓦屋根

それでは、日本の住宅でよく見られる代表的な3つの屋根形状を、耐風性能という観点からランキング形式で比較していきましょう。

【第1位】寄棟(よせむね)屋根:全方位からの風を受け流す、最強の安定形状

寄棟
出展:https://tekisei-research.com/yosemuneyanetoha.html
  • 形状の特徴
     屋根のてっぺんから4つの方向に傾斜面を持つ、どっしりとした重厚感と安定感のある形。
  • なぜ風に強いのか
    どの方向から強風が吹いても、必ず傾斜した屋根面が風を受け止め、その力をスムーズに上方や左右へと巧みに受け流します。風が直角にぶつかる「壁」のような面が存在しないため、破壊的な風圧が特定の場所に集中することがありません。建物全体でバランス良く力を分散できる、構造的に最も耐風性に優れた形状と言われています。
  • メリット: 全方位からの風に強く、外壁を雨風から保護する効果も高い。
  • デメリット: 構造が複雑なため、シンプルな切妻屋根に比べて建築コストが高くなる傾向がある。屋根面が交わる「隅棟(すみむね)」や「谷」が多くなるため、雨仕舞(雨漏り対策)に高い施工技術が求められる。

【第2位】切妻(きりづま)屋根:最もポピュラーだが、建物の「向き」が運命を分ける

切妻屋根
  • 形状の特徴
    本を開いて伏せたような、2方向に傾斜面を持つ、日本の住宅で最も多く見られるシンプルで象徴的な形。
  • 耐風性の評価
    傾斜面に対して平行に風が吹く場合は、風がスムーズに流れ、大きな力はかかりません。しかし、問題は、屋根がかかっていない妻側(つまがわ)の壁面に風が直角に当たった場合です。この壁面が風圧をまともに受け止め、さらにその風が軒先から吹き上げることで、屋根全体に強烈な「吹上力」が発生します。
    決して風に弱いわけではありませんが、建物を建てる向きと、その地域で卓越する風向き(季節風や台風の主な進路など)を考慮した設計が、その強度を大きく左右します。
  • メリット: 構造がシンプルでコストを抑えやすい。雨漏りのリスク箇所が比較的少ない。
  • デメリット: 風向きによっては、大きな風圧を受ける弱点を持つ。

【第3位】片流れ(かたながれ)屋根:デザイン性は高いが、構造的には最も風に不利

片流れ屋根
  • 形状の特徴
    一方向にのみ傾斜を持つ、シャープでモダンなデザインが近年人気の形。
  • なぜ風に弱いのか
    屋根の面が一面しかないため、風を受ける面積が非常に大きくなります。特に、屋根の高い方の壁面から風を受けると、その風は屋根面に沿って加速し、屋根のてっぺん(棟)と低い方の軒先で非常に強い負圧(吸い上げる力)を発生させます。屋根全体が巨大な翼のようになり、吹き上げられるような強い揚力が働くため、非常に危険です。デザイン性を重視する反面、構造的には最も風に不利な形状と言え、採用する場合は強固な構造計算と、極めて高い耐風性能を持つ屋根材の選択が必須となります。
  • メリット: デザイン性が高く、屋根裏スペースを広く確保できる。太陽光パネルを効率よく設置できる。
  • デメリット: 風圧の影響を非常に受けやすい。

意外な伏兵?「入母屋」「陸屋根」の知られざる耐風性能

入母屋 屋根

代表的な3形状以外にも、特徴的な屋根の形があります。

  • 入母屋(いりもや)屋根: 上部が切妻、下部が寄棟という複合的な形状で、日本の伝統的な格式高い建築に見られます。構造が複雑で、切妻と寄棟の弱点を併せ持つため、接合部が多く、強風時には雨漏りのリスクも高まります。耐風性は高いとは言えません。
  • 陸屋根(ろくやね): 傾斜のないフラットな屋根。屋上として利用できるメリットがあります。傾斜がないため風圧は受けにくいですが、屋根の縁にある「パラペット」と呼ばれる立ち上がり部分に強い負圧がかかり、防水層が剥がされてしまう被害が多く報告されています。

屋根の形だけじゃない!耐風性を左右する「勾配」と「軒の出」という名脇役

風に強い屋根を考える上で、屋根の形とセットで必ず考慮すべき、2つの重要な要素があります。

1. 屋根の勾配(こうばい):最適な傾斜の角度とは?

屋根の勾配(傾斜の角度)は、緩やかであるほど風の抵抗を受けにくくなります。しかし、あまりに緩やかすぎると、今度は雨水の流れが悪くなり、雨漏りのリスクが高まってしまいます。特に強風時には、雨水が屋根材の隙間から逆流しやすくなります。
雨漏り対策と耐風性の両方を考慮すると、4寸勾配(約21.8度)から6寸勾配(約31.0度)程度が、日本の多雨多風の気候において最もバランスの取れた角度とされています。

2. 軒の出(のきので):長すぎても短すぎてもダメな屋根の出っ張り

軒(のき)とは、外壁から外側に突き出している屋根の部分です。軒には、外壁を雨や紫外線から守るという重要な役割がありますが、この出っ張りが長すぎると、下から吹き上げる風をまともに受けてしまい、屋根全体を持ち上げる「吹上力」を増大させてしまいます。
かといって、近年のデザイン住宅のように軒の出が全くないと、今度は外壁が直接雨風にさらされ、劣化や雨漏りのリスクが高まります。45cm~90cm程度の適切な長さの軒を設けることが、意匠性と機能性を両立させるポイントです。

【最強の組み合わせは?】風に強い「形」× 風に強い「屋根材」

防災瓦

風に強い屋根の形を選んだとしても、その表面を覆う屋根材が脆弱で、簡単に剥がれてしまっては意味がありません。屋根の形と屋根材、両方の対策を組み合わせることが、真に風に強い屋根を実現する鍵となります。

  • 風に強い屋根材の絶対条件
    それは「屋根材自体が、釘やビスなどの固定具で、下地に一枚一枚しっかりと緊結されていること」です。
  • おすすめの最強の組み合わせ
    • 寄棟屋根 × 防災瓦: 形状と屋根材の両方で最高の耐風性を実現。重厚感と絶対的な安心感を両立した、まさに「要塞」のような組み合わせです。
    • 切妻屋根 × 金属屋根(ガルバリウム鋼板): 最もポピュラーでコストを抑えやすい形状に、軽量で固定力抜群の金属屋根を組み合わせることで、コストと耐風性能のバランスを高いレベルで実現できます。

まとめ:風に強い家づくりは、屋根の「形」という設計思想から始まる

今回は、「風に強い屋根の形」をテーマに、それぞれの形状が持つ耐風性能の違いや、その科学的な理由について詳しく解説しました。

  • 屋根の耐風性は、風の力をいかに分散・受け流せるかで決まる。
  • 最も風に強い形は、4面で力をバランス良く分散する「寄棟屋根」。
  • 最もポピュラーな「切妻屋根」は、風向きによって弱点が生まれるため、建物の向きが重要。
  • モダンな「片流れ屋根」は、構造的に最も風に不利なため、採用する際は強固な対策が必須。
  • 屋根の「勾配」や「軒の出」といった細部の設計も、耐風性を大きく左右する。
  • 風に強い「形」と、下地にしっかり固定された「屋根材」を組み合わせることが、最強の台風対策となる。

屋根の形は、一度建ててしまうと二度と簡単には変えられません。これから家を建てる方、あるいは大規模なリフォームを検討している方は、ぜひデザイン性やコストだけでなく、「防災性」という、家族の安全に直結する観点から屋根の形を選んでみてください。それが、予測不能な自然災害から、あなたと家族の暮らしを末永く守るための、最も賢明で確実な第一歩となるでしょう。

クイック屋根工事

私たちクイック屋根工事は、日本全国で建物の屋根を中心に、あらゆるリフォーム工事を手がけています。

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