HOME » 外装関連工事・リフォーム » 太陽光発電 » 【太陽光発電と屋根勾配】勾配で太陽光の発電量は変わる?理想の角度と、急勾配のメリット・デメリット
片流れ 太陽光

「太陽光発電を設置するなら、一番効率の良い屋根の角度って何度?」
「うちの屋根の勾配(こうばい)でも、ちゃんと発電できるのかな?」
「急勾配だと発電量は増える?それとも不利になる?」

太陽光発電の導入を検討する際、パネルの性能や価格と並んで非常に重要になるのが、設置する屋根の「勾配(こうばい)」、つまり傾斜角度です。

太陽光パネルは、太陽光が直角に当たる時に最も効率よく発電します。しかし、太陽の高さは季節によって刻一刻と変化するため、「常に完璧な角度」を保つことはできません。
だからこそ、年間を通して最も発電量が多くなる「最適な屋根勾配」を知っておくことが、太陽光発電の成功を左右する重要な鍵となるのです。

この記事では、太陽光発電と屋根勾配の関係に特化して、

  • 日本国内での「理想の屋根勾配」とは?
  • 【地域別】あなたの街に最適な屋根勾配は何度?
  • 「急勾配」や「緩勾配」のメリット・デメリット
  • 屋根の方角(南・東・西)で最適な勾配は変わるのか?

などを、太陽光発電が初めての方にも分かりやすく、とことん丁寧に解説します。この記事を読めば、屋根勾配が発電量に与える影響が完全に理解でき、ご自宅の屋根のポテンシャルを最大限に引き出すための知識が身につきます。

1. 太陽光発電における「理想の屋根勾配」とは?

結論から言うと、日本国内の多くの地域において、太陽光発電で年間を通して最も効率よく発電できる屋根勾配は「30度(約6寸勾配)」前後と言われています。

これは、太陽の高さが低くなる冬場でも効率よく太陽光を受けつつ、太陽が高くなる夏場でも発電量が落ち込みすぎない、年間を通じたバランスの取れた角度だからです。

屋根勾配の単位「寸」とは?

建築業界では、屋根の勾配を角度(°)ではなく「寸(すん)」で表すのが一般的です。水平に10寸(約30.3cm)進んだときに、垂直に何寸上がるかを示します。

屋根勾配角度(目安)特徴
3寸勾配約16.7°緩やかな勾配
4寸勾配約21.8°日本の住宅で多い標準的な勾配
5寸勾配約26.6°やや急な勾配
6寸勾配約31.0°太陽光発電に理想的な勾配
10寸勾配45.0°急勾配

日本の一般的な住宅の屋根勾配は4寸~6寸が多いため、多くの家が太陽光発電に適した角度に近いと言えます。

より詳しく知りたい方は
下記よりお問い合わせください。

フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)

2.【地域別】あなたの街の「最適勾配」は何度?

「理想は30度」と述べましたが、厳密には、その土地の緯度によって最適な勾配は少しずつ変わります。緯度が高い(北の)地域ほど太陽の南中高度が低くなるため、より急な勾配が最適になります。

主要都市最適な屋根勾配(角度)近い寸勾配
北海道(札幌)34.8°7寸勾配
宮城県(仙台)34.5°7寸勾配
東京都(八王子)33.0°6.5寸勾配
愛知県(名古屋)32.5°6寸勾配
大阪府(大阪)29.2°5.5寸勾配
鹿児島県(鹿児島)27.7°5寸勾配
沖縄県(那覇)17.6°3寸勾配

(データ引用元:NEDO日射量データベース

このように、北へ行くほど急勾配、南へ行くほど緩勾配が最適になる傾向があります。

勾配が最適じゃないと、発電量は大きく減る?

「うちの屋根は4寸勾配だから、全然ダメなのかな…」と心配になるかもしれませんが、ご安心ください。
下のグラフは、東京において、最適な勾配(30度)の場合を100%として、勾配が変わると発電量がどう変化するかを示したものです。

ご覧の通り、勾配が10度~50度の広い範囲で、発電量は95%以上を維持しています。
つまり、屋根勾配が多少「最適」からズレていても、発電量に致命的な差が生まれるわけではないのです。勾配よりも、次に解説する「方角」の方が、発電量への影響は大きいと言えます。

3.「急勾配」や「緩勾配」の屋根に設置するメリット・デメリット

片流れ屋根

では、一般的な勾配から外れる「急勾配」や「緩勾配」の屋根に太陽光発電を設置する場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

急勾配(6寸以上)の屋根

メリットデメリット
◎ 雪が積もりにくく、自然に滑り落ちやすい(雪国で有利)× 設置・メンテナンス費用が高くなる(屋根足場が必要)
〇 汚れが雨で流れ落ちやすい× 風を受ける面積が広くなり、耐風性で不利になる

緩勾配(3寸以下)の屋根

メリットデメリット
〇 設置・メンテナンス費用が比較的安い× 雪や落ち葉が溜まりやすい
× 雨水が滞留しやすく、雨漏りリスクがやや高まる

ポイント

急勾配の屋根は、工事の際に安全を確保するための「屋根足場」が別途必要になるため、設置費用や将来のメンテナンス費用が割高になります。太陽光発電のためだけに、あえて急勾配にするメリットは少ないと言えるでしょう。

4. 方角も重要!東・西向きの屋根に最適な勾配とは?

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これまで解説してきた「最適勾配」は、屋根が「真南」を向いている場合の話です。
もし、屋根が東向きや西向きの場合、最適な勾配は変わってきます。

結論から言うと、東・西向きの屋根は、勾配が「緩やか」な方が有利です。

  • 理由:
    東向きの屋根は午前中に、西向きの屋根は午後に主に発電します。もし勾配が急すぎると、発電しない時間帯に太陽が真上や反対側に来てしまい、太陽光を全く受けられなくなってしまいます。勾配を緩やかにすることで、日中のより広い時間帯で太陽光を受けられるようになり、年間のトータル発電量が増加するのです。

5. まとめ:屋根勾配は神経質になりすぎなくて大丈夫!

今回は、太陽光発電と屋根勾配の関係について解説しました。

  • 太陽光発電の理想の屋根勾配は、日本全国で見ると「30度(約6寸)」前後。
  • ただし、緯度によって最適な勾配は少しずつ異なる(北ほど急、南ほど緩やか)。
  • 勾配が多少ズレても発電量への影響は軽微。10度~50度の範囲なら95%以上を維持。
  • 急勾配の屋根は、工事費用が割高になるデメリットがある。
  • 東・西向きの屋根は、勾配が緩やかな方が発電に有利。

「うちの屋根は勾配が理想と違うから…」と、太陽光発電の導入を諦める必要は全くありません。
最も重要なのは、ご自宅の「屋根勾配」と「方角」を正確に把握した上で、信頼できる専門業者に詳細な発電量シミュレーションを依頼することです。
予想以上に多くの発電量が得られるケースも少なくありません。まずは専門家による無料診断で、あなたの家の屋根のポテンシャルを調べてみてはいかがでしょうか。

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