HOME » 屋根修理・雨漏り » 屋根カバー工法 » 【費用別】その瓦棒屋根、カバー工法の価格はいくら?費用内訳と安く抑えるコツをプロが解説
トタン屋根 費用

「古いトタンの瓦棒屋根、サビが目立ってきた…」
「リフォームしたいけど、なるべく費用は抑えたい」

昔ながらの金属屋根である「瓦棒葺き(かわらぼうぶき)」。築年数が経ち、メンテナンスを検討している方も多いのではないでしょうか。そんな時、有力な選択肢となるのが、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根を被せる「カバー工法」です。

葺き替えよりも費用を抑えられ、工期も短いことから人気の工法ですが、瓦棒葺き屋根のカバー工法には、スレート屋根などとは違う特有の工程があり、価格も変わってきます。

この記事では、「瓦棒葺き屋根のカバー工法」にかかるリアルな価格相場と、その費用の詳しい内訳、そして葺き替えとどちらがお得なのかまで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。

そもそも「瓦棒葺き屋根のカバー工法」とは?

トタン屋根葺き替え

瓦棒葺き屋根は、屋根面に等間隔で「瓦棒(心木)」と呼ばれる木材が設置され、凸凹しているのが特徴です。このままでは新しい屋根材を安定して設置できないため、カバー工法を行うには以下の手順が一般的です。

  1. 【重要工程】野地板(構造用合板)の増し張り
    既存の瓦棒屋根の上から、厚さ12mm程度の頑丈な板(野地板)を張り、屋根全体を平らな下地にします。これが瓦棒葺きカバー工法の鍵となる工程です。
  2. 防水シート(ルーフィング)の設置
    平らになった野地板の上に、雨漏りを防ぐための防水シートを敷き詰めます。
  3. 新しい屋根材の設置
    防水シートの上に、ガルバリウム鋼板などの軽量な金属屋根材(主に立平葺き)を施工して完成です。

この「①野地板の増し張り」という工程が、平らなスレート屋根のカバー工法にはない追加作業となり、価格に影響します。

より詳しく知りたい方は
下記よりお問い合わせください。

フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)

瓦棒葺きカバー工法のリアルな価格相場と詳細な内訳

一般的な30坪(屋根面積80〜100㎡)の住宅で、瓦棒葺き屋根にカバー工法を行う場合の総額の費用相場は、約80万円~150万円です。

この金額がどのように構成されているのか、具体的な見積もり例を見てみましょう。

【見積もり例:30坪(80㎡)の切妻屋根の場合】

費目単価(目安)数量金額(目安)備考
足場設置・解体一式150,000円安全な作業に必須
【追加費用】野地板増し張り3,100円/㎡80㎡248,000円瓦棒屋根の凸凹を平らにする
防水シート(ルーフィング)900円/㎡80㎡72,000円雨漏りを防ぐ最後の砦
新規屋根材(ガルバリウム鋼板)6,600円/㎡80㎡528,000円軽量で高耐久な屋根材
棟板金・役物工事一式150,000円屋根の頂点や端の処理
諸経費一式100,000円運搬費、現場管理費など
合計(税抜)1,248,000円
合計(税込)1,372,800円

※上記はあくまで一例です。屋根の形状や劣化状況、使用する材料のグレードによって価格は変動します。

カバー工法の価格を左右する3つのポイント

見積もり額は、主に以下の3つの要素で大きく変わります。

ポイント1:屋根の形状(シンプルか、複雑か)

同じ面積でも、屋根の形状によって必要な役物(棟板金など)の長さや加工の手間が変わるため、価格に差が出ます。

  • 切妻屋根(きりづまやね):面が2つのシンプルな形状。役物が少なく、費用は安くなる傾向
  • 寄棟屋根(よせむねやね):面が4つ以上ある複雑な形状。棟や隅棟が多くなるため、費用は高くなる傾向

ポイント2:選ぶ屋根材のグレード(断熱材の有無)

カバー工法で人気のガルバリウム鋼板には、裏側に断熱材が一体となった高機能な製品があります。

  • 通常タイプ:価格は標準的。
  • 断熱材一体型タイプ:材料費は高くなりますが、夏の暑さや冬の寒さを和らげる断熱効果や、雨音を軽減する遮音効果が期待できます。

ポイント3:下地の劣化状況【最重要】

カバー工法が選択できるのは、既存の屋根下地(野地板)が健全であることが大前提です。
もし、雨漏りなどによって下地が腐食している場合、その上から新しい屋根を被せても意味がありません。その場合は、カバー工法は選択できず、次に説明する「葺き替え工事」が必要になります。

「カバー工法」vs「葺き替え」価格とメリットを徹底比較

瓦棒屋根のリフォームでは、「葺き替え」という選択肢もあります。どちらがご自宅にとって最適か、価格と特徴を比較してみましょう。

比較項目カバー工法葺き替え工事
工法既存屋根の上に新しい屋根を被せる既存屋根をすべて撤去し、新しい屋根を葺く
費用相場(30坪)80万~150万円100万~180万円
メリット葺き替えより価格が安い
・工期が短い(約5日~)
・断熱性、遮音性が向上する
下地の腐食も根本的に解決できる
・最も確実で長持ちする
・屋根が軽くなる
デメリット・下地が傷んでいると施工できない
・屋根の重量が少し増える
・価格が高い
・工期が長い
・廃材が出る

【結論】どちらを選ぶべき?

  • 下地の状態が良い(雨漏りなどがない)場合
    → 費用を抑えられる「カバー工法」がおすすめです。
  • 下地が傷んでいる(雨漏りがある)場合
    → 根本的な解決ができる「葺き替え工事」が必須です。

瓦棒葺きカバー工法の価格を賢く抑えるコツ

  1. 建築板金業者に直接依頼する
    ハウスメーカーや総合リフォーム会社に依頼すると、下請けの板金業者に発注するため中間マージンが発生します。地元の建築板金業者に直接依頼できれば、費用を抑えられる可能性があります。
  2. 外壁塗装と同時に行う
    屋根工事には必ず足場が必要です。足場代は約15万~30万円かかります。もし外壁塗装も検討しているなら、同時に行うことで足場代を1回分に集約でき、大幅な節約になります。
  3. 相見積もりを取る
    必ず3社程度の業者から見積もりを取り、価格と工事内容を比較しましょう。これにより、適正価格が分かり、信頼できる業者を選ぶことができます。

まとめ

瓦棒葺き屋根のリフォームにおいて、カバー工法は非常に有効な選択肢です。

  • 価格相場:30坪の住宅で約80万円~150万円が目安。
  • 価格のポイント:凸凹を平らにするための「野地板増し張り」費用が追加でかかる。
  • 最適な選択下地の状態が工事方法(カバー工法か葺き替えか)を決める最大の判断基準。

古い瓦棒葺き屋根のメンテナンスで最も重要なのは、まず専門家に見てもらい、見えない下地の状態を正確に診断してもらうことです。その上で、ご自宅の状況と予算に合った最適なリフォーム方法を選択しましょう。

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