HOME » 外装関連工事・リフォーム » 外壁リフォーム » 【コーキング】コーキングの増し打ち|費用は安いが条件あり!打ち替えとの違いをプロが伝授

「外壁塗装の見積もりで、『コーキング増し打ち』と『打ち替え』があるけど、何が違うの?」
「増し打ちの方が安いけど、うちの壁でも大丈夫?」

外壁のサイディングボードの継ぎ目(目地)を埋める「コーキング(シーリング)」。この部分のメンテナンスには、「増し打ち」と「打ち替え」という2つの方法があります。

見積書を見ると、「増し打ち」の方が安いため魅力的に感じますが、実はこの工法は誰の家でもできるわけではなく、特定の条件を満たした場合にのみ選択できる方法なのです。

もし、この条件を知らずに安易に増し打ちを選ぶと、数年で劣化が再発し、結局高くついてしまうという失敗に繋がりかねません。

この記事では、そんな「コーキングの増し打ち」について、

  • そもそも「増し打ち」と「打ち替え」は何が違うのか?
  • 増し打ちが可能な2つの絶対条件
  • なぜサッシまわりは増し打ちが多いのか?
  • 費用はどれくらい違うのか?

などを、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。正しい知識で、ご自宅に最適なメンテナンス方法を選びましょう。

そもそも「増し打ち」と「打ち替え」は何が違う?

まず、2つの工法の違いを明確に理解しましょう。

① 打ち替え:古いコーキングを”全て撤去”して新しくする【基本の工法】

「打ち替え」は、カッターなどを使って劣化した古いコーキングを完全に除去し、プライマー(接着剤)を塗布した後、新しいコーキング材を充填する方法です。
コーキングを根本からリフレッシュするため、最も耐久性が高く、コーキングメンテナンスの基本となる工法です。

② 増し打ち:古いコーキングの”上から重ねる”【例外的な工法】

「増し打ち」は、既存の古いコーキングを撤去せず、その上から新しいコーキング材を重ねて充填する方法です。
古いコーキングを剥がす手間がかからないため、工期が短く、費用も安くなります。しかし、あくまで劣化したコーキングの上から被せるだけなので、耐久性は打ち替えに劣ります。

【打ち替え vs 増し打ち 比較表】

打ち替え(基本)増し打ち(例外的)
工事内容古いコーキングを全撤去古いコーキングの上に重ねる
耐久性・寿命高い低い
費用高い安い
工期長い短い
適した場所サイディングの目地など、撤去可能な場所サッシまわりなど、物理的に撤去が難しい場所

より詳しく知りたい方は
下記よりお問い合わせください。

フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)

【最重要】コーキングの「増し打ち」が可能な2つの絶対条件

外壁 サイディング

ここが最も重要なポイントです。増し打ちで十分な性能を発揮させるためには、以下の2つの条件を両方とも満たしている必要があります。

条件①:既存のコーキングに、ひび割れなどの深刻な劣化がないこと

増し打ちは、あくまで「まだ機能している古いコーキング」の上に新しい層を重ねることで、延命を図る工法です。
もし、既存のコーキングがすでにひび割れていたり、硬化して弾力性を失っていたり、サイディングから剥がれていたりする場合、その上から新しいコーキングを重ねても意味がありません。劣化した下地(古いコーキング)の動きに追従できず、新しいコーキングもすぐに剥がれてしまうからです。

条件②:新しいコーキングの厚みを「10mm以上」確保できること

コーキング材が防水性や伸縮性といった性能を十分に発揮するためには、最低でも10mm(1cm)の厚みが必要であると、各コーキングメーカーが定めています。

サイディングの目地には、奥に「ハットジョイナー」や「バックアップ材」という部材が入っており、目地の深さは無限ではありません。
例えば、2008年以前に多く使われた厚さ12mmのサイディングの場合、目地の深さは7mm程度しかありません。この上に増し打ちをしても、新しいコーキングの厚みはわずか2mm程度しか確保できず、メーカーが推奨する性能を発揮することは不可能です。

一方、現在の主流である厚さ15mm以上のサイディングであれば、増し打ちでも5mm以上の厚みが確保できるため、選択肢となり得ます。

【結論】

「劣化が軽微」で、かつ「十分な厚みが確保できる」という2つの条件をクリアしない限り、サイディング目地の増し打ちは「安かろう悪かろう」の工事になる可能性が非常に高いと言えます。

なぜ「サッシ(窓)まわり」は増し打ちが多いのか?

外壁 汚れ 洗浄

外壁塗装の見積もりを見ると、「サイディング目地は打ち替え、サッシまわりは増し打ち」と記載されていることがよくあります。これには明確な理由があります。

サッシまわりのコーキングをカッターで撤去する際、誤って奥にある「防水シート(防水テープ)」を傷つけてしまうリスクがあるからです。この防水シートは雨漏りを防ぐ最後の砦であり、もし傷がつけば、そこが新たな雨漏りの原因になってしまいます。

このリスクを避けるため、多くの業者はサッシまわりに関しては、安全策として増し打ちを標準的な工法としているのです。ただし、既存のコーキングが著しく劣化している場合は、リスクを説明した上で慎重に打ち替えを行うべきです。

費用はどれくらい違う?「打ち替え」と「増し打ち」の価格相場

コーキング工事は、施工する長さ(m)で費用が決まります。

工法1mあたりの単価相場30坪住宅での費用目安(約150m)
打ち替え780円~1,200円/m約11.7万~18万円
増し打ち450円~900円/m約6.75万~13.5万円

※上記はコーキング工事単体の費用です。実際には足場代(15万~25万円)などが別途かかります。

打ち替えと増し打ちの価格差は、総額で5万円~7万円程度です。この金額を節約するために、本来打ち替えが必要な箇所を増し打ちにしてしまい、数年後に再工事となっては元も子もありません。目先の安さだけでなく、長期的な視点で判断することが重要です。

まとめ:「原則打ち替え、例外的に増し打ち」が正解!

コーキングのメンテナンスにおいて、最も確実で長持ちする方法は「打ち替え」です。

「増し打ち」は、あくまで

  • サッシまわりなど、物理的に撤去が困難な場所
  • 劣化がごく軽微で、十分な厚みが確保できる場合

といった、例外的な状況でのみ選択すべき工法だと理解しておきましょう。

もし業者からサイディング目地の「増し打ち」を提案された場合は、「なぜ打ち替えではなく、増し打ちで大丈夫なのですか?」と、その理由を明確に質問してみてください。その回答が曖-昧であったり、納得のいくものでなかったりした場合は、注意が必要かもしれません。

コーキングは、外壁の寿命を左右する非常に重要な部分です。正しい知識を身につけ、信頼できる業者と相談しながら、ご自宅に最適なメンテナンス方法を選びましょう。

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