「デザイン性の高い屋根材の色や柄を、そのまま活かして塗装したい…」
「透明なクリヤー塗料で屋根をコーティングできないの?」
レンガ調や石目調のサイディング外壁で人気の「クリヤー(クリア)塗装」。
この透明な塗料を、屋根にも使えたら…と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、結論から言うと、一般的な戸建て住宅の屋根塗装でクリヤー塗料が使われるケースは、ほとんどありません。
この記事では、なぜ屋根にクリヤー塗装があまり使われないのか、その理由と、もし採用する場合にクリアすべき厳しい条件、そして知っておくべきメリット・デメリットを、塗装のプロが初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
- クリヤー塗装が屋根に不向きな「3つの理由」
- 【例外】クリヤー塗装ができる屋根材とその条件
- クリヤー塗料のメリット・デメリットを徹底比較
- もしクリヤー塗装ができない場合の「代替案」
この記事を読めば、クリヤー塗装の正しい知識が身につき、あなたの家の屋根に本当に適したメンテナンス方法が何なのか、自信を持って判断できるようになります。
1. そもそも「クリヤー塗料」とは?透明な塗料の正体
まず、「クリヤー塗料」とは何かを簡単に理解しましょう。
通常の塗料は、「樹脂」「顔料」「添加剤」「溶剤」の4つの成分で構成されています。
| 成分 | 役割 |
|---|---|
| 樹脂 | 塗膜の本体。耐久性や防水性など、塗料の基本性能を決める。(シリコン、フッ素など) |
| 顔料 | 色を付ける成分。サビ止めなどの機能を持つものもある。 |
| 添加剤 | 防カビ剤など、特殊な機能を付加する成分。 |
| 溶剤 | 樹脂を溶かし、塗りやすくするための液体。(水、シンナーなど) |
この中で、色の元となる「顔料」を一切含まないのが「クリヤー塗料」です。
顔料が入っていないため、塗料自体が透明になり、塗装しても下地の色や模様がそのまま透けて見えます。
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2.【最重要】なぜ屋根塗装にクリヤー塗料は不向きなのか?3つの理由
外壁では人気のクリヤー塗装ですが、屋根ではほとんど採用されません。それには、屋根という過酷な環境特有の、明確な理由が存在します。
理由①:クリヤー塗装ができる屋根材が「ほぼ無い」
これが最大の理由です。
クリヤー塗装の最大の目的は「既存のデザインを活かすこと」です。そのため、デザイン性の高いサイディング外壁などで採用されます。
しかし、日本の戸建てで最も普及している屋根材を思い浮かべてみてください。
- スレート(コロニアル)屋根: 基本的に単色で、デザイン性というよりは機能性重視。
- 金属屋根(ガルバリウム鋼板): こちらも単色。クリヤー塗装をしても見た目はほぼ変わらず、サビ止めの観点からも色付き塗料が推奨される。
- セメント瓦: 素材自体に色が付いているわけではなく、表面の塗装で色が付けられている。クリヤー塗装の対象にはならない。
このように、そもそもクリヤー塗装をしてデザインを活かしたい、というニーズのある屋根材がほとんど存在しないのです。
例外:デザイン性の高い特殊な屋根材
一部の高級住宅で採用される「石粒付き金属屋根材(ジンカリウム鋼板など)」は、表面の石粒の風合いを活かすためにクリヤー塗装でメンテナンスを行うことがあります。しかし、これは非常に稀なケースです。
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理由②:屋根の「激しい劣化」に対応できない
クリヤー塗料は透明なため、下地の劣化(色あせ、シミ、汚れ、ひび割れの補修跡など)を隠すことができません。
そのため、クリヤー塗装ができるのは、劣化がほとんど進んでいない築7~10年以内のキレイな状態の外壁に限られます。
しかし、屋根は外壁よりも紫外線や雨風の影響を1.5倍~2倍も強く受ける、家で最も過酷な場所です。築10年も経てば、スレート屋根は色あせ、コケやカビが発生していることがほとんど。
このような劣化した状態の屋根にクリヤー塗装をしても、汚れた見た目がそのまま残るだけで、全くキレイになりません。これでは、高い費用をかけて塗装する意味がありませんよね。
理由③:高い機能性(特に遮熱性)を付与できない
近年の屋根塗装では、夏の暑さ対策として「遮熱塗料」がスタンダードになりつつあります。遮熱塗料は、太陽光を反射する特殊な「顔料」を配合することで、屋根の温度上昇を抑えます。
しかし、クリヤー塗料にはその「顔料」が含まれていません。
そのため、クリヤー塗装では遮熱効果を付与することができず、夏の暑さ対策という大きなメリットを得ることができません。
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3. それでも知っておきたい!クリヤー塗装のメリット・デメリット
屋根には不向きなクリヤー塗装ですが、知識としてメリットとデメリットも押さえておきましょう。
メリット
- デザイン性を損なわない: 最大のメリット。既存の模様や質感をそのまま保護できる。
- チョーキングが発生しない: 劣化すると白い粉が浮き出る「チョーキング現象」は、顔料が原因で起こります。顔料を含まないクリヤー塗料は、この現象が発生しません。(※ただし、塗膜の劣化自体は進みます)
- 新築時のような艶を再現できる: 艶ありのクリヤー塗料を使えば、光沢のある仕上がりになります。
デメリット
- 劣化が進んだ素材には塗装できない: 汚れや色あせ、補修跡を隠せない。
- 付加機能(遮熱など)を持たせられない: 顔料がないため、機能性は樹脂本来の性能に限定される。
- 施工できる業者が限られる: 扱いが難しく、施工実績のある業者が少ない。
4.【プロの提案】クリヤー塗装ができない場合の代替案
「今の屋根のデザインは気に入っているけど、クリヤー塗装は無理そう…どうすれば?」
そんな方には、デザイン性を高めるこんな塗装方法もあります。
代替案:「多彩模様塗装」や「2色塗り分け」
これは、単色で塗りつぶすのではなく、2色以上の色を使って既存の模様に似た風合いを再現する高度な塗装技術です。
例えば、レンガ調の屋根材であれば、ベース色を塗った後に、目地の色を別の色で仕上げる、といった手法です。
クリヤー塗装より費用は高くなりますが、劣化が進んだ屋根でも、新品のようなデザイン性の高い外観を取り戻すことができます。デザインにこだわりたい方は、業者に相談してみる価値はあります。
5. まとめ:屋根塗装にクリヤー塗料は原則「使えない」と考えよう
今回は、屋根塗装におけるクリヤー塗料について解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- クリヤー塗料は「顔料」を含まない透明な塗料。
- 屋根塗装では、以下の理由でほとんど使われない。
- デザインを活かす対象の屋根材がほぼ無い。
- 屋根の激しい劣化を隠せず、キレイに仕上がらない。
- 遮熱などの高機能を付与できない。
- クリヤー塗装ができるのは、ごく一部の特殊な屋根材で、かつ劣化が進んでいない場合に限られる。
- デザイン性を再現したい場合は「多彩模様塗装」という選択肢もある。
結論として、あなたの家の屋根が一般的なスレートや金属屋根である場合、クリヤー塗装は選択肢に入らないと考えるのが賢明です。
それよりも、シリコンやフッ素といった耐久性の高い色付きの塗料を選び、必要であれば遮熱機能などをプラスする方が、お家を長く、快適に守ることができます。
まずは信頼できる塗装業者に屋根の状態をしっかり診断してもらい、最適なメンテナンス方法を提案してもらいましょう。
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