「中古住宅の屋根が『天然スレート』らしいけど、アスベストは大丈夫?」
「仕様書に『石綿スレート』と書いてある。これってアスベスト入りの天然スレートのこと?」
「そもそも、天然スレートとアスベスト含有スレートって何が違うの?」
重厚感と独特の風合いで、東京駅の駅舎にも使われるなど、格式高い建築物に採用される高級屋根材「天然スレート」。
その一方で、過去の建築物で問題となっている「アスベスト(石綿)含有スレート」。
この二つは、名前が似ていることから混同されやすく、「天然スレートにもアスベストが含まれているのでは?」という不安や疑問の声をよく耳にします。
健康に関わる重要な問題だからこそ、その違いを正しく理解しておくことが不可欠です。
この記事では、そんな「天然スレートとアスベスト」の関係に徹底的にフォーカスし、
- 結論:天然スレートにアスベストは含まれるのか?
- 【徹底解説】天然スレートと人工スレート(石綿スレート)の決定的な違い
- なぜ混同される?仕様書の「石綿スレート」表記の謎
- 【新設】写真で見る!本物の天然スレートの見分け方
- もし自宅がアスベスト含有スレートだった場合の正しい対処法
まで、屋根のアスベスト問題でお悩みの方が知っておくべき全知識を、専門家の視点から分かりやすく解説していきます。
【結論】「天然スレート」にアスベストは含まれません
まず、最も重要な結論から申し上げます。
「天然スレート」には、人体に有害なアスベスト(石綿)は一切含まれていません。
天然スレートとは、その名の通り、粘板岩(ねんばんがん)という天然の石を薄くスライスして作られた、100%自然素材の屋根材です。人工的な化学物質や繊維は一切使用されていないため、アスベストが含まれる余地はないのです。
では、なぜ「アスベスト入りの天然スレート」という誤解が生まれるのでしょうか?
その理由は、「天然スレート」と「人工スレート(化粧スレート)」という、全く異なる2つの屋根材が存在するからです。
【徹底解説】天然スレート vs 人工スレート(石綿スレート)決定的な違いとは?
この2つの「スレート」の違いを理解することが、アスベスト問題の核心に迫る鍵となります。
| 比較項目 | 天然スレート | 人工スレート(化粧スレート) |
|---|---|---|
| 主原料 | 天然の石(粘板岩) | セメント |
| 補強材 | なし(石そのもの) | 繊維材料 (過去にアスベストが使用されていた) |
| 特徴 | ・自然な風合いと高級感 ・非常に高耐久(50年以上) ・塗装メンテナンス不要 | ・カラーやデザインが豊富 ・安価で、広く普及している ・定期的な塗装メンテナンスが必要 |
| 重量 | 重い | 軽い |
| 価格 | 非常に高価 | 安価 |
| アスベスト含有 | 一切なし | 2006年以前の製品には含有の可能性あり |
人工スレートになぜアスベストが使われたのか?
人工スレート(化粧スレート)は、主原料であるセメントを薄い板状に固めたものです。しかし、セメントだけでは強度が足りず、すぐに割れてしまいます。
そこで、強度を高めるための補強材として、安価で非常に丈夫な「アスベスト(石綿)」が、1970年代から2000年代初頭にかけて大量に混ぜ込まれていました。
これが、一般的に「石綿スレート」や「アスベスト含有スレート」と呼ばれるものです。
つまり、アスベスト問題が関わってくるのは、セメントを主原料とする「人工スレート」に限った話であり、天然の石である「天然スレート」とは全くの別物なのです。
なぜ混同される?仕様書の「石綿スレート」表記の謎
「天然スレートなのに、仕様書に『石綿スレート』と書いてあるのはなぜ?」
これは、過去の建築業界の慣習による誤記や混同の可能性があります。
- 単なる誤記: 非常に高価で珍しい天然スレートの知識がない担当者が、スレートという言葉から慣習的に「石綿スレート」と記載してしまった。
- 用語の混同: 当時、「スレート屋根」の総称として「石綿スレート」という言葉が広く使われていたため、区別されずに記載された。
もし、ご自宅の屋根が明らかに天然石の風合いを持っているにも関わらず、書類に「石綿スレート」と記載されている場合は、アスベストの心配はほぼないと考えてよいでしょう。不安な場合は、専門業者に写真を見せて判断を仰ぐのが確実です。
より詳しく知りたい方は
下記よりお問い合わせください。
フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)
写真で見る!本物の天然スレートの見分け方
書類だけでは不安な方のために、見た目で判断するポイントをご紹介します。
天然スレートの特徴
- 色と質感: 黒や濃いグレーが基本。一枚一枚の色合いが微妙に異なり、自然な濃淡や石の層(石理)が見える。表面はマットで、独特の重厚感がある。
- 厚みとエッジ: 厚みが不均一で、縁の部分は石を割ったような自然なエッジになっている。
- 代表的な建築物: 東京駅の丸の内駅舎、宮城県雄勝町の硯石を使った伝統建築など。
人工スレート(化粧スレート)の特徴
- 色と質感: 塗装で着色されているため、色が均一。カラーバリエーションが豊富。表面はのっぺりとしている。
- 厚みとエッジ: 工業製品なので、厚みが均一で、縁も直線的にカットされている。
この2つの特徴を比較すれば、専門家でなくても、その違いは一目瞭然です。
もし自宅が「アスベスト含有スレート」だった場合の正しい対処法
万が一、ご自宅の屋根が2006年以前に製造された「人工スレート」であり、アスベスト含有の可能性が高い場合は、適切な対処が必要です。
【重要】
通常の使用状態では、アスベストはセメントの中に固められているため、飛散のリスクは低いとされています。危険なのは、屋根が劣化して割れたり、知識のないままDIYで切断したりした場合です。
| 対処法 | 内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ① 塗装(封じ込め) | アスベストが飛散しないよう、塗料で屋根全体をコーティングする。 | ・最も安価で、工期が短い | ・屋根材自体の寿命は延びない ・将来の解体時には、結局アスベスト処理費用がかかる |
| ② カバー工法 | 既存のアスベストスレートの上に、新しい屋根材(主に金属屋根)を被せる。 | ・アスベストを飛散させずに施工できる ・葺き替えより安価 | ・屋根が二重になり、少し重くなる ・下地の劣化は確認できない |
| ③ 除去(葺き替え) | 法律に則った厳重な管理のもと、アスベストスレートを完全に撤去し、新しい屋根材に交換する。 | ・アスベストを完全に除去でき、将来の不安がなくなる | ・費用が最も高額になる ・専門の処理費用が別途かかる |
アスベスト含有スレートの取り扱いは、法律で厳しく定められており、専門の資格を持つ業者でなければ、解体や処分を行うことはできません。絶対に自分で修理しようとせず、必ず専門業者に相談してください。
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まとめ:天然スレートとアスベストは無関係。正しい知識で不安を解消しよう
今回は、「天然スレートとアスベスト」という、多くの方が混同しがちなテーマについて、その違いと正しい知識を詳しく解説しました。
- 天然スレートは100%天然の石材であり、アスベストは一切含まれていない。
- アスベストが含まれている可能性があるのは、セメントを主原料とする「人工スレート(化粧スレート)」。
- 天然スレートと人工スレートは、見た目の風合いや質感で簡単に見分けることができる。
- 自宅の屋根がアスベスト含有の人工スレートだった場合でも、適切な対処法(塗装・カバー工法・除去)がある。
「スレート」という言葉だけで、すぐに「アスベスト」と結びつけて不安になる必要はありません。ご自宅の屋根がどちらの種類なのかを正しく見極め、それぞれに応じた適切なメンテナンスを行うことが、長く安心して暮らすための鍵となります。
もし判断に迷う場合は、一人で悩まず、信頼できる屋根の専門家に相談することから始めましょう。
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