「屋上の防水工事、シート防水が良いって聞いたけど、種類がたくさんあってよく分からない…」
「塩ビシートとゴムシート、何が違うの?」
「アスファルトシートって、昔ながらの工法?」
建物の屋上やベランダを雨漏りから守るために重要な「防水工事」。その中でも「シート防水」は、工場で生産された均一な品質のシートを貼り付けることで、安定した防水層を形成する信頼性の高い工法です。
しかし、一口に「シート防水」と言っても、実は使用されるシートの素材によっていくつかの種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリット、適した用途が異なります。
この記事では、
「シート防水にはどんな種類があるの?」
「それぞれのシートの特徴や違いを知りたい!」
「うちの建物にはどの種類のシート防水が合っているの?」
「工事を依頼する前に、シート防水の見分け方を知っておきたい!」
といった疑問を解消するため、代表的なシート防水の種類である「塩ビシート防水」「ゴムシート防水」「改質アスファルトシート防水」について、それぞれの特徴、メリット・デメリット、見分け方のポイントまで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します!
シート防水とは?~工場生産による安定した防水性能~
まず、シート防水の基本的な考え方をおさらいしましょう。
シート防水とは、塩化ビニル樹脂や合成ゴム、改質アスファルトなどで作られたシート状の防水材を、屋上やベランダの下地に貼り付けて防水層を形成する工法です。
液状の防水材を塗布して防水層を作る「塗膜防水(ウレタン防水やFRP防水など)」とは異なり、工場であらかじめ一定の厚みと品質に作られたシートを使用するため、現場での仕上がりのばらつきが少なく、安定した防水性能を発揮しやすいのが大きな特徴です。
広い面積でも比較的スピーディーに施工でき、屋上や陸屋根、広いバルコニーなどに多く採用されています。
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シート防水の主な種類とそれぞれの特徴を徹底比較!
シート防水は、使用されるシートの主成分によって、主に以下の3つの種類に分けられます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1. 塩ビシート防水(えんビシートぼうすい)
- 主成分: 塩化ビニル樹脂(Polyvinyl Chloride)
- 特徴
- 現在、シート防水の中で最も主流となっている工法です。
- 紫外線やオゾンに対する耐候性に優れており、耐久性が高いのが特徴です。
- シート自体に様々な色が着色されており、意匠性にも優れています。(トップコートによる着色が不要な場合が多い)
- 耐摩耗性にも優れており、軽歩行程度の使用にも耐えられます。
- シート同士の接合は、熱風融着や溶着剤によって一体化させるため、高い水密性を確保できます。
- 既存の防水層の種類を問わず、上から被せて施工できるため、改修工事にも適しています。
- 耐根性のあるシートを使用すれば、屋上緑化にも対応可能です。
- メリット
- 耐久性・耐候性が高い(耐用年数:10年~20年程度)
- 防水性能が非常に高い
- メンテナンスの手間が比較的少ない(トップコートが基本的に不要な場合が多い)
- 色のバリエーションが豊富
- 改修工事に適している
- デメリット
- ゴムシートに比べて柔軟性がやや劣るため、複雑な形状の場所への施工は技術が必要。
- 施工時に可塑剤の臭いが発生することがある。
- シートが硬化すると柔軟性が失われることがある。
- 主な工法
- 接着工法: 下地に接着剤を塗布し、塩ビシートを貼り付ける工法。
- 機械的固定工法(絶縁工法): 下地に固定ディスク(金具)を取り付け、そのディスクに塩ビシートを熱風で融着させる工法。下地の影響を受けにくく、既存防水層の上に施工しやすい。
- 見分け方のポイント
- ゴム弾性がなく、伸縮性はあまりない。
- 表面は無地、または一定の間隔で円形の模様(機械的固定工法のディスク盤の跡)がある場合がある。
- 出隅や入隅にパッチ(補強シート)が貼り付けられていることが多い。
- シートの継ぎ目は4cm程度の重なりで、熱融着や溶剤溶着されている。
塩ビシート防水の概要
| 特徴項目 | 詳細 |
|---|---|
| 主成分 | 塩化ビニル樹脂 |
| 耐用年数 | 10年~20年程度 |
| メリット | 高耐久・高耐候、高防水性、メンテ手間少、カラー豊富、改修向き |
| デメリット | 複雑形状は技術要、施工時臭いの可能性、硬化の可能性 |
| 主な工法 | 接着工法、機械的固定工法 |
| 単価目安 | 密着工法:5,500円~/㎡、機械固定工法:6,500円~/㎡ |
| 見分け方 | ゴム弾性なし、円盤跡の可能性、パッチ処理、継ぎ目4cm程度 |
2. ゴムシート防水(ゴムシートぼうすい)
- 主成分: 合成ゴム(加硫ゴム、EPDMなど)
- 特徴:
- かつてはシート防水の主流でしたが、現在は塩ビシートにその座を譲りつつあります。
- 非常に伸縮性に優れており、下地の動きや振動によく追従します。そのため、建物の動きが大きい木造住宅の屋根や、地震時の揺れにも比較的強いとされています。
- 比較的安価で施工できます。
- シート自体は黒色であることが多いですが、保護のために表面にトップコートを塗布することが一般的です。
- メリット
- 伸縮性が高く、下地の動きに追従しやすい(ひび割れしにくい)
- 材料費が比較的安価
- 軽量で建物への負荷が少ない
- デメリット
- 塩ビシートに比べて紫外線やオゾンに対する耐久性がやや劣る場合がある。
- シート同士の接合は接着剤で行うため、施工精度が重要。
- 鋭利なものによる損傷(鳥害など)に弱い場合がある。
- 複雑な形状への施工は、シートの裁断や接着技術が必要。
- 保護トップコートの定期的な塗り替えが必要(5~8年ごとが目安)。
- 主な工法
- 接着工法: 下地に接着剤を塗布し、ゴムシートを貼り付ける工法。
- 見分け方のポイント
- ゴム特有の弾性がある。
- 表面に細かい凹凸がある場合がある。
- シート自体は黒色で、その上にシルバーやグレーなどのトップコートが塗装されていることが多い。(稀にシート自体が着色されたカラーゴムシートもあるが、これにはトップコートは塗れない)
- シートの継ぎ目は10cm程度の重なりで接着されている。
ゴムシート防水の概要
| 特徴項目 | 詳細 |
|---|---|
| 主成分 | 合成ゴム |
| 耐用年数 | 10年~15年程度 |
| メリット | 高伸縮性、比較的安価、軽量 |
| デメリット | 耐久性やや劣る場合あり、接合部の施工精度重要、鳥害等に注意、要トップコート塗り替え |
| 主な工法 | 接着工法 |
| 単価目安 | 5,000円~6,000円/㎡ ※材料・施工費含む、下地処理・トップコート別途の場合あり |
| 見分け方 | ゴム弾性あり、表面細かい凹凸の可能性、黒色シート+トップコート、継ぎ目10cm程度 |
3. 改質アスファルトシート防水(かいしつアスファルトシートぼうすい)
- 主成分: アスファルトに合成ゴムや樹脂を添加して性質を改良(改質)したもの。
- 特徴:
- 「シート防水」という名称がついていますが、一般的には「アスファルト防水」の一種として扱われることが多いです。
- アスファルト防水の持つ高い防水信頼性を維持しつつ、施工性や耐久性を向上させた工法です。
- シートの裏面が粘着層になっている「常温粘着工法(冷工法)」や、シートの裏面をトーチバーナーで炙りながら貼り付ける「トーチ工法」があります。これにより、従来のアスファルト防水(熱工法)のような大きな溶融釜や強い臭気を伴う作業を軽減できます。
- メリット:
- 防水信頼性が非常に高い。
- 耐久性に優れる(耐用年数:12年~20年程度)。
- トーチ工法などは比較的工期が短い。
- デメリット:
- 他のシート防水に比べて重量がある。
- 複雑な形状への施工は難しい場合がある。
- トーチ工法は火気を使用するため、安全管理が重要。
- 表面保護のためのトップコートが必要な場合がある。
- 主な工法:
- トーチ工法: シート裏面のアスファルト層をトーチバーナーで溶かしながら下地に貼り付ける。
- 常温粘着工法(冷工法): シート裏面の粘着層を利用して貼り付ける。
- 見分け方のポイント
- 表面に砂状の保護材(砂付ルーフィングなど)が付着していることが多い。
- シートの継ぎ目から溶けたアスファルトがはみ出している場合がある(トーチ工法)。
- 溶剤を染み込ませたウエスで表面をこすると、ウエスが褐色になる。
改質アスファルトシート防水の概要
| 特徴項目 | 詳細 |
|---|---|
| 主成分 | 改質アスファルト |
| 耐用年数 | 12年~20年程度 |
| メリット | 高防水信頼性、高耐久性、トーチ工法は工期短縮 |
| デメリット | 重量あり、複雑形状は不向きな場合あり、トーチ工法は火気使用、要トップコートの場合あり |
| 主な工法 | トーチ工法、常温粘着工法 |
| 単価目安 | トーチ工法:5,500円~/㎡ ※材料・施工費含む、下地処理・トップコート別途の場合あり |
| 見分け方 | 表面に砂状保護材、継ぎ目からアスファルトのはみ出し、溶剤でこすると褐色 |
より詳しく知りたい方は
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フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)
どのシート防水を選べばいい?~建物と目的に合わせた選択のポイント~
「結局、どのシート防水が良いの?」と迷ってしまいますよね。最適なシート防水を選ぶためには、以下のポイントを考慮しましょう。
- 既存の防水層の種類と状態
- 改修工事の場合、既存の防水層の種類や劣化状況によって、適したシート防水や工法が変わってきます。
- 建物の種類と構造
- 木造か鉄筋コンクリート(RC)造か、戸建てかマンション・ビルかなど、建物の構造や規模によって適したシートは異なります。例えば、動きの大きい木造には伸縮性の高いゴムシートや、下地の影響を受けにくい機械的固定工法の塩ビシートなどが考えられます。
- 屋上・ベランダの使用状況
- 人が頻繁に歩行する場所か、あまり使用しない場所かによって、求められる耐摩耗性などが変わります。
- 形状の複雑さ
- 室外機や配管などの障害物が多い、凹凸が多いなど、複雑な形状の場所には、シート防水よりも塗膜防水の方が適している場合もあります。シート防水の中では、比較的柔軟なゴムシートや、加工しやすい塩ビシートが選択肢となります。
- 求める耐久年数と予算
- 各シート防水の耐用年数と初期費用、そして将来的なメンテナンスコストを総合的に比較し、予算と照らし合わせて選びましょう。
- 例えば、長期的なメンテナンスの手間を減らしたい場合は、耐久性が高くトップコートが不要な場合もある塩ビシートが有利かもしれません。初期費用を抑えたい場合はゴムシートが選択肢に入ります。
- 施工業者の得意な工法
- シート防水は、種類や工法によって施工の難易度が異なり、専門的な技術と経験が必要です。特に塩ビシート防水は技術力が求められると言われています。
- 依頼する業者が、どの種類のシート防水を得意としているか、施工実績が豊富かを確認することも重要です。
シート防水のメンテナンス方法:長持ちさせる秘訣
どの種類のシート防水を選んだとしても、その性能を長期間維持するためには、適切なメンテナンスが不可欠です。
- ドレン(排水口)の定期的な清掃: 落ち葉やゴミが詰まると排水不良を起こし、防水層の劣化や雨漏りの原因になります。定期的に清掃しましょう。
- トップコートの塗り替え(必要な場合): ゴムシート防水や、一部のアスファルトシート防水、塩ビシート防水でも美観やさらなる保護のためにトップコートを塗布している場合は、5~10年ごとを目安に塗り替えが必要です。
- シートの剥がれや破れの早期発見・部分補修: 定期的に目視で点検し、シートの継ぎ目の剥がれや、飛来物などによる破れを発見した場合は、早めに専門業者に相談し、部分補修を行いましょう。
- 専門業者による定期点検: ご自身では確認しにくい部分や、劣化の進行具合を正確に把握するために、5~10年に一度は専門業者による点検を受けることをおすすめします。
まとめ:シート防水の種類と特徴を理解し、最適な防水工事を実現しよう!
シート防水は、建物を雨水から守るための確実で信頼性の高い防水工法です。しかし、その種類は一つではなく、それぞれに異なる特徴と適性があります。
シート防水の種類を選ぶ際の重要ポイント:
- 塩ビシート: 耐久性・耐候性が高く、メンテナンス性に優れる現在の主流。
- ゴムシート: 伸縮性が高く、比較的安価。下地の動きへの追従性が良い。
- 改質アスファルトシート: 防水信頼性が非常に高く、耐久性も期待できる。
これらの特徴を理解し、ご自身の建物の状況、予算、そして求める性能に合わせて最適な種類のシート防水を選ぶことが、長期的な安心と建物の維持に繋がります。
そして何よりも、シート防水の施工は専門的な技術と経験が不可欠です。信頼できる防水工事専門業者に相談し、適切な診断と提案を受け、確実な施工を行ってもらうことが最も重要です。
この記事が、あなたの防水工事計画の一助となれば幸いです。
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