HOME » 屋根材の種類と特徴 » 【粘土瓦のメリット・デメリット完全ガイド】屋根選びで絶対に後悔しないために知っておくべき全知識
粘土瓦 屋根工事

「新築やリフォームで、本当に長く安心して使える、最高の屋根を選びたい」
「昔ながらの瓦屋根には憧れるけど、地震や費用のことを考えると、ためらってしまう…」
「結局のところ、粘土瓦って本当に良いものなの?スレートや金属屋根と比べて、何が優れていて、何が劣るの?」

家の寿命、日々の快適性、そして将来にわたるメンテナンス費用。そのすべてを左右する、家づくりにおける最も重要な決断の一つが「屋根材選び」です。

特に、日本の伝統と風土の中で育まれてきた「粘土瓦」は、その圧倒的な耐久性と風格で根強い人気を誇る一方で、重さや価格など、現代の住宅事情において気になる点も少なくありません。

この記事では、そんな「粘土瓦」が持つ本当の価値、つまりメリットと、導入前に必ず理解しておくべきデメリットについて、専門家の視点から徹底的に、そしてどこよりも深く掘り下げて解説します。

「なんとなく良さそう」という漠然としたイメージを卒業し、その本質を深く理解することで、あなたの家づくりやリフォーム計画にとって、後悔のない、真に最適な答えが見つかるはずです。

目次

そもそも粘土瓦とは?その定義と多様な種類を知る

粘土瓦とは、その名の通り、良質な粘土を主原料とし、瓦の形に成形したものを1,000℃以上の高温で焼き固めて作られた屋根材です。

一般的に、私たちが「瓦」と聞いて思い浮かべるのは、この粘土瓦のことを指します。その歴史は古く、日本では飛鳥時代から使われ、1400年以上もの間、日本の家々を雨風から守り続けてきました。

この粘土瓦は、その製造方法や仕上げによって、いくつかの種類に分けられます。ご自宅のイメージに合う瓦を選ぶためにも、その違いを知っておきましょう。

釉薬瓦(ゆうやくがわら )

瓦の表面に、ガラス質の成分を含む「釉薬(ゆうやく・うわぐすり)」を塗ってから焼き上げた瓦です。この釉薬の働きで、表面はツルツルとしたガラス質の膜でコーティングされ、高い防水性と美しい光沢が生まれます。釉薬に混ぜる金属酸化物の種類によって、黒、青、緑、茶色など、非常に多彩な色を表現できるのが特徴です。その製法が陶器と似ていることから「陶器瓦」とも呼ばれ、洋風住宅に使われるカラフルな瓦の多くがこのタイプです。

無釉薬瓦(むゆうやくがわら)

無釉薬瓦

釉薬を使わずに、粘土そのものの性質と焼き方だけで仕上げる瓦です。土が持つ素朴な風合いや、窯の中での化学反応によって生まれる自然な色の変化が魅力です。

いぶし瓦

焼き上げた最終工程で窯の中を酸欠状態にし、煙で燻す(いぶす)ことで、表面に美しい銀色の炭素膜を形成させた瓦。お城や伝統的な日本家屋に見られる、あの独特の重厚感ある瓦です。

素焼き瓦

粘土を成形し、そのまま焼き上げただけのシンプルな瓦。粘土本来の赤褐色(テラコッタ色)が特徴で、南欧風の住宅などに使われます。沖縄の「赤瓦」もこの一種です。

この「粘土を焼き固めて作る」という、極めてシンプルで普遍的な製法こそが、粘土瓦が持つ数々の優れた特性の源泉となっています。

【粘土瓦の5大メリット】なぜ1400年以上も日本の屋根を守り続けてこれたのか?

粘土瓦が、法隆寺や東大寺といった世界遺産から、現代の最新住宅に至るまで、時代を超えて選ばれ続けているのには、他の建材にはない明確な理由があります。その圧倒的な性能、5つのメリットを見ていきましょう。

メリット1:【圧倒的】塗装メンテナンスが一切不要。生涯コストで考える経済性

粘土瓦が他の屋根材と一線を画す最大のメリットは、塗装によるメンテナンスが一切不要であることです。
現在主流のスレートや金属屋根、あるいは見た目が似ているセメント瓦は、素材自体に防水性がなく、表面に施された「塗装」によって雨水や紫外線から守られています。そのため、10年~15年も経つと塗膜が劣化し、防水性能を維持するために再塗装工事(足場代を含めると数十万円~100万円以上)が必須となります。

一方、粘土瓦は、素材そのものが高温で焼き固められた「焼き物」であるため、素材自体が水をほとんど吸いません。釉薬瓦は表面がガラス質の膜で完全にコーティングされ、無釉薬瓦も緻密に焼き締められているため、防水のために塗装を施す必要がないのです。色が剥げたり、紫外線で色あせたりすることもほぼありません。
この「再塗装が不要」という特性は、長期的に見た住まいの維持費用(ライフサイクルコスト)を大幅に抑えることに直結する、非常に大きな経済的メリットと言えます。

メリット2:【快適性】夏は涼しく、冬は暖かい。自然のエアコンとも言える優れた断熱性

粘土瓦は、他の薄い屋根材と比較して、そのものにしっかりとした厚みがあります。さらに、瓦屋根の施工方法は、瓦と下地(野地板)の間に意図的に大きな空気層ができる構造になっています。この「瓦自体の厚み」と「たっぷりの空気層」という二重のバリアが、強力な断熱効果を発揮するのです。


  • 灼熱の太陽光による熱が、この分厚い断熱層によって遮断され、屋根裏や室内まで届きにくくなります。ある実験では、夏の晴れた日に、スレート屋根の小屋裏温度が60℃を超えたのに対し、粘土瓦の小屋裏は50℃程度に抑えられたというデータもあり、室温に換算すると数℃の違いを生み出します。

  • 日中に瓦が太陽の熱をゆっくりと蓄え、日没後にその熱を穏やかに放出します。これにより、室内の温度が急激に下がるのを防ぎ、暖房の効きも良くなります。

冷暖房の効率が上がり、年間の光熱費を節約できる。これは、近年のエネルギー価格高騰の時代において、非常に価値のあるメリットです。

メリット3:【静寂性】豪雨の音も気にならない。暮らしの質を高める抜群の遮音性

薄い金属屋根などでしばしば問題になるのが、大雨の際の「パラパラ」「バタバタ」という耳障りな雨音です。粘土瓦は、その厚みと重量のある素材自体が振動を吸収・減衰させるため、他の屋根材とは比較にならないほど高い遮音性を誇ります。
実験データによれば、粘土瓦はスレート屋根やガルバリウム鋼板に比べて、約6倍もの吸音効果があることが示されています。台風の夜でも、雨音を気にすることなく、静かで落ち着いた居住空間を保つことができます。これは、日々の暮らしの質(QOL)を大きく向上させる、隠れた、しかし重要な性能です。

メリット4:【超耐久】耐用年数は50年以上。世代を超えて受け継がれる資産価値

粘土瓦は、酸性雨や塩害といった化学的変化にも強く、半永久的とも言われるほどの高い耐久性を持ちます。一般的に耐用年数は50年以上とされており、適切な施工と下地のメンテナンスを行えば、100年以上も家を守り続けることが可能です。
瓦自体が非常に長持ちするため、もし万が一、台風の飛来物などで一部が破損しても、その一枚だけを交換する「差し替え」が可能です。屋根全体をリフォームする必要がなく、修理費用を最小限に抑えられるのも、長く使う上での大きな利点です。

メリット5:【デザイン性】和風、洋風、モダン。あらゆる建築様式に対応する表現力

「瓦=和風」という固定観念は、もはや過去のものです。伝統的なJ形(和瓦)はもちろんのこと、南欧風住宅にぴったりのS形、シンプルモダンな建築に調和するF形(平板瓦)など、その形状は多岐にわたります。
釉薬の色も、黒や銀といった伝統色から、ブラウン、グリーン、ブルー、あるいは複数の色を混ぜ合わせた「混ぜ葺き」まで、その表現力は無限大。どんな住宅デザインにもマッチし、建物の個性を最大限に引き出すことができます。

【粘土瓦の4大デメリット】導入前に必ず理解し、納得すべき注意点

多くの素晴らしいメリットを持つ粘土瓦ですが、もちろん完璧な建材ではありません。導入を決める前に、必ず理解し、ご自身の価値観や予算と照らし合わせて納得しておくべきデメリットも存在します。

デメリット1:【重量】屋根が重く、建物全体の耐震性への配慮が不可欠

粘土瓦の最大のデメリット、それは他の屋根材と比較して圧倒的に「重い」ことです。

スレート屋根の約3倍、最も軽い金属屋根(ガルバリウム鋼板)と比べると、その差は約12倍にもなります。
屋根が重いと、地震が発生した際に建物の重心が高い位置で大きく揺れるため、耐震性の観点では不利になります。「地震で瓦屋根が崩れた」というニュース映像は、この特性を物語っています。

ただし、ここで絶対に誤解してはならない重要なポイントがあります。それは、現在の建築基準法では、粘土瓦のような重い屋根を乗せることを前提とした、非常に厳しい構造計算が義務付けられているということです。つまり、法律に則って正しく設計・施工された現代の住宅であれば、粘土瓦を使用しても十分な耐震性は確保されています

本当に注意が必要なのは、古い建築基準で建てられた住宅をリフォームする場合です。その際は、必ず耐震診断を行い、必要であれば壁の補強(耐力壁の増設など)を同時に検討する必要があります。

デメリット2:【初期費用】他の屋根材に比べて価格が高い

粘土瓦は、高品質な材料費に加え、その重さや専門性から施工にも手間がかかるため、初期費用(イニシャルコスト)が他の屋根材に比べて高くなる傾向があります。スレート屋根と比較すると、1.5倍から2倍程度の費用がかかることも覚悟しておく必要があります。

しかし、メリット1で述べた通り、粘土瓦は塗装メンテナンスが不要です。スレート屋根などで10年~15年ごとにかかる数十万円~100万円以上の塗装費用を考慮すると、30年、40年という長期的な視点(ライフサイクルコスト)で見れば、粘土瓦の方がトータルコストで安くなるという逆転現象も十分に起こり得ます。初期投資を重視するか、生涯コストを重視するか、ご自身の資金計画と照らし合わせて判断することが求められます。

デメリット3:【衝撃への脆さ】強い衝撃で割れる可能性がある

非常に硬く、耐久性の高い素材ですが、あくまで「焼き物」であるため、しなやかさはありません。そのため、大型台風でアンテナが倒れてきたり、近隣から硬い飛来物が直撃したりといった、局所的な強い衝撃に対しては割れてしまうことがあります。ただし、これはどの屋根材にも起こりうるリスクであり、粘土瓦の場合は前述の通り一枚単位での交換が可能なため、被害を最小限に食い止めやすいという側面もあります。

デメリット4:【施工品質の重要性】業者選びが屋根の寿命を左右する

粘土瓦が持つ優れた性能を100%引き出すには、瓦の特性や地域の気候を熟知した、専門の職人による正しい施工が不可欠です。「かわらぶき技能士」といった国家資格を持つ職人がいるかどうかは、信頼できる業者を見分けるための一つの指標になります。価格の安さだけで業者を選んでしまうと、施工不良から数年で雨漏りなどのトラブルにつながる可能性もあるため、業者選びは慎重に行う必要があります。

まとめ:粘土瓦はあなたにとって「最適」か?メリット・デメリットの最終比較

今回は、日本の屋根材の王様とも言える「粘土瓦」が持つ、揺るぎないメリットと、目をそらしてはならないデメリットを、多角的に、そして深く掘り下げて解説しました。

メリット(長期的な快適性と経済性)デメリット(初期投資と物理的特性)
① 塗装メンテナンスが一切不要で生涯コストが安い① 屋根が重く、耐震性への配慮が必要
② 夏涼しく冬暖かい、優れた断熱性で省エネに貢献② 初期費用が高い
③ 雨音が気にならない、抜群の遮音性で静かな暮らし③ 強い衝撃で割れることがある
④ 50年以上の圧倒的な耐久性で資産価値を維持④ 施工品質が重要で、業者選びが難しい
⑤ 和洋問わない多彩なデザイン性で理想の外観を実現

結論として、粘土瓦は、「重くて高い」という初期のハードルを許容できるのであれば、「メンテナンスの手間がかからず、日々の暮らしが快適で、世代を超えて長持ちする」という、他の屋根材では得られない、非常に大きな価値を提供してくれる屋根材です。

「初期費用を何よりも抑えたい」「とにかく建物を軽くして耐震性を最優先したい」という方には、金属屋根などの他の選択肢が適しているかもしれません。しかし、「一度建てたら、できるだけ長く、手間をかけずに、本物だけが持つ質感と快適さの中で暮らしたい」と考える方にとって、粘土瓦はこれ以上ないほど魅力的な、そして最終的に賢明な選択肢となるでしょう。

ご自身のライフプランや家づくりに対する価値観と照らし合わせ、この記事で得た知識を武器に、後悔のない屋根材選びをしてください。

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私たちクイック屋根工事は、日本全国で建物の屋根を中心に、あらゆるリフォーム工事を手がけています。

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