HOME » 屋根修理を依頼する前に » 屋根の形状 » 【入母屋屋根とは?】日本の伝統美、その構造とメリット・デメリットを分かりやすく解説
入母屋 屋根

「お城や古いお屋敷で見る、あの立派な屋根は何ていう名前?」
「『入母屋屋根』っていうらしいけど、どんな構造なの?」
「デザインは素敵だけど、雨漏りしやすいって本当?メンテナンスは大変?」

日本の伝統的な風景に溶け込む、風格ある「入母屋屋根(いりもややね)」
その堂々とした佇まいは、まさに日本の建築美の象徴とも言える存在です。

しかし、その複雑で美しい形状の裏には、優れた機能性と、知っておかないと後悔するかもしれない弱点が隠されています。

この記事では、「入母屋屋根とは何か?」という基本から、

  • 切妻と寄棟の「いいとこ取り」?そのユニークな構造
  • 各パーツの名称と役割を分かりやすく解説
  • 高い耐久性と通気性!入母屋屋根が持つ3つのメリット
  • 【最重要】雨漏りリスクが高い!デメリットとプロが教える対策

などを、家づくりが初めての方にも分かりやすく、とことん丁寧に解説します。この記事を読めば、入母屋屋根の全てが分かり、その魅力と付き合い方を深く理解できます。

1. 入母屋屋根とは?伝統美と機能性を兼ね備えたハイブリッド構造

入母屋屋根とは、屋根の上部が「切妻屋根(きりづまやね)」、下部が「寄棟屋根(よせむねやね)」という、2つの異なる屋根形状を組み合わせた、ハイブリッド構造の屋根です。

  • 上部の切妻部分: シンプルな三角屋根の形状。
  • 下部の寄棟部分: 4方向に傾斜する屋根の形状。

この組み合わせにより、重厚で格式高い独特の外観を生み出しています。古くから城郭や神社仏閣、格式の高い武家屋敷などで用いられてきた、日本の伝統的な屋根様式の一つです。

各パーツの名称を知ろう

入母屋屋根は複雑な形状のため、各部位に専門的な名称があります。主なものを覚えておくと、業者との打ち合わせなどで役立ちます。

パーツの名称読み方どの部分?
大棟おおむね屋根の一番高い、てっぺんの水平な部分。
降り棟くだりむね大棟から切妻部分の斜面に沿って下る棟。
隅棟すみむね寄棟部分の角(四隅)に向かって下る棟。
妻(壁)つま(かべ)切妻部分の側面にある、三角形の壁面。漆喰などで仕上げられることが多い。

より詳しく知りたい方は
下記よりお問い合わせください。

フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)

2. 入母屋屋根が持つ、3つの大きなメリット

入母屋 屋根

格式高いだけでなく、日本の気候風土に適した優れた機能性も、入母屋屋根が長年採用されてきた理由です。

メリット①:風格ある、重厚で高級感のある外観

これが最大の魅力です。切妻屋根のシャープさと、寄棟屋根の安定感を併せ持ち、見る角度によって様々な表情を見せます。特に日本瓦との相性は抜群で、比類のない風格と高級感を建物に与えます。

メリット②:高い耐久性と耐風性

下部の寄棟部分が4方向に軒を伸ばしているため、あらゆる方角からの風を受け流すことができます。また、軒が深いことで外壁を雨や紫外線から守り、劣化を防ぐ効果もあります。風雨に強い構造は、台風の多い日本の気候に適しています。

メリット③:優れた通気性と断熱性

上部の切妻構造により、屋根裏(小屋裏)に広い空間を確保しやすいのが特徴です。この広い空間が、空気の通り道となり、夏の熱気や湿気を効率的に排出します(通気性)。また、屋根と居住空間の間に大きな空気層ができることで、外気温の影響を和らげる断熱効果も高まります。

3.【最重要】後悔しないために!入母屋屋根の3つのデメリットと対策

入母屋 屋根

美しい入母屋屋根ですが、その複雑な形状ゆえのデメリットも存在します。導入を検討する際は、これらを必ず理解しておきましょう。

デメリット①:雨漏りのリスクが高い

  • 原因:
    切妻と寄棟が接合する部分や、降り棟と隅棟が交差する部分など、屋根面同士がぶつかる「谷」や「取り合い」と呼ばれる箇所が非常に多く、構造が複雑です。これらの接合部は、構造的に雨水が浸入しやすい弱点となります。
  • 対策:
    入母屋屋根の施工実績が豊富な、信頼できる業者に依頼することが絶対条件です。また、10年~15年周期で、漆喰の補修や谷板金の点検といった定期的なメンテナンスを欠かさないことが、雨漏りを防ぐ最大のポイントです。

デメリット②:建築・メンテナンス費用が高額になる

  • 原因:
    形状が複雑であるため、使用する屋根材の量が多く、加工の手間もかかります。また、施工には高度な技術を持つ職人が必要となるため、人件費も高くなります。結果として、シンプルな屋根に比べて新築時の建築費用も、将来のメンテナンス費用も割高になります。
  • 対策:
    初期費用だけでなく、将来のメンテナンス計画まで含めた長期的な資金計画を立てることが重要です。

デメリット③:屋根が重く、耐震性で不利になる

  • 原因:
    屋根の面積が広く、構造も複雑なため、屋根全体の重量が重くなります。特に伝統的な日本瓦を使用した場合、その重量は相当なものになります。建物の上部が重いと、地震の際に揺れが大きくなり、耐震性の面では不利になります。
  • 対策:
    耐震性を高めたい場合は、日本瓦の見た目を再現した軽量な屋根材(スレート、金属瓦など)を選択するという方法があります。これにより、入母屋屋根の風格を保ちつつ、建物への負担を軽減できます。

4. まとめ:入母屋屋根は、正しく付き合えば最高の伝統美

今回は、日本の伝統的な屋根形状である「入母屋屋根とは何か」を解説しました。

  • 入母屋屋根とは、上部が「切妻」、下部が「寄棟」のハイブリッド構造。
  • メリットは「風格あるデザイン」「高い耐久性・耐風性」「優れた通気性・断熱性」。
  • 最大のデメリットは「複雑な構造による雨漏りリスク」と「高額な費用」。
  • 成功のカギは、「信頼できる業者選び」と「定期的なメンテナンス」。

入母屋屋根は、確かにコストやメンテナンスの手間がかかる、ある意味で「贅沢な」屋根かもしれません。しかし、その手間をかけるだけの価値がある、圧倒的な美しさと風格を持っています。
その特性を正しく理解し、信頼できるプロの技術で施工・メンテナンスを行うことで、日本の風土に育まれた建築美を、末永く堪能することができるでしょう。

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