「うちの工場(倉庫)の波型スレート屋根、古くなってきたけどどうしよう…」
「葺き替えは費用が高そうだし、アスベストも心配…」
「カバー工法が良いって聞くけど、本当に大丈夫なの?どんなメリット・デメリットがあるの?」
長年、工場や倉庫の屋根として活躍してきた波型スレート。しかし、経年劣化や台風被害、そして過去の製品に含まれるアスベストの問題など、改修を検討しなければならない時期が訪れます。そんな時、有力な選択肢となるのが「カバー工法(重ね葺き)」です。
この記事では、
「波型スレート屋根のカバー工法って、具体的にどんな工事?」
「費用はどれくらいかかるの?葺き替えと比べてどう?」
「工事の手順や注意点、メリット・デメリットを知りたい!」
「アスベストが含まれていてもカバー工法で大丈夫?」
といった疑問を解消するため、波型スレート屋根のカバー工法による改修について、費用、手順、メリット・デメリット、そして気になるアスベスト対策まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します!
なぜ今、波型スレート屋根の「カバー工法」が注目されるのか?
波型スレート屋根の改修方法には、部分的な補修、塗装、葺き替え、そしてカバー工法など、いくつかの選択肢があります。その中でも、近年特に「カバー工法」が選ばれるケースが増えている背景には、主に以下の3つの理由があります。
アスベスト問題への対応
2004年以前に製造された波型スレートの多くには、健康被害のリスクがあるアスベスト(石綿)が含まれています。
アスベスト含有の屋根材を撤去・処分(葺き替えの場合)するには、厳格な飛散防止措置と高額な専門処理費用が必要となります。
カバー工法は、既存の波型スレートを撤去せずに上から新しい屋根材を被せるため、アスベストの飛散リスクを最小限に抑え、処分費用も大幅に削減できるという大きなメリットがあります。
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コストと工期の削減
既存屋根の解体・撤去作業が不要なため、葺き替え工事に比べて工事費用を抑えられ、工期も短縮できます。
特に大規模な工場や倉庫の場合、このコストと時間の差は非常に大きくなります。
工事中の操業継続が可能
多くの場合、カバー工法は工場や倉庫を稼働させたまま工事を進めることが可能です。
生産活動を止めることなく屋根をリニューアルできるため、事業への影響を最小限に抑えたい企業にとって大きな利点となります。
これらの理由から、特にアスベスト含有の古い波型スレート屋根の改修において、カバー工法は非常に有効かつ現実的な選択肢として注目されています。
波型スレート屋根カバー工法の具体的な手順:どうやって生まれ変わる?
では、実際に波型スレート屋根のカバー工法はどのような手順で行われるのでしょうか? 一般的な金属屋根材(折板屋根など)を用いたカバー工法の手順を見ていきましょう。
【カバー工法の主な流れ(金属屋根材を使用する場合)】
- 現地調査・準備
- 既存屋根の状態(劣化具合、下地の強度など)を詳細に調査します。
- 安全対策(安全ネットの設置など)や、必要に応じて高圧線の養生などを行います。
- 下地処理・下地金具(タイトフレーム)の設置
- 既存の波型スレートを固定しているフックボルトの頭部を切断したり、緩んでいる箇所を補修したりして、新しい屋根材を設置するための下準備をします。
- 新しい金属屋根材(折板屋根など)を固定するための下地金具「タイトフレーム」を、既存の波型スレートの上から母屋(鉄骨の構造材)にしっかりと固定します。
- 間接固定工法と直接固定工法
- 間接固定工法: 既存フックボルトなどを利用して金属下地を設置し、そこに新しい屋根材を固定する方法。既存スレートへの穴あけを最小限に抑えられ、粉塵発生や雨漏りリスクが低い。
- 直接固定工法: 新しい屋根材を既存スレートの上から母屋に直接ビスで固定する方法。比較的安価だが、スレートの踏み抜きや粉塵飛散のリスクに注意が必要。
- 間接固定工法と直接固定工法
- 新しい屋根材の搬入・設置
- クレーンなどを使用して、新しい屋根材(ガルバリウム鋼板製の折板屋根など)を屋根上に搬入し、配置します。
- 軒先から順に、タイトフレームに新しい屋根材を固定していきます。
- ポイント: 製品によっては、ビス打ちが不要な「ボルトレスタイプ」の折板屋根もあり、アスベスト粉塵の飛散をさらに抑制できます。
- 役物(やくもの)の取り付け
- 棟部(屋根の頂点)、ケラバ部(屋根の妻側)、軒先などに、雨仕舞(あまじまい)のための板金部材(棟板金、ケラバ水切り、軒先唐草など)を加工・取り付けます。
- 特に棟部分は雨漏りの急所となるため、下地をしっかり組み、丁寧に施工することが重要です。
- 換気棟やベンチレーター(換気口)まわりの雨仕舞処理も確実に行います。
- 最終確認・清掃
- 屋根全体の仕上がり、ビスの締め忘れ、板金の浮きなどがないかを確認し、清掃して工事完了です。
【施工時の重要ポイント】
- 安全対策の徹底
波型スレートは踏み抜きやすく、転落事故のリスクが高いため、安全ネットの設置は必須です。 - 断熱材(ペフ)付き製品の検討
金属屋根の裏面に断熱材(ペフ)が付いた製品を使用すると、夏の暑さ対策や結露防止に効果的です。 - 軒先の確実な固定
強風の影響を受けやすい軒先は、屋根材を全数ビス打ちするなど、確実に固定する必要があります。 - 棟板金下地の施工
棟板金は、直接屋根材に固定するのではなく、専用の下地を組んでから取り付けるのが正しい施工です。
波型スレート屋根カバー工法のメリット・デメリット
カバー工法には多くのメリットがありますが、デメリットも理解しておくことが大切です。
【カバー工法のメリット】
- アスベスト対策に有効
既存屋根を撤去しないため、アスベストの飛散リスクを大幅に低減でき、高額なアスベスト処分費用もかかりません。これが最大のメリットと言えるでしょう。 - コスト削減
葺き替えに比べて、解体・撤去費用、廃材処分費用が不要なため、工事費用を大幅に抑えることができます。 - 工期短縮
解体作業がない分、工事期間も短縮できます。 - 工事中の操業継続
工場や倉庫を稼働させたまま工事を進められるため、事業への影響を最小限に抑えられます。 - 断熱性・遮音性の向上
屋根が二重になることで、断熱効果や遮音効果が向上する場合があります。特に新しい屋根材に断熱材付きのものを選べば、より効果的です。 - 屋根の強化
新しい屋根材を被せることで、屋根全体の耐久性や強度が向上します。
【カバー工法のデメリット・注意点】
- 屋根の重量増加
既存の屋根に新しい屋根材を重ねるため、屋根全体の重量が若干増加します。ただし、一般的にカバー工法で使用される金属屋根材は軽量なため、耐震性に大きな影響を与えることは少ないとされていますが、建物の構造や状態によっては注意が必要です。 - 下地の状態が確認できない
既存屋根を撤去しないため、その下にある野地板や下地材の劣化状態を直接確認・補修することができません。下地の腐食が著しい場合は、カバー工法が適さないこともあります。 - 雨漏りの根本原因が解決しない可能性
もし雨漏りの原因が既存屋根材ではなく、その下の防水層や下地にある場合、カバー工法だけでは雨漏りが完全に止まらない可能性があります。事前のしっかりとした調査が重要です。 - 高さ制限への影響
屋根の高さが若干上がるため、建築基準法上の高さ制限などに影響がないか確認が必要です。 - 将来的な再リフォーム時の課題
将来的に再度リフォームが必要になった場合、二重になった屋根を撤去する必要があり、その際の費用や手間が増える可能性があります。
カバー工法と葺き替え、どっちを選ぶべき?費用の比較
波型スレート屋根の全面改修を考えた場合、カバー工法と葺き替えのどちらが良いか悩むところです。費用面を中心に比較してみましょう。
項目 | カバー工法 | 葺き替え工法 |
---|---|---|
工事内容 | 既存屋根の上に新しい屋根材を重ねる | 既存屋根を全て撤去し、新しい屋根材を設置する |
アスベスト対応 | 撤去・処分不要なため、アスベスト含有でも比較的低コスト・低リスクで対応可能 | アスベスト含有の場合、厳重な飛散対策と高額な専門処理費用が必須 |
費用(目安) | 比較的安価 | 高価(特にアスベスト含有の場合は大幅に増加) |
(金属屋根でカバー、200㎡規模):約14,000円/㎡~ | (アスベストなし、200㎡規模):約20,000円/㎡~ + 下地補修費など (アスベストあり):上記にアスベスト処理費が大幅加算 | |
工期 | 短い | 長い |
下地の状態 | 確認・補修が困難 | 確認・補修が可能 |
建物の利用 | 工事中も利用可能 | 利用制限の可能性あり |
耐久性(改修後) | 新しい屋根材に依存(一般的に20~30年以上) | 新しい屋根材に依存(一般的に30年以上) |
(注)上記の費用はあくまで一般的な目安です。実際の費用は、建物の規模、屋根の形状、高さ、劣化状況、使用する材料、足場の有無、地域、そして何よりもアスベストの有無とその処理方法によって大きく変動します。必ず複数の専門業者に見積もりを依頼し、詳細な内訳と工事内容を確認してください。
どちらを選ぶかの判断基準
- アスベストの有無
アスベストが含まれている場合は、費用と安全性の両面からカバー工法が有力な選択肢となります。 - 下地の状態
下地の劣化が著しく、補修が必要な場合は、費用はかかりますが葺き替えを検討する必要があります。 - 予算
予算が限られている場合は、カバー工法が現実的です。 - 工事中の操業
工場や倉庫を稼働させ続ける必要がある場合は、カバー工法が適しています。 - 長期的な視点
多少費用がかかっても、根本的な問題を解決し、より長期間の安心を得たい場合は、葺き替えも視野に入れます。
カバー工法に適した屋根材とは?
波型スレート屋根のカバー工法には、主に軽量で耐久性の高い金属屋根材が使用されます。代表的なものとしては、
- ガルバリウム鋼板製の折板(せっぱん)屋根: 工場や倉庫の屋根によく用いられる、断面が山形になった金属屋根材。強度が高く、広い面積を効率的にカバーできます。
- ガルバリウム鋼板製の波板形状の屋根材: 既存の波型スレートのデザインに近い仕上がりを求める場合に選ばれることがあります。(例:津熊工業「リファインルーフ」参照)
- 断熱材一体型の金属サイディング(外壁の場合): 外壁のカバー工法では、断熱性能も向上させるために断熱材と一体になった金属サイディングが使用されることもあります。
選ぶ屋根材によって、耐久性、断熱性、意匠性、そして費用も変わってきますので、業者とよく相談して最適なものを選びましょう。
まとめ:波型スレート屋根のカバー工法は賢い選択肢!ただし専門家との連携が不可欠
波型スレート屋根のカバー工法は、特にアスベスト問題やコスト、工期を考慮した場合、非常に有効で賢明な改修方法と言えます。既存の屋根を活かしつつ、建物の寿命を延ばし、安全性を高めることができます。
しかし、そのメリットを最大限に引き出し、後悔のない工事にするためには、
- 信頼できる専門業者の選定: 波型スレート屋根の改修実績が豊富で、アスベストに関する知識も持ち合わせている業者を選びましょう。
- 事前の詳細な調査: 既存屋根の状態、下地の状況、アスベストの有無などを正確に把握することが重要です。
- 適切な工法の選択と丁寧な施工: 建物の状況に合わせた最適な工法を選び、確実な雨仕舞と固定を行うことが、長期的な安心に繋がります。
- 工事内容と費用の明確な説明: 見積もりの内容や工事の手順について、納得いくまで説明を受けましょう。
古い波型スレート屋根の改修は、建物の資産価値を維持し、安全な事業活動を継続するために不可欠な投資です。カバー工法という選択肢を正しく理解し、専門家と連携しながら、最適なリニューアルを実現してください。
クイック屋根工事
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