HOME » 屋根材の種類と特徴 » スレート屋根(カラーベスト・コロニアル) » 【波型スレート屋根とは?】工場・倉庫の定番!特徴・歴史・アスベスト問題と気になる改修費用まで徹底解説
波型スレート 屋根修理

「あの工場や倉庫の屋根に使われている波々した屋根材、あれって何?」
「昔からあるみたいだけど、どんな特徴があるんだろう?」
「アスベストが含まれているって聞いたけど、大丈夫なの?修理や交換にはいくらかかるの?」

街中で工場や倉庫、古い自転車置き場などでよく見かける、独特の波形をした屋根材。それが「波型スレート(なみがたスレート)」です。
実はこの波型スレート、日本の産業を支えてきた歴史ある建材でありながら、現代においてはアスベスト問題や老朽化による改修の必要性など、知っておくべき重要な側面も持っています。

この記事では、
「波型スレートって、そもそもどんなもの?」
「どんな場所に使われていて、どんな特徴があるの?」
「アスベスト問題って、具体的にどういうこと?」
「古くなったら、どうやって修理するの?費用はどれくらい?」
といった疑問を解消するため、波型スレートの基本から、その構造、メリット・デメリット、気になるアスベスト問題、そして改修方法と費用の目安まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します!

波型スレートとは?~その名の通り「波型」のスレート屋根~

波型スレートとは、セメントを主成分とし、繊維で補強して波形に成形された板状の屋根材および外壁材です。JIS規格(JIS A 5430)では「繊維強化セメント板」という名称で規定されています。

皆さんが戸建て住宅でよく目にする平らなスレート屋根(平板スレート、カラーベスト、コロニアルなどと呼ばれるもの)と同じく、セメント系の素材でできていますが、その名の通り大きな波型の形状が最大の特徴です。

主に、工場、倉庫、車庫、体育館、農業用施設など、比較的大きな建物の屋根や外壁に広く使用されてきました。

天然スレートとの違い

「スレート」と聞くと、天然の粘板岩(ねんばんがん)を薄く割って作られる「天然スレート」を思い浮かべる方もいるかもしれません。天然スレートは非常に高価で耐久性の高い屋根材ですが、現在一般的に「スレート」と呼ばれるものの多くは、セメントを主成分とした人造のスレート(化粧スレート)であり、波型スレートもこの一種です。

波型スレートの種類と寸法:実は「大波」と「小波」がある!

波型スレートには、その波の大きさによって主に2つの種類があります。

種類主な用途幅(mm)長さ(代表例)重さ( kg/枚 )波のピッチ(mm)波の山の深さ(mm)厚さ(mm)
大波スレート屋根・外壁9506尺 (1820mm)約23130386.3
小波スレート主に外壁7206尺 (1820mm)長さにより変動 (6尺:約16kg) ※163.5186.3
7尺 (2120mm)
8尺 (2420mm)

※JIS A 5430に基づく一般的な寸法例。
※1:小波スレートの重量は長さに応じて変動します。7尺の場合は約19kg、8尺の場合は約22kgが目安となります。メーカーや製品により多少異なる場合があります。

  • 大波スレート: 波の山が大きく、間隔も広いため、主に屋根材として、また面積の広い外壁材としても使用されます。強度が高く、排水性に優れています。
  • 小波スレート: 波の山が小さく、間隔も狭いため、大波スレートに比べて強度は若干劣ります。そのため、主に外壁材として使用されることが多いですが、古い建物では屋根に使用されているケースも見られます。

見た目にも、大波スレートの方がダイナミックな印象を与え、小波スレートはより細かい波模様が特徴です。

波型スレート屋根の「構造」:どうやって取り付けられているの?

波型スレート屋根は、主に鉄骨造の建物に採用されます。その取り付け構造は、一般的な戸建て住宅の屋根とは少し異なります。

  • 母屋(もや)への直接固定
    • 鉄骨造の屋根を支える主要な構造材である「母屋(C型鋼、Cチャンとも呼ばれる)」に、波型スレートを直接固定します。
    • 多くの戸建て住宅のように、母屋の上に野地板(下地合板)を敷き、その上に防水紙、そして屋根材という多層構造ではなく、母屋に直接波型スレートを葺くのが一般的です。
  • フックボルトによる固定
    • 波型スレートは、「フックボルト」と呼ばれる特殊な形状のボルトを使用して母屋に固定されます。
    • フックボルトは、波型スレートの波の山部分から母屋に引っ掛け、ナットで締め付けて固定します。このフックボルトの頭が屋根の表面に露出するのが特徴です。
    • 注意点: このフックボルトは経年劣化で錆びやすく、錆びると緩んだり、雨漏りの原因になったりすることがあります。

このように、波型スレート屋根の構造は比較的シンプルで、施工のしやすさにも繋がっています。

波型スレート屋根のメリット:なぜ長年使われてきたのか?

波型スレートが長年にわたり工場や倉庫などで広く採用されてきたのには、以下のようなメリットがあるからです。

  1. コストパフォーマンスの高さ
    • 材料自体が比較的安価であり、大量生産も可能です。
    • シンプルな構造と施工方法により、工事費用も抑えられます。
    • 特に広大な面積をカバーする必要がある工場や倉庫において、経済的な選択肢となります。
  2. 施工の容易さ
    • 一枚あたりのサイズは畳一枚程度で比較的軽量なため、持ち運びや取り扱いが比較的容易です。(ただし、高所作業であり専門知識は必要です)
    • 母屋に直接フックボルトで固定するというシンプルな工法のため、専門的な高度な技術を必要とせず、比較的短期間での施工が可能です。(ただし、安全管理と正しい施工手順は不可欠です)
  3. 耐火性
    • 主成分がセメントであるため、燃えにくいという性質を持っています。法定不燃材料としても認められており、火災に対する安全性が求められる施設に適しています。
  4. 遮音性
    • ある程度の重量と厚みがあるため、雨音や外部の騒音を低減する効果が期待できます。
  5. 耐久性(アスベスト含有製品の場合)
    • 後述するアスベストを含有していた時代の波型スレートは、繊維による補強効果で比較的高い耐久性を持っていました。(ただし、現代のノンアスベスト製品も改良が進んでいます)

これらのメリット、特にコスト面と施工性、そして耐火性が、波型スレートが多くの産業施設で採用されてきた大きな理由と言えるでしょう。

波型スレート屋根のデメリットと注意点:知っておくべきこと

屋根修理 ポイント

一方で、波型スレート屋根にはデメリットや注意すべき点も存在します。

  1. 割れやすさ・衝撃への弱さ
    • セメント系素材の特性上、強い衝撃や局部的な荷重に対して割れやすいという性質があります。
    • 経年劣化によっても脆くなり、台風などの強風で飛散したり、人が乗った際に踏み抜いてしまったりする事故も発生しています。(絶対に素人が安易に屋根に登ってはいけません!)
  2. フックボルト部分からの雨漏りリスク
    • 屋根表面に露出しているフックボルトは、雨水や紫外線の影響で錆びやすく、緩みやすい部分です。
    • ボルトのパッキンの劣化や、ボルト穴周辺の微細なひび割れから雨水が浸入し、雨漏りの原因となることがあります。
  3. 汚れの付着しやすさ
    • 表面が比較的粗く、波型の形状も相まって、ホコリや汚れが付着しやすい傾向があります。
    • 経年劣化で表面の撥水性が失われると、カビや苔が発生しやすくなることも。
  4. 重量
    • 金属屋根材などに比べると重量があるため、建物の構造体への負荷は比較的大きくなります。
  5. アスベスト含有の問題(過去の製品)
    • これが最も重要な注意点です。詳しくは次項で解説します。

【最重要】波型スレートとアスベスト(石綿)問題

波型スレートについて語る上で避けて通れないのが、アスベスト(石綿)の問題です。

  • 過去の製品にはアスベストが含有
    • 1931年頃から2004年頃までに製造された波型スレートには、強度を高める目的などで補強繊維としてアスベストが使用されていました。
    • 現在、アスベストの使用は全面的に禁止されており、新しい波型スレート製品にはアスベストは一切含まれていません(ノンアスベスト製品)。
  • アスベスト含有の見分け方
    • 外観だけでアスベストの有無を正確に判断することは困難です。
    • 最も確実なのは、建物の建築年代から推測することです。2004年以前に建てられた波型スレートの建物は、アスベストを含んでいる可能性が非常に高いと考えられます。
    • 正確な判断には、専門家による調査(場合によっては成分分析)が必要です。
  • 健康リスクについて
    • 波型スレートに含まれるアスベストは、セメントで固められているため、通常の使用状態(破損などがない状態)では飛散する可能性は低いとされています(アスベスト含有建材のレベル3:発じん性が比較的低い)。
    • しかし、解体、切断、破砕などの作業時や、経年劣化によって著しく破損した場合には、アスベスト繊維が飛散し、吸い込むことで深刻な健康被害(肺がん、中皮腫など)を引き起こす危険性があります。
  • 法規制と取り扱い
    • アスベスト含有建材の解体・改修工事には、大気汚染防止法や石綿障害予防規則などに基づく厳格な規制があります。
    • 2022年からは、解体・改修前に建築物石綿含有建材調査者による事前調査が義務化され、その結果を自治体に報告する必要があります。
    • 作業は、石綿作業主任者の管理のもと、適切な知識と装備を持った作業者が、飛散防止措置を講じながら行う必要があります。無資格者による作業は法律で禁止されています。

もしご自身の工場や倉庫の波型スレートが古い場合は、まずアスベスト含有の可能性を疑い、専門業者に相談することが非常に重要です。

より詳しく知りたい方は
下記よりお問い合わせください。

フリーダイヤル 0120-905-454 (平日・土曜 9:00~18:00)

波型スレート屋根の寿命と劣化症状

  • 一般的な耐用年数
    • アスベストを含有していた時代の波型スレートの耐用年数は、一般的に30年~35年程度と言われています。(ノンアスベスト製品の耐用年数は、製品の品質や使用環境により異なります)
    • ただし、これはあくまで目安であり、立地条件やメンテナンス状況によって大きく左右されます。
  • 主な劣化症状
    • 色あせ、汚れ、カビ、苔の発生: 表面保護層の劣化。
    • ひび割れ、欠け、剥離: 強度低下のサイン。
    • フックボルトの錆び、緩み、脱落: 雨漏りや屋根材飛散のリスク。
    • 屋根材の反り、たわみ: 水分吸収による変形。
    • 雨漏り: 最も深刻な劣化症状。

これらの劣化症状が見られる場合は、早めの点検と適切なメンテナンスが必要です。

波型スレート屋根の改修方法と費用の目安

波型スレート 屋根修理

老朽化した波型スレート屋根の改修方法は、主に以下の2つです。

カバー工法

内容: 既存の波型スレート屋根の上に、新しい屋根材(主に軽量な金属屋根材など)を被せて覆う工法です。

メリット

  • 既存屋根の解体・撤去費用がかからない。
  • アスベスト含有の場合でも、飛散リスクを抑えながら施工できるため、アスベスト処分費用を大幅に削減できる。
  • 工事期間が比較的短い。
  • 工場や倉庫を稼働させながら工事を進めやすい。

デメリット

  • 屋根の重量が若干増加する(ただし、軽量な金属屋根材を選べば影響は少ない)。
  • 下地の状態が悪い場合は適用できないことがある。
  • 雨漏りの根本原因が下地にある場合、解決しない可能性がある。

費用目安(金属屋根でカバーする場合)

  • 小規模な屋根:10,000円~/㎡ 程度
  • 大規模な屋根:7,000円~/㎡ 程度

※アスベスト対策が簡略化できるため、葺き替えに比べて安価になる傾向があります。

葺き替え(張り替え)工法

内容: 既存の波型スレート屋根を全て解体・撤去し、新しい屋根材に交換する工法です。

メリット

  • 屋根下地の状態を直接確認・補修できる。
  • 雨漏りの根本原因を解決しやすい。
  • 建物の耐震性向上に繋がる場合がある(屋根重量の軽量化など)。

デメリット

  • 解体・撤去費用がかかる。
  • アスベスト含有の場合、飛散防止対策や特別な処分費用が別途必要となり、費用が大幅に高額になる。
  • 工事期間が比較的長い。
  • 工事中は建物の使用に制限が出る場合がある。

費用目安(新しい屋根材に交換する場合)

  • 小規模な屋根(アスベストなし):20,000円~/㎡ 程度
  • 大規模な屋根(アスベストなし):15,000円~/㎡ 程度

※アスベスト含有の場合は、上記の費用に加えてアスベスト除去・処分費用(数千円~数万円/㎡規模や状況による)が別途発生し、総額が2倍以上になることも珍しくありません。

【改修方法選択のポイント】

項目カバー工法葺き替え工法
工期短い長い
費用比較的安い(特にアスベスト含有時)高い(特にアスベスト含有時は大幅増)
耐震性への影響重量増の可能性(軽微)軽量化による向上も期待できる
アスベスト対策飛散リスク低減、処分費削減厳重な飛散対策と高額な処分費が必要
下地確認・補修困難可能
業務への影響比較的少ない大きい場合がある

※上記の費用はあくまで一般的な目安であり、実際の費用は建物の規模、屋根の形状、劣化状況、使用する材料、足場の有無、地域などによって大きく変動します。必ず複数の専門業者に見積もりを依頼し、詳細な内訳を確認することが重要です。

まとめ:歴史ある波型スレート屋根、正しく理解し適切に対応を

波型スレート屋根は、その経済性や施工性から、長年にわたり多くの産業施設を支えてきた重要な建材です。しかし、その一方で、割れやすさや雨漏りリスク、そして過去の製品におけるアスベスト含有といった側面も持ち合わせています。

波型スレート屋根と向き合う上での重要ポイント

  • 形状と構造を理解する: 大波・小波の違い、フックボルトによる固定など。
  • メリット・デメリットを把握する: コスト、施工性、耐火性、そして割れやすさ、雨漏りリスクなど。
  • アスベスト問題への正しい認識: 建築年代を確認し、含有の可能性がある場合は専門家へ相談。
  • 定期的な点検と適切なメンテナンス: 劣化の早期発見と対処が重要。
  • 安全管理の徹底: 絶対に素人が安易に屋根に登らない。
  • 改修方法の検討: カバー工法か葺き替えか、メリット・デメリット、費用を比較検討する。

現在、工場や倉庫などで古い波型スレート屋根を使用されている場合は、まず専門業者による現状調査とアスベストの有無の確認を行い、その結果に基づいて最適なメンテナンス計画や改修方法を検討することが、建物の安全と資産価値を守るために不可欠です。

この記事が、波型スレート屋根についての理解を深める一助となれば幸いです。

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私たちクイック屋根工事は、日本全国で建物の屋根を中心に、あらゆるリフォーム工事を手がけています。

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