「うちの屋根、セメント瓦みたいだけど、塗装って本当に必要なの?」
「色あせてきたけど、いつ塗装すればいいんだろう?」
「どんな塗料を選べばいいの?注意点はある?」
ご自宅の屋根がセメント瓦だと知り、塗装について疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなセメント瓦の「塗装」に特化して、
- なぜ塗装が必要なのか?しないとどうなる?
- 塗装にベストなタイミングはいつ?(劣化サインの見分け方)
- 塗装工事の具体的な流れと、成功させるためのポイント
- 失敗しないための塗料選びのコツ
などを、初心者の方にも「なるほど!」と思っていただけるように、詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
「瓦なのに塗装?」という疑問から、具体的な塗料選びまで、この記事を読めばセメント瓦の塗装に関する疑問がスッキリ解消するはずです。大切な屋根を長持ちさせるために、ぜひ最後までお付き合いください!
そもそも、なぜセメント瓦には塗装が必要なの?
「瓦」と聞くと、「塗装なんていらないんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。確かに、粘土を焼き固めて作られる「粘土瓦(日本瓦や洋瓦の一部)」は、素材自体に耐久性と防水性があるため、基本的に塗装は不要です。
しかし、セメント瓦は全く別物です。
セメント瓦は、その名の通りセメントと砂を主成分としており、成形後に表面を塗装することで防水性を持たせています。もし塗装がなければ、セメント瓦は雨水をどんどん吸い込んでしまうのです。
新築時にはしっかりと塗装されていますが、屋根は家の中で最も過酷な環境(紫外線、雨風、温度変化)にさらされる場所。そのため、表面の塗装は時間とともに必ず劣化していきます。
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放置は危険!セメント瓦を塗装しないと起こる悲劇
では、劣化した塗装をそのままにしておくと、セメント瓦はどうなってしまうのでしょうか?
- 塗膜の劣化・消失
紫外線や雨風で塗装が色あせ、剥がれ落ちていきます。 - 防水性の低下
塗装によるバリア機能が失われ、セメント瓦本体が雨水を吸収し始めます。 - 瓦本体の劣化
- 吸水と乾燥の繰り返し: スポンジのように水を吸ったり乾いたりを繰り返すことで、瓦自体に負荷がかかり、もろくなっていきます。
- カルシウム成分の流出: 雨水によってセメントの主成分であるカルシウムが流れ出し、瓦の組織がスカスカになっていきます。
- 凍害(寒冷地): 吸い込んだ水分が冬場に凍って膨張し、瓦を内部から破壊することもあります。
- 深刻なトラブルへ
- ひび割れ・欠け: もろくなった瓦は、ちょっとした衝撃や温度変化で簡単に割れたり欠けたりします。
- 苔・カビの繁殖助長: 水分を含みやすくなることで、苔やカビが根を張りやすくなり、さらに劣化を促進します。
- 雨漏りのリスク: 割れた箇所や劣化した瓦から雨水が内部に浸入し、下地の防水シートや野地板を腐らせ、最終的に雨漏りを引き起こします。
- 寿命の大幅な短縮: 本来30~40年持つ可能性があるセメント瓦も、塗装メンテナンスを怠ると、その寿命を待たずに葺き替えが必要になることも少なくありません。
このように、セメント瓦にとって塗装は、単なる見た目の問題ではなく、屋根材そのものを保護し、寿命を延ばすための非常に重要なメンテナンスなのです。
我が家のセメント瓦、塗装のタイミングはいつ?【劣化サインをチェック!】
「じゃあ、具体的にいつ塗装すればいいの?」という疑問にお答えします。一般的な目安と、ご自宅の屋根を見て判断できる劣化サインをご紹介します。
塗装時期の目安
- 新築・前回の塗装から: 10年~15年 が経過したら、一度専門家による点検をおすすめします。
- ※塗料のグレードや立地条件によって劣化速度は異なります。10年を過ぎたら注意が必要です。
- 劣化サインが見られたら: 年数に関わらず、以下のようなサインが見られたら塗装を検討する時期です。
【塗装が必要なサイン】チェックリスト
劣化サイン | どんな状態? | 緊急度 | 備考 |
① 色あせ・変色 | 新築時より色が薄くなった、くすんで見える、まだらに見える | ★☆☆☆☆ | 劣化の初期サイン。見た目が気になり始めたら。 |
② チョーキング | 表面を手で触ると、チョークのような白い粉が付く | ★★☆☆☆ | 塗料の顔料が劣化している証拠。防水効果が低下し始めている。 |
③ 汚れ・苔・カビ | 全体的に黒ずんでいる、緑や黒の点々・付着物がある | ★★★☆☆ | 防水性が低下し、水分を含みやすくなっている。放置すると劣化を早める。 |
④ 塗膜の膨れ・剥がれ | 塗装が水ぶくれのように膨らんでいる、パリパリと剥がれている | ★★★★☆ | 塗膜が密着性を失っている危険な状態。早めの対処が必要。 |
⑤ 細かいひび割れ | (塗装前に補修が必要)髪の毛程度の細いひびが見られる | ★★★☆☆ | 放置すると拡大し、水の浸入口になる可能性あり。塗装前に補修必須。 |
⑥ 割れ・欠け | (塗装不可or要相談)瓦が明らかに割れたり欠けたりしている | ★★★★★ | **塗装では直りません。**部分補修(困難)または葺き替えを検討。 |
⑦ 表面のザラつき | (塗装不可)塗装が完全に無くなり、素地が露出し砂のようにザラザラ | ★★★★★ | **塗装でのメンテナンスは手遅れ。**葺き替えが必要です。 |
セルフチェックの注意点
屋根の上の確認は大変危険です! ご自身で屋根に登るのは絶対にやめてください。窓やベランダ、少し離れた場所など、安全な位置から見える範囲で確認しましょう。判断が難しい場合や、詳しく状態を知りたい場合は、必ず専門業者に点検を依頼してください。
これで完璧!セメント瓦塗装のリアルな手順と成功の秘訣
セメント瓦の塗装工事は、一般的な屋根塗装と流れは似ていますが、セメント瓦ならではの注意点があります。ここでは、工事の流れと、品質を左右する重要なポイントを解説します。
【塗装工事の基本的な流れ】
- 足場設置・養生: 安全な作業環境の確保と、塗料が飛散しないように周辺を保護します。
- 高圧洗浄: 汚れや古い塗膜を洗い流します。
- 下地処理・補修: 浮いた塗膜の除去やひび割れ補修などを行います。
- 下塗り: 塗料の密着性を高めます。
- 中塗り: 塗膜に厚みをつけ、色を出します。
- 上塗り: 仕上げ塗り。美観と耐久性を高めます。
- 点検・清掃・足場解体: 仕上がりを確認し、周辺を清掃して完了です。
【セメント瓦塗装を成功させる重要ポイント】
- ポイント①:高圧洗浄は徹底的に!
- セメント瓦は表面がザラザラしていることが多く、汚れや苔、古い塗膜が残りやすいです。ここで汚れを完全に落としきれないと、新しい塗料がすぐに剥がれてしまう原因になります。
- 洗浄圧力(15~20MPa程度が目安)も重要ですが、「どこまで綺麗にするか」という丁寧さが品質を左右します。場合によってはワイヤーブラシなどを併用することも。
- 注意! セメント瓦は洗浄時に水が内部に入りやすい構造のものもあります。業者がセメント瓦の特性を理解し、慎重に作業してくれるか確認しましょう。
- ポイント②:下地処理・補修は手を抜かない!
- 高圧洗浄で取り切れなかった浮いた塗膜や脆弱な部分は、ケレン(手作業での除去)が必要です。これを怠ると、新しい塗膜ごと剥がれる原因になります。
- 小さなひび割れ(ヘアクラック)は、塗装前にコーキング材などでしっかり補修しておくことが大切です。
- ポイント③:下塗りはセメント瓦の命綱!
- セメント瓦は塗料を吸い込みやすい特性があります。下塗りはこの吸い込みを止め、上塗り塗料との密着性を高める非常に重要な工程です。
- 吸い込みが激しい場合は、下塗りを2回、3回と塗り重ねる必要があります。下塗りが不十分だと、色ムラになったり、上塗り塗料が本来の性能を発揮できなかったりします。
- 下塗り材には、主に「シーラー」(浸透して下地を固める)と「フィラー」(厚みをつけて凹凸を埋める)があります。瓦の表面状態(ザラつき具合など)に合わせて適切な下塗り材を選ぶ必要があります。表面のザラつきがひどい場合は、フィラー系の塗料で表面を整えることもあります。
- ポイント④:上塗りは規定量を守って丁寧に!
- 中塗り・上塗りは、塗料メーカーが定めた基準塗布量と乾燥時間を守ることが重要です。十分な塗膜の厚みが確保されないと、期待される耐久性が得られません。
- ローラーや刷毛を使って、ムラなく均一に仕上げる技術が求められます。
失敗しない!セメント瓦塗装の塗料選び【3つのポイント】
セメント瓦の塗装効果を最大限に引き出すには、塗料選びも非常に重要です。以下の3つのポイントを押さえましょう。
- ポイント①:下塗り材は必ず「セメント瓦 適用」を確認!
- すべての下塗り材がセメント瓦に使えるわけではありません。塗料のカタログやメーカーのウェブサイトで、「適用下地」の欄に「セメント瓦」「厚形スレート」などの記載があるか必ず確認しましょう。不適合な下塗り材を使うと、早期の剥がれなどの原因になります。
- 業者に見積もりを依頼する際は、使用する下塗り材の商品名を確認し、自分で調べてみるのも良いでしょう。
- ポイント②:上塗り材は「少し良いグレード」を選ぶのがお得!
- 屋根塗装の費用の中で大きな割合を占めるのが「足場代」です。塗装のたびに足場を組むのは大きな負担になります。
- そのため、耐用年数の長い塗料(フッ素塗料や無機塗料など)を選び、塗り替えの回数を減らす方が、長期的に見てトータルのコストパフォーマンスが高くなるケースが多いです。
- 一般的な塗料グレードと耐用年数の目安は以下の通りです。予算と求める耐久性のバランスで選びましょう。
- シリコン: 約8~12年
- ラジカル制御型: 約10~15年
- フッ素: 約15~20年
- 無機: 約20年以上
塗料グレード | 耐用年数目安 | 費用感(シリコン比) | 特徴 |
シリコン | 8~12年 | 標準 | コストバランスが良い、現在主流 |
ラジカル制御型 | 10~15年 | やや高い | シリコンより高耐久、紫外線に強い |
フッ素 | 15~20年 | 高い | 非常に高耐久、汚れにくい |
無機 | 20年以上 | 非常に高い | 最も高耐久、汚れにくい、割れやすい場合も |
- ポイント③:「遮熱・断熱塗料」の効果は過信しない!
- 近年人気の遮熱・断熱塗料ですが、セメント瓦への効果は限定的と言われています。
- セメント瓦自体が、薄いスレート屋根材に比べて厚みがあり、熱を通しにくい(熱伝導率が低い)性質を持っているため、遮熱塗料を塗っても、その効果を実感しにくい可能性があります。
- 高価な機能性塗料を選ぶよりも、その分、耐久性の高いグレードの塗料を選んだ方が、セメント瓦の保護という観点からは合理的かもしれません。もし室内の暑さ対策をしたい場合は、屋根裏の換気対策や窓の断熱なども合わせて検討しましょう。
- (補足)水性塗料?溶剤塗料?
- 昔は溶剤(油性)塗料が主流でしたが、現在は環境配慮や臭いの少なさから水性塗料も多く使われています。特に弱溶剤(油性だが臭いがマイルド)タイプも人気です。耐久性に関しては、水性・溶剤で大きな差はなくなりつつありますが、塗料の種類や特性によって最適なものが異なりますので、業者と相談して決めましょう。
セメント瓦塗装の費用はどれくらい?(目安)
前回の記事「【費用がわかる】セメント瓦のメンテナンス」で詳しく解説しましたが、ここでも目安だけご紹介します。
- 費用相場(30坪程度の一般的な戸建て・足場代込み): 約40万円~90万円
- 費用の幅は、主に使用する上塗り塗料のグレードによって変わります。
- その他、屋根の面積、形状、劣化状況(下塗り回数や補修の要否)、業者によって費用は変動します。
正確な費用を知るためには、必ず複数の業者に現地調査を依頼し、詳細な見積もりを取ることが重要です。
▼ もっと詳しく知りたい方はこちら!
DIYは絶対ダメ!セメント瓦塗装はプロに任せるべき理由
「自分で塗れば安上がりかも?」と思うかもしれませんが、セメント瓦の塗装DIYは絶対にやめましょう。
- 危険すぎる!: 屋根の上は想像以上に高く、滑りやすい場所です。転落すれば命に関わる大事故につながります。
- 失敗のリスク大!: 正しい知識や技術がないまま塗装すると、ムラになったり、すぐに剥がれたり、最悪の場合は雨漏りを引き起こしたりする可能性があります。特に下地処理や下塗りはプロの経験が不可欠です。
- 結局高くつくことも: 失敗してプロにやり直しを依頼すると、最初から頼むよりも余計な費用と時間がかかってしまいます。
安全と品質のため、セメント瓦の塗装は必ず経験豊富なプロの塗装業者に依頼してください。
まとめ:適切な塗装で大切なセメント瓦を長持ちさせよう!
セメント瓦にとって、塗装は美観を保つだけでなく、屋根材自体を水から守り、その寿命を全うさせるために不可欠なメンテナンスです。
10年~15年ごとの定期的な塗り替えを基本とし、色あせ、汚れ、チョーキングなどの劣化サインを見つけたら、早めに専門業者に相談しましょう。
塗装工事を成功させる鍵は、丁寧な高圧洗浄と下地処理、そしてセメント瓦の特性に合わせた適切な下塗りです。塗料選びでは、適用下地を確認し、少しグレードの高い耐久性のある塗料を選ぶのが長期的に見ておすすめです。
DIYは絶対に避け、信頼できるプロの業者を見つけることが何より重要です。相見積もりを取り、説明の丁寧さや実績、保証内容などをしっかり比較検討しましょう。
適切な時期に、適切な方法で塗装を行うことで、セメント瓦の屋根はまだまだ活躍してくれます。この記事が、あなたの屋根メンテナンス計画の一助となれば幸いです。
クイック屋根工事
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「兵庫県姫路市で屋根修理をお願いしましたが、親切な対応と確かな技術で大満足です!」(50代・女性)
「雨漏りが気になっていましたが、しっかりと原因を特定し、丁寧に施工していただきました」(40代・女性)
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