HOME » 屋根修理を依頼する前に » 屋根修理と火災保険 » 【スレート屋根の雹(ひょう)被害】ひび割れ・欠けは放置厳禁!修理方法と火災保険活用のポイント

「バチバチバチッ! すごい音がしたけど、うちのスレート屋根、大丈夫かな…」
「雹(ひょう)でスレート屋根が割れたり欠けたりするって本当?」
「もし被害に遭ったら、どうやって修理すればいいの?火災保険は使える?」

多くの戸建て住宅で採用されている「スレート屋根(カラーベスト、コロニアルとも呼ばれます)」。比較的安価で施工しやすく、デザインも豊富なため人気の屋根材ですが、実は雹(ひょう)のような強い衝撃に対しては、注意が必要な側面も持っています。

「スレート屋根の雹被害って、どんな感じになるの?」
「小さなひび割れくらいなら、放っておいても平気?」
「修理費用はどれくらい?火災保険でカバーできる?」

この記事では、そんなスレート屋根の雹被害に関する疑問や不安を解消するため、
「スレート屋根が雹被害を受けた場合の具体的な症状とは?」
「ひび割れや欠けを放置する危険性」
「被害に遭った場合の適切な補修方法と費用の目安」
「火災保険を賢く活用するための条件と申請のポイント」
について、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します!

スレート屋根とは?~その特徴と雹への耐性~

スレート カラーベスト

まず、スレート屋根の基本的な特徴と、雹に対する一般的な耐性について理解しておきましょう。

スレート屋根(化粧スレート)とは、セメントと繊維質を主原料として、薄い板状に成形された屋根材です。厚さは5mm程度と薄く、比較的軽量なため、多くの戸建て住宅で広く採用されています。

【スレート屋根の主な特徴】

  • 比較的安価: 材料費・施工費を抑えやすい。
  • 軽量: 建物への負荷が少なく、耐震性の面では瓦屋根などより有利。
  • デザイン・色が豊富: 様々な外観の住宅に合わせやすい。
  • 施工しやすい: 広く普及しているため、対応できる業者が多い。
  • 割れやすい: 薄い板状であるため、衝撃に弱く、ひび割れたり欠けたりしやすい。
  • 定期的な塗装メンテナンスが必要: 表面の塗装が劣化すると、防水性が低下し、スレート自体が水分を吸収して反りや割れの原因になる。

スレート屋根の雹(ひょう)への耐性は?

屋根材のひび割れ

スレート屋根は、その材質と形状から、雹のような局所的な強い衝撃に対しては、残念ながら比較的弱いと言わざるを得ません。

  • ひび割れ・欠けが生じやすい
    • 雹が直撃すると、表面に細かなひび割れ(ヘアクラック)が生じたり、角や端が欠けたりすることがよくあります。
    • 雹の大きさや硬さ、落下速度によっては、スレート板自体が割れてしまうこともあります。
  • 衝撃痕(雹痕)が残ることも
    • 割れや欠けに至らなくても、表面に雹が当たった跡(雹痕)が無数に残ることがあります。
  • 防水性の低下
    • ひび割れや欠け、あるいは多数の雹痕によって表面の塗装が損傷すると、そこからスレート材が水分を吸収しやすくなり、防水性が低下します。

ある屋根修理専門業者の報告によれば、実際に雹被害の調査で屋根に上がってみると、事前のドローン調査では数カ所しか確認できなかった損傷が、実際には十数カ所に及んでいたというケースもあるようです。これは、スレート屋根の雹による損傷が、細かく広範囲に発生しやすいことを示唆しています。

スレート屋根が雹(ひょう)被害を受けた場合の具体的な症状

屋根工事 ひび割れ

実際にスレート屋根が雹の被害に遭うと、どのような症状が現れるのでしょうか?

  1. 屋根材表面のひび割れ(クラック)
    • 雹が当たった箇所を中心に、線状の細いひび割れ(ヘアクラック)や、より明確な亀裂が生じます。
    • 最初は目立たない小さなひび割れでも、放置すると徐々に拡大していくことがあります。
  2. 屋根材の欠け・割れ
    • スレート屋根材の角や端の部分が、雹の衝撃で欠けてしまうことがあります。
    • 衝撃が大きい場合は、スレート板自体が完全に割れてしまうこともあります。
  3. 多数の打痕(雹痕)
    • 屋根材の表面に、雹が当たったことによる小さなへこみや傷跡(雹痕)が無数に発生することがあります。
    • これらの雹痕は、塗装の劣化を早める原因となります。
  4. 屋根材の浮き・ズレ(まれに)
    • 強い衝撃や、それに伴う下地の動きなどによって、スレート屋根材がわずかに浮き上がったり、ズレたりする可能性も考えられます。
  5. 棟板金(むねばんきん)のへこみ・損傷
    • 屋根の頂上部などを覆っている金属製の棟板金も、雹によってへこんだり、傷ついたりすることがあります。

「雨漏りしてないから大丈夫」は危険なサインかもしれません。

 スレート屋根の場合、ひび割れや欠けがあっても、すぐに雨漏りが発生するとは限りません。屋根材の下には防水紙(ルーフィング)が敷かれているため、ある程度の雨水の浸入は防いでくれます。しかし、それはあくまで二次防水であり、根本的な解決にはなりません。

雹で傷んだスレート屋根を放置する危険性:見えないところで進行するダメージ

「小さなひび割れくらいなら、修理しなくても大丈夫だろう」と、雹で傷んだスレート屋根を放置してしまうと、以下のような深刻な問題に発展する可能性があります。

  1. 雨漏りの発生
    • ひび割れや欠けから雨水が浸入し、防水紙(ルーフィング)を通過して屋根裏へ達し、雨漏りを引き起こします。
    • 最初は気づきにくいわずかな雨漏りでも、徐々に被害が拡大し、天井や壁のシミ、カビの発生に繋がります。
  2. 屋根下地(野地板)の腐食
    • 浸入した雨水によって、屋根材の下にある野地板(木製の板)が湿った状態が続くと、腐食が進み、強度が低下します。
    • 野地板が腐食すると、屋根材を固定している釘が効かなくなり、屋根材のズレや脱落、強風による飛散のリスクが高まります。
  3. 防水紙(ルーフィング)の劣化促進
    • スレート屋根材の損傷箇所から浸入した雨水は、防水紙に直接触れることになります。防水紙も経年劣化するため、常に水にさらされることで劣化が早まり、防水機能が低下します。
  4. 建物の構造体へのダメージ
    • 雨漏りが進行し、屋根裏から柱や梁といった建物の主要な構造部分にまで水が達すると、木材の腐食や鉄骨のサビなどを引き起こし、住宅全体の耐久性を著しく低下させる可能性があります。
  5. 修理費用の増大
    • 初期の小さなひび割れであれば、比較的安価な補修で済む場合が多いです。しかし、放置して雨漏りや下地の腐食にまで被害が拡大すると、屋根全体の葺き替えや大規模な修繕が必要となり、修理費用が大幅に高額になってしまいます。

このように、スレート屋根の雹被害は、見た目以上に深刻なダメージを内部に引き起こしている可能性があり、放置することは推奨されません。

スレート屋根が雹(ひょう)被害に遭ったら?適切な対処法と修理のポイント

もし、ご自宅のスレート屋根が雹の被害を受けたと感じたら、慌てずに以下の手順で対処しましょう。

  1. 安全の確保と状況確認(無理のない範囲で)
    • まずはご自身の安全を確保してください。
    • 天候が回復してから、地上から見える範囲で屋根の状態を確認します。絶対に自分で屋根に登ってはいけません。 スレート屋根は滑りやすく、また割れている箇所を踏み抜く危険性もあります。
    • 可能であれば、被害状況を写真や動画で記録しておきましょう(火災保険申請に役立ちます)。
  2. 専門業者に点検・調査を依頼する
    • 早急に、屋根修理の専門業者に連絡し、詳細な点検と調査を依頼します。
    • 業者は、屋根に登って被害の範囲や程度、下地への影響などを正確に把握し、最適な修理方法と見積もりを提示してくれます。
  3. 火災保険の確認と申請手続き
    • 雹によるスレート屋根の割れや欠けは、火災保険の「雹災(ひょうさい)」補償の対象となる可能性が高いです。ご加入の火災保険の契約内容を確認し、保険会社または代理店に速やかに連絡しましょう。
    • 適用条件のポイント
      • 自然災害によるものか: 雹による被害であることが明確である必要があります。「経年劣化」による割れと判断されると保険適用外となります。この判断は専門家でも難しい場合があるため、まずは業者に相談し、保険会社に申請してみることが推奨されます。
      • 被害発生から3年以内か: 保険金の請求期限は原則3年です。
      • 免責金額を超えているか: 修理費用が免責金額(自己負担額)以下の場合は保険金は支払われません。
    • 申請に必要なもの(一般的): 被害状況の写真、修理業者の見積書、保険金請求書、事故状況説明書など。
    • 注意点
      • 「火災保険を使えば無料で修理できる」と安易に契約を迫る業者や、不必要な工事を勧める業者には注意が必要です。
      • 保険金の支払いは保険会社の判断によります。修理契約は、保険金の支払い額が確定してから行うのが賢明です。

スレート屋根の雹被害の主な補修方法

屋根 ひび割れ
  • 部分的な補修(シーリング材や専用補修材による)
    • 内容: 小さなひび割れや数枚程度の軽微な割れの場合。
    • ひび割れ箇所に専用のシーリング材を充填したり、スレート屋根専用の接着補修材(例:タスマジックなど)を使用して補修します。専用補修材の中には、裏面まで浸透して強力に接着し、補修箇所の強度を元よりも高めることができる製品もあります。
    • 費用相場:数万円程度~(補修箇所数や使用する材料による)
  • 部分的な差し替え
    • 内容: 割れや欠けが大きいスレート屋根材を、新しいものに部分的に交換(差し替え)します。
    • 費用相場:1枚あたり数千円~1万円程度+諸経費(足場の有無や作業の難易度による)
  • 屋根カバー工法
    • 内容: 被害が広範囲に及んでいる場合や、スレート屋根全体の劣化が進んでいる場合。既存のスレート屋根の上に、新しい軽量な屋根材(ガルバリウム鋼板など)を被せて覆う工法です。
    • 費用相場:一般的な30坪の家で約80万円~150万円程度(足場代含む。使用する屋根材による)
  • 屋根葺き替え工事
    • 内容: スレート屋根材だけでなく、その下の防水紙や野地板も著しく劣化している場合。既存の屋根を全て撤去し、新しい屋根材に交換する工法です。
    • 費用相場:一般的な30坪の家で約100万円~200万円程度(足場代、既存屋根撤去処分費含む。使用する屋根材による)

【表】スレート屋根 雹被害の補修方法と費用目安

被害状況主な補修方法費用相場の目安(一般的な戸建て住宅)
小さなひび割れ、数枚程度の軽微な割れ・欠けシーリング材や専用補修材による部分補修、部分的な差し替え数万円~(部分補修)、1枚あたり数千円~1万円+諸経費(差し替え)
広範囲のひび割れ・欠け、屋根全体の劣化が進んでいる場合屋根カバー工法約80万円~150万円(足場代含む)
下地(防水紙・野地板)まで著しく劣化している場合屋根葺き替え工事約100万円~200万円(足場代、撤去処分費含む)

※上記の費用はあくまで一般的な目安であり、実際の費用は被害の程度、屋根の面積や形状、足場の有無、選択する補修方法や材料、地域、依頼する業者などによって大きく変動します。必ず複数の業者から見積もりを取り、詳細な内訳を確認しましょう。

修理業者選びのポイント

  • スレート屋根の修理実績が豊富な業者を選びましょう。
  • 火災保険を利用した修理の経験が豊富な業者だと、申請手続きのサポートも期待できます。
  • 施工前後の写真をしっかりと提出してくれる業者を選びましょう(特に踏み割れなどのトラブル防止のため)。

雹(ひょう)被害に備える!スレート屋根の予防策とメンテナンス

雹の被害を完全に防ぐことは難しいですが、日頃からの備えやメンテナンスによって、被害を最小限に抑えることは可能です。

  1. 定期的な屋根塗装メンテナンス
    • スレート屋根は、表面の塗装が防水性や耐久性を維持する上で非常に重要です。一般的に10年~15年ごとに再塗装を行うことで、スレート材自体の劣化を遅らせ、衝撃に対する強度もある程度維持することができます。
  2. 耐久性の高い屋根材への葺き替え検討
    • スレート屋根の寿命(一般的に20~30年程度)が近づいている場合や、雹害のリスクが高い地域にお住まいの場合は、より衝撃に強い屋根材(例:ガルバリウム鋼板、防災瓦など)への葺き替えを検討することも有効な予防策です。
  3. 早期発見・早期補修
    • 定期的な点検(専門業者によるものが望ましい)を行い、小さなひび割れや欠けでも早期に発見し、補修することが、被害の拡大を防ぎ、結果的に大きな修理費用を抑えることに繋がります。

まとめ:スレート屋根の雹被害、甘く見ずに適切な対処と保険活用を!

スレート屋根は、その特性上、雹(ひょう)による被害を受けやすい屋根材です。「少しくらいのひび割れなら大丈夫」と放置してしまうと、雨漏りや建物の構造体へのダメージといった深刻な事態を招きかねません。

スレート屋根の雹被害で後悔しないための重要ポイント

  • スレート屋根は雹でひび割れや欠けが生じやすいことを理解する。
  • 小さな損傷でも放置せず、雨漏りや下地腐食のリスクを認識する。
  • 被害に遭ったら、自分で屋根に登らず、速やかに専門業者に点検を依頼する。
  • 火災保険の「雹災補償」が適用できる可能性が高いので、保険会社に確認・申請する。
  • 修理は、被害状況に応じて、部分補修、差し替え、カバー工法、葺き替えなどを検討する。
  • 日頃から定期的な塗装メンテナンスや点検を心がけ、屋根の健全性を維持する。

万が一、雹被害に遭ってしまった場合は、慌てずに専門家のアドバイスを受けながら、適切な手順で対応することが大切です。この記事が、あなたのスレート屋根を守るための一助となれば幸いです。

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