HOME » 屋根修理を依頼する前に » 屋根の形状 » 【軒ゼロ住宅とは?】流行のデザインに隠されたメリット・デメリットを徹底解説!後悔しない家づくりのために

「最近よく見る、あのスッキリした箱型の家、おしゃれだな…」
「軒(のき)がない家って、雨とか大丈夫なのかな?」

街を歩いていると、屋根の出っ張りがほとんどない、シンプルでスタイリッシュなデザインの家をよく見かけるようになりましたよね。こうした住宅は「軒ゼロ住宅」と呼ばれ、近年その人気が高まっています。

でも、この「軒ゼロ住宅」、一体どんな家なのでしょうか?
「デザインがおしゃれなのはわかるけど、住み心地はどうなの?」
「雨漏りしやすいって聞くけど、本当?」
「メリットとデメリットをちゃんと知って、後悔のない家選びをしたい!」

そんな疑問や不安をお持ちのあなたのために、この記事では「軒ゼロ住宅」の基本から、気になるメリット・デメリット、そして後悔しないための注意点まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します!

そもそも「軒(のき)」って何?「軒ゼロ」の定義とは?

まず、「軒ってどこ?」という基本からおさらいしましょう。

「軒(のき)」とは、家の外壁から外側に出っ張っている屋根の先端部分のことを指します。具体的には、屋根の傾斜が下がりきった、地面と平行になっている部分です。多くの場合、この軒先には雨樋(あまどい)が取り付けられています。

【図解】軒(のき)とケラバの違い

名称説明雨樋の有無
外壁から出っ張った屋根の先端(地面と平行)あり
ケラバ外壁から出っ張った屋根の先端(屋根の傾斜なり、雨樋なし)なし

※ケラバは、切妻屋根や片流れ屋根に見られます。寄棟屋根は全方向が軒になります。

そして、「軒ゼロ住宅」とは、この「軒」が全くない、または軒の出(軒の先端までの長さ)が非常に短い住宅のことを言います。
明確な定義があるわけではありませんが、一般的に日本住宅保証検査機構(JIO)などでは、以下のような目安が示されています。

  • 軒先: 柱の中心から軒の先端まで250mm以下
  • ケラバ: 150mm以下
  • 片流れ屋根の棟(屋根の一番高い部分): 150mm以下

昔ながらの日本の家は、深い軒を持つものが一般的で、その軒の出は90cm程度ありました。しかし、最近の住宅では軒の出が短い傾向にあり、戸建て住宅の約半数が軒の出60cm未満、首都圏では約4割が40cm未満という調査結果も出ています。

なぜ人気?「軒ゼロ住宅」4つの魅力(メリット)

では、なぜ軒ゼロ住宅がこれほど人気を集めているのでしょうか?その主な魅力を4つのポイントにまとめてみました。

1. 洗練されたモダンなデザイン

  • シンプル&スタイリッシュ: 軒がないことで、建物全体がスッキリとした箱型(キューブ型)に見え、シャープで都会的な印象を与えます。
  • デザイン性の高さ: 凹凸の少ないシンプルな外観は、モダンデザインを好む層に強く支持されています。
  • 「古風さ」からの脱却: 伝統的な深い軒のある家と比較して、より現代的でおしゃれなイメージを求める方に選ばれています。

2. 敷地を最大限に活用!広々とした居住空間

  • 都市部の狭小地に最適: 敷地が限られている都市部では、建物の外壁を敷地境界線ギリギリまで寄せたいというニーズがあります。軒の出がない、または短いことで、建ぺい率や斜線制限といった法規制の中で、居住スペースを最大限に確保しやすくなります。
  • 室内空間の広さ優先: 同じ敷地面積でも、軒がない分、室内空間を広く取れる可能性があります。

3. コストダウンの可能性も?建築費用の抑制

  • 材料費の削減: 軒がない、または短いということは、屋根材、垂木(たるき:屋根の骨組み)、防水シート、軒天材(軒の裏側の板)などの材料が少なくて済みます。
  • 施工費用の削減: 使用する材料が減れば、それに伴う施工の手間や費用も抑えられる可能性があります。
  • 軒天メンテナンス費用の削減: 軒がなければ「軒天」という部分自体が存在しないため、将来的な軒天の塗装や修理といったメンテナンス費用もかかりません。

(ただし、軒をなくすことで後述するデメリットへの対策費用が発生する場合もあるため、トータルコストで考える必要があります。)

4. 明るい室内空間を実現

  • 自然光を取り込みやすい: 軒による日陰が少なくなるため、窓から自然光が入りやすくなり、室内が明るくなる効果が期待できます。
  • 開放感の向上: 日差しが奥まで届きやすくなることで、部屋全体が明るく開放的な雰囲気になることも。

これらのメリットから、特にデザイン性を重視する方や、都市部の限られた敷地で家を建てる方、コストを抑えたい若い世代などに軒ゼロ住宅は選ばれています。

要注意!「軒ゼロ住宅」に潜む3つの懸念点(デメリット)

マンション 雨漏り

デザイン性が高く、空間を有効活用できる軒ゼロ住宅ですが、メリットばかりではありません。日本の気候風土を考えると、無視できないデメリットも存在します。特に「雨漏りのリスク」については、多くの専門家が警鐘を鳴らしています。

1. 雨漏りリスクの増大:最も深刻なデメリット

これが軒ゼロ住宅の最大の懸念点と言えるでしょう。日本住宅保証検査機構(JIO)の調査では、保険金支払いの対象となった雨漏り事故案件のなんと約7割が軒ゼロに該当するものだったというデータもあります。

なぜ雨漏りしやすいのでしょうか?

  • 外壁が直接雨風にさらされる
    軒は、いわば家の「傘」の役割を果たし、外壁を雨や紫外線から守っています。軒がない、または短いと、外壁が直接雨風にさらされる面積と時間が増え、雨水が浸入しやすくなります。
    • 国土交通省の資料 によると、軒の出が90cmあれば軒下1m付近まではほとんど雨に濡れないのに対し、軒の出が15cm(軒ゼロに近い状態)だと、軒のすぐ下まで強く雨にさらされることが示されています。
  • 屋根と外壁の取り合い(接合部)からの浸水
    屋根と外壁が接する部分は、異なる素材がぶつかるため、元々雨漏りのリスクが高い箇所です。軒があれば、この部分が雨に直接打たれるのをある程度防げますが、軒ゼロ住宅ではこの「弱点」がむき出しの状態になります。特に、片流れ屋根の棟部分(屋根の一番高い部分)は、軒ゼロの中でも雨漏り事故が最も多いと報告されています。
  • 雨樋の不具合が直結
    軒が短いと、雨樋は外壁ギリギリに設置されることになります。雨樋が詰まったり、破損したりすると、雨水が外壁を直接伝い、劣化を早めたり、わずかな隙間から浸水したりする原因になります。

2. 外壁の劣化促進:美観と耐久性の低下

軒による保護がないため、外壁は雨水だけでなく、紫外線にも直接さらされ続けます。

  • 塗装の劣化
    外壁の塗装は、雨や紫外線によって徐々に劣化し、防水機能が低下します。軒ゼロ住宅では、この劣化スピードが早まる傾向にあります。
  • シーリング材の劣化
    サイディング外壁の目地や窓まわりに使用されるシーリング材も、紫外線や雨風の影響で硬化・ひび割れ・剥離しやすく、雨水の浸入口となります。
  • 外壁材自体の劣化
    窯業系サイディングなどは、表面の塗装が劣化すると水分を吸収しやすくなり、反りやひび割れの原因になることもあります。

結果として、外壁の美観が損なわれるのが早まり、塗り替えなどのメンテナンス周期も短くなる可能性があります。

3. 室内環境への影響:夏の暑さと冬の寒さ、そして換気の問題

軒は、日差しのコントロールにも役立っています。

  • 夏の日差しが直接侵入
    軒がないと、夏場の高い位置からの強い日差しが窓から直接室内に入り込みやすくなり、室温が上昇しやすくなります。エアコンの負荷が増え、光熱費が上がることも。また、床材や家具が日焼けしやすくなるというデメリットもあります。
  • 雨天時の窓開け換気が困難
    強い雨が降っている場合、軒がないと窓を開けると雨が吹き込みやすいため、換気がしにくくなります。
  • 室外機など外部機器への負担増
    エアコンの室外機やエコキュートのヒートポンプユニットなどが、雨風や直射日光に直接さらされることで、劣化が早まったり、運転効率が低下したりする可能性があります。

さらに、軒は小屋裏(屋根裏)換気や外壁通気のための重要な役割も担っています。軒ゼロ住宅では、これらの換気・通気経路を適切に確保するための設計・施工に、より一層の注意が必要となります。換気が不十分だと、結露やカビの発生、木材の腐食などに繋がる恐れがあります。

【表で比較】軒あり vs 軒ゼロ メリット・デメリットまとめ

項目軒のある住宅(従来型)軒ゼロ住宅
デザイン伝統的、落ち着いた印象モダン、スタイリッシュ、シンプル
居住空間軒の分だけ建築面積が小さくなる可能性敷地を最大限活用し、居住空間を広くとりやすい
建築コスト軒の材料費・施工費がかかる軒がない分、コストダウンの可能性あり
室内の明るさ軒の影でやや暗くなることも自然光を取り込みやすく、明るい室内を実現しやすい
雨漏りリスク低い(軒が外壁や取り合いを保護)高い(外壁や取り合いが直接雨風にさらされる)
外壁の耐久性高い(軒が雨や紫外線から保護)低い(雨や紫外線による劣化が早い)
夏の室温軒が日差しを遮り、比較的涼しい日差しが直接入り、室温が上がりやすい
雨天時の換気多少の雨なら窓を開けやすい雨が吹き込みやすく、窓を開けにくい
小屋裏・外壁換気軒天を利用して換気経路を確保しやすい換気経路の設計・施工に高度な技術が必要
メンテナンス軒天のメンテナンスが必要軒天のメンテナンスは不要(ただし外壁のメンテナンス周期は早まる可能性)

「軒ゼロ住宅」で後悔しないための重要ポイントと対策

「デメリットが多いなら、軒ゼロはやめた方がいいの?」と思われるかもしれません。しかし、適切な設計と施工、そして将来的なメンテナンスをしっかり行えば、軒ゼロ住宅でも快適に暮らすことは可能です。
ここでは、軒ゼロ住宅を選ぶ際に後悔しないための重要なポイントと対策をご紹介します。

1. 雨漏り対策は最重要!信頼できる業者選びと防水施工

  • 実績と技術力のある業者を選ぶ
    軒ゼロ住宅の設計・施工には高度な防水技術が求められます。軒ゼロ住宅の施工実績が豊富で、雨仕舞(あまじまい:雨水の浸入を防ぐ処理)に関する知識と技術力の高い業者を選びましょう。
  • 防水施工の徹底
    • 屋根と外壁の取り合い部分: 防水テープや防水シート、水切り板金などを正しく施工し、雨水の浸入経路を徹底的に塞ぐことが重要です。
    • 透湿防水シートと通気層の確保: 外壁材の内側には、湿気は通すが水は通さない「透湿防水シート」を施工し、その外側に空気の通り道となる「通気層」を設けることで、壁内への雨水浸入を防ぎ、万が一浸入した雨水や湿気を排出します。
    • 開口部(窓・ドア)まわりの防水処理: 窓やドアのまわりも雨漏りのリスクが高い箇所です。防水テープなどで入念な防水処理が必要です。
  • 専用の換気部材の採用
    軒ゼロ住宅に対応した、防水性能の高い軒先換気部材や棟換気部材を使用することで、雨水の浸入を防ぎつつ、必要な換気を確保できます。

2. 外壁材の選定とメンテナンス計画

  • 耐久性の高い外壁材を選ぶ
    雨風や紫外線に強い、耐久性の高い外壁材(例:高品質な窯業系サイディング、ガルバリウム鋼板など)を選びましょう。特にガルバリウム鋼板は、メンテナンス性が高いとされています。
  • 定期的な点検とメンテナンス
    外壁の塗装やシーリングの劣化は避けられません。一般的な住宅よりも早めの周期(例:新築後7~8年程度)で専門業者による点検を受け、必要に応じて塗り替えやシーリングの打ち替えを行いましょう。

3. 日射対策と換気計画

  • 窓の性能向上
    • 遮熱・断熱性能の高い窓ガラス(Low-E複層ガラスなど) を採用する。
    • 特に西日や朝日が差し込む窓には、日射遮蔽型ガラスを検討する。
  • 窓への庇(ひさし)の設置
    軒がなくても、窓の上部に小さな庇を設けることで、雨の吹き込みを防ぎ、ある程度の日射を遮ることができます。
  • 外付けブラインドやシェードの活用
    夏場の強い日差しを効果的に遮るためには、窓の外側に日除け(オーニング、すだれ、外付けブラインドなど)を設置するのが非常に有効です。
  • 適切な換気システムの導入
    全館空調システムや24時間換気システムを適切に計画・導入し、機械換気によって室内の空気をきれいに保ちましょう。

4. 雪国での注意点

雪が多く降る地域では、軒ゼロ住宅はあまり推奨されません。屋根に積もった雪が「雪止め」を越えて直接外壁に落ちたり、凍結融解を繰り返したりすることで、外壁や構造体にダメージを与える可能性があるためです。

まとめ:デザイン性と機能性のバランスを見極め、賢い家づくりを

軒ゼロ住宅は、その洗練されたデザインと空間効率の良さから、多くの人を魅了しています。しかし、その一方で、雨漏りリスクや外壁の劣化、室内環境への影響といったデメリットも理解しておく必要があります。

大切なのは、デザイン性だけでなく、日本の気候風土に適した機能性とのバランスを考えることです。

軒ゼロ住宅を選ぶ場合は、

  • メリット・デメリットを十分に理解する。
  • 雨漏り対策と防水施工に万全を期す。
  • 信頼できる設計者・施工業者を選ぶ。
  • 将来的なメンテナンス計画を立てておく。

これらのポイントを押さえて、後悔のない、快適で安心なマイホームを実現してくださいね。この記事が、あなたの家づくりの一助となれば幸いです。

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