「アスファルト防水って、昔ながらの信頼できる工法なんでしょ?」
「でも、”熱工法”とか”トーチ工法”とか、種類がたくさんあってよく分からない…」
「うちの建物の屋上には、どのアスファルト防水が合っているの?」
建物の屋上や地下など、厳しい環境下で確実な防水性能が求められる場所に古くから採用されてきた「アスファルト防水」。その高い防水性と耐久性は、100年以上の歴史と実績に裏付けられています。
しかし、一口に「アスファルト防水」と言っても、実は施工方法によっていくつかの「種類(工法)」があり、それぞれに特徴やメリット・デメリット、適した用途が異なります。適切な工法を選ばないと、期待した防水効果が得られなかったり、思わぬトラブルに見舞われたりする可能性も…。
この記事では、
「アスファルト防水にはどんな種類の工法があるの?」
「それぞれの工法の特徴や違いを詳しく知りたい!」
「どの工法がうちの建物に適しているの?選び方のポイントは?」
「施工時の注意点も知っておきたい!」
といった疑問を解消するため、アスファルト防水の主要な工法の種類と特徴、メリット・デメリット、そして選び方のポイントまで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します!
アスファルト防水とは?~100年以上の歴史を持つ、信頼の防水技術~
まず、アスファルト防水の基本的な仕組みをおさらいしましょう。
アスファルト防水とは、液状に溶かしたアスファルト、または改質アスファルトを含浸・コーティングしたシート状の防水材「ルーフィング」を、複数枚重ねて貼り合わせることで、強固で水密性の高い防水層を形成する工法です。
その歴史は非常に古く、日本でも100年以上前から採用されており、特に官公庁の建物や大規模なビル、マンションなど、高い防水性能と耐久性が求められる場所で多く用いられてきました。まさに、防水工事の「王道」とも言える工法です。
アスファルト防水の主な種類(工法):熱、炎、それとも粘着?
アスファルト防水は、ルーフィングシートの貼り付け方や使用するアスファルトの状態によって、主に以下の3つの種類(工法)に分類されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 熱工法(ねつこうほう)
- 概要:
- アスファルト防水の中で最も古くから行われている伝統的な工法です。
- 現場でアスファルト溶融釜(ようゆうがま)を使用し、アスファルトを220℃~270℃程度の高温に熱して溶かし、液状になったアスファルトをルーフィングシートと下地の間に流し込みながら、複数枚のルーフィングシートを積層して防水層を形成します。
- 特徴:
- 防水層が厚く、非常に高い防水性と耐久性を誇ります。
- 長年の実績があり、信頼性が高い工法です。
- 主に大規模な新築工事(ビル、マンション、学校など)で採用されることが多いです。
- メリット:
- 防水性能が最も高いと言われています。
- 実績が豊富で、信頼性が確立されている。
- 耐久性が高く、長寿命が期待できる(耐用年数:15年~25年程度)。
- デメリット・注意点:
- 施工時に強い臭いや煙が発生するため、近隣への配慮や対策が不可欠です。
- 高温のアスファルトを扱うため、火傷などの危険が伴い、高度な安全管理が必要です。
- アスファルト溶融釜などの大型設備が必要となるため、小規模な工事には不向きな場合があります。
- 防水層が重くなるため、建物の構造によっては採用できないことがあります。
- 単価目安: 約7,800円~15,000円/㎡
2. トーチ工法(とーちこうほう)
- 概要:
- 「改質アスファルトシート防水」の一種で、シートの裏面(または両面)にあらかじめアスファルト層がコーティングされた「改質アスファルトルーフィングシート」を使用し、そのアスファルト層をトーチバーナーの強力な炎(800℃~1000℃程度)で炙りながら溶かし、下地や重ねるシートに圧着していく工法です。
- 特徴:
- 熱工法のような大規模な溶融釜が不要で、比較的機動的に施工できます。
- 改質アスファルトシートは、通常のアスファルトに比べて温度変化に強く、低温でのひび割れや高温でのダレが起こりにくいという特性があります。
- 新築工事だけでなく、改修工事でも広く採用されています。
- メリット:
- 熱工法に比べて、臭いや煙の発生が少ない。
- 施工性が良く、工期を短縮できる場合がある。
- 改質アスファルトシートの高い耐久性と防水性が得られる。
- 寒冷地での施工にも適している。
- デメリット・注意点:
- トーチバーナーの火気を使用するため、火災のリスクがあり、徹底した安全管理と周囲への配慮が必要です。特に木造部分や可燃物が近くにある場合は注意が必要です。
- シートの炙り加減や圧着には熟練した技術が必要で、施工不良は防水性能の低下に直結します。
- 下地が湿っていると施工できない場合があります。
- 単価目安: 約6,500円~8,200円/㎡
3. 常温粘着工法(じょうおんねんちゃくこうほう)※冷工法(れいこうほう)とも呼ばれる
- 概要:
- こちらも「改質アスファルトシート防水」の一種で、シートの裏面にあらかじめ強力な粘着層が加工された「粘着層付き改質アスファルトルーフィングシート」を使用し、剥離紙を剥がしながら下地や重ねるシートに貼り付けていく工法です。
- 特徴:
- 火気や高温のアスファルトを一切使用しないため、安全性が高く、臭いや煙もほとんど発生しません。
- 環境への配慮や、火気使用が制限される場所での施工に適しています。
- 主に改修工事で採用されることが多いですが、新築工事でも選択肢の一つとなります。
- メリット:
- 火気を使用しないため、安全性が非常に高い。
- 臭いや煙の発生がほとんどなく、周辺環境への影響が少ない。
- 施工が比較的容易で、特別な設備も不要。
- デメリット・注意点:
- 熱工法やトーチ工法に比べると、接着強度がやや劣る場合があると言われています。(ただし、製品の改良は進んでいます)
- 低温時(一般的に5℃以下)には粘着力が低下するため、施工に適さない場合があります。
- 下地の清掃や乾燥が不十分だと、接着不良を起こしやすい。
- 材料費が他の工法に比べてやや高くなる傾向があります。
- 単価目安: 約5,000円~8,900円/㎡
【表】アスファルト防水の主な3種類の比較
特徴項目 | 熱工法 | トーチ工法 | 常温粘着工法(冷工法) |
---|---|---|---|
主な材料 | 溶融アスファルト、アスファルトルーフィング | 改質アスファルトルーフィングシート | 粘着層付き改質アスファルトルーフィングシート |
施工方法 | 高温で溶かしたアスファルトで積層 | トーチバーナーでシート裏面を炙り圧着 | 剥離紙を剥がして貼り付け |
防水性能 | 非常に高い | 高い | 比較的高い(他の2工法に比べるとやや劣る場合も) |
耐久性(目安) | 15年~25年 | 12年~20年 | 12年~18年 |
臭い・煙 | 強い | ややあり | ほとんどなし |
火気使用 | あり(溶融釜) | あり(トーチバーナー) | なし |
施工性 | 大規模設備要、熟練技術要 | 比較的容易だが熟練技術要 | 比較的容易 |
コスト | 高い(特に小規模工事) | 中程度 | 中程度~やや高い(材料費) |
適した場所 | 大規模新築(ビル・マンション等) | 新築・改修、寒冷地 | 改修、火気厳禁場所、臭いが気になる場所 |
(耐用年数、単価目安は一般的な目安です。)
どのアスファルト防水を選べばいい?~建物と状況に合わせた最適な選択~
「うちの建物には、どの種類のアスファルト防水が適しているの?」と悩む方も多いでしょう。最適な工法を選ぶためには、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 工事の種類(新築か改修か)
- 新築工事(特に大規模): 高い信頼性と実績のある「熱工法」が選択されることが多いです。ただし、近年は環境性能や施工性を考慮し、「トーチ工法」や「常温粘着工法」も採用されつつあります。
- 改修工事: 既存の防水層の種類や状態、周辺環境などを考慮し、「トーチ工法」または「常温粘着工法」が主に選択されます。臭いや火気の問題が少ない「常温粘着工法」が好まれる傾向にあります。
- 建物の規模と形状
- 大規模で平坦な屋上: どの工法も適用しやすいですが、「熱工法」のメリットが活かせます。
- 小規模または複雑な形状: 「トーチ工法」や「常温粘着工法」の方が、機動性や施工のしやすさの点で有利な場合があります。
- 周辺環境への配慮
- 住宅密集地や病院・学校などが隣接する場合: 臭いや煙、騒音の発生が少ない「常温粘着工法」が最も適しています。「トーチ工法」も熱工法よりは影響が少ないですが、火気使用には注意が必要です。
- 住宅密集地や病院・学校などが隣接する場合: 臭いや煙、騒音の発生が少ない「常温粘着工法」が最も適しています。「トーチ工法」も熱工法よりは影響が少ないですが、火気使用には注意が必要です。
- 火気使用の可否
- 施工場所で火気の使用が厳しく制限されている場合は、「常温粘着工法」一択となります。
- 施工場所で火気の使用が厳しく制限されている場合は、「常温粘着工法」一択となります。
- 予算と求める耐久性
- 初期費用を抑えたい場合は、工法や使用するシートのグレードを検討する必要があります。
- 長期的な耐久性を最も重視するなら、実績のある「熱工法」や、高品質な改質アスファルトシートを用いた工法が候補となります。
- 施工業者の技術力と経験
- どの工法を選択するにしても、アスファルト防水は専門的な知識と高度な施工技術が不可欠です。特に「熱工法」や「トーチ工法」は、温度管理や火気の取り扱いに熟練が必要です。
- 依頼する業者が、希望する工法での施工実績が豊富か、資格を持った職人がいるかなどを確認しましょう。
アスファルト防水を依頼する際の注意点:後悔しないために
アスファルト防水工事を依頼する際には、以下の点に注意しましょう。
- 工法と工期の事前確認
どの種類の工法で施工するのか、おおよその工期はどれくらいか、事前にしっかりと確認しましょう。 - 施工実績の確認
業者のウェブサイトや資料で、アスファルト防水の施工実績(特に依頼したい工法での実績)を確認しましょう。 - 相見積もりの取得
複数の業者から見積もりを取り、金額だけでなく、提案内容や使用材料、保証内容などを比較検討することが重要です。 - 安全管理体制の確認
特に「熱工法」や「トーチ工法」の場合、火災や火傷のリスクがあるため、業者の安全管理体制がしっかりしているか確認しましょう。 - 臭いや煙への対策の確認
近隣への影響を最小限に抑えるために、どのような対策を講じてくれるのか確認しましょう。
まとめ:アスファルト防水の種類と特徴を理解し、最適な防水で建物を守ろう!
アスファルト防水は、その長い歴史と確かな実績に裏打ちされた、非常に信頼性の高い防水工法です。しかし、その施工方法にはいくつかの種類があり、それぞれにメリット・デメリット、そして適した用途があります。
アスファルト防水の種類を選ぶ際の重要ポイント
- 熱工法: 最高の防水性と耐久性を誇るが、臭いや煙、火気使用のリスクあり。大規模新築向き。
- トーチ工法: 施工性と耐久性のバランスが良い。臭いや火気は熱工法より少ないが注意は必要。新築・改修向き。
- 常温粘着工法(冷工法): 安全性が高く、臭いや煙もほとんどない。環境配慮型。改修や火気厳禁場所に最適。
これらの特徴を理解し、ご自身の建物の状況、予算、そして周辺環境などを総合的に考慮して、最適な種類のアスファルト防水を選ぶことが、長期的な安心と建物の保護に繋がります。
そして何よりも、アスファルト防水の施工は高度な専門技術が必要です。信頼できる防水工事専門業者に相談し、適切な診断と提案を受け、確実な施工を行ってもらうことが最も重要です。
この記事が、あなたのアスファルト防水工事計画の一助となれば幸いです。
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