「うちの屋根、平らだけどどうやって点検すればいいの?」
「陸屋根って雨漏りしやすいって聞くけど、どんなメンテナンスが必要なの?」
「屋上の防水工事って、いつ頃やるべき?費用はどれくらい?」
スタイリッシュな外観や屋上スペースの有効活用が魅力の「陸屋根(りくやね・ろくやね)」。ビルやマンションだけでなく、最近では一般の戸建て住宅でも採用されるケースが増えています。しかし、その平らな形状ゆえに、雨漏りのリスクや特有のメンテナンスが必要になることをご存知でしょうか?
「うちは陸屋根だけど、点検もメンテナンスもしたことがない…」という方も少なくないかもしれません。
この記事では、
「陸屋根のどこをチェックすればいいの?(点検ポイント)」
「どんな劣化症状が出たら要注意?」
「具体的なメンテナンス方法とタイミングは?」
「防水工事ってどんな種類があるの?費用は?」
といった陸屋根の維持管理に関するあらゆる疑問を解消するため、ご自身でできる日常的なチェックポイントから、専門業者による本格的な点検・メンテナンス方法、そして防水工事の種類と費用目安まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します!
なぜ陸屋根は「点検」と「メンテナンス」が特に重要なの?
陸屋根は、一般的な勾配のある屋根(三角屋根など)とは異なり、いくつかの特徴的な構造を持っています。これらの構造が、定期的な点検とメンテナンスを特に重要にする理由となっています。
- 傾斜がほとんどないため水が溜まりやすい
- 陸屋根は、排水のためにわずかな勾配(水勾配)がつけられていますが、見た目にはほぼ平らです。そのため、雨水が屋根面に長時間滞留しやすく、防水層への負荷が大きくなります。
- 陸屋根は、排水のためにわずかな勾配(水勾配)がつけられていますが、見た目にはほぼ平らです。そのため、雨水が屋根面に長時間滞留しやすく、防水層への負荷が大きくなります。
- 屋根材による保護がない(防水層がむき出し)
- 勾配屋根の多くは、瓦やスレート、金属板といった「屋根材」で表面が覆われていますが、陸屋根の表面は「防水層」そのものです。
- この防水層が、紫外線や雨風、温度変化といった過酷な環境に直接さらされるため、劣化しやすいという側面があります。
- 排水口(ルーフドレン)の詰まりが致命的
- 陸屋根の雨水は、排水口(ルーフドレン)を通じて排水されます。この排水口が落ち葉やゴミなどで詰まってしまうと、屋上がプールのような状態になり、雨漏りのリスクが飛躍的に高まります。
- 陸屋根の雨水は、排水口(ルーフドレン)を通じて排水されます。この排水口が落ち葉やゴミなどで詰まってしまうと、屋上がプールのような状態になり、雨漏りのリスクが飛躍的に高まります。
- パラペットや笠木など、雨漏りの原因となりやすい構造部がある
- 陸屋根の周囲には、立ち上がり壁である「パラペット」や、その天端を保護する「笠木(かさぎ)」といった構造があります。これらの接合部や劣化も雨漏りの原因となりやすい箇所です。
これらの理由から、陸屋根は勾配屋根に比べて雨漏りしやすいと言われることがあり、防水層の性能を維持するための定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠となるのです。
【セルフチェック編】陸屋根の日常的な点検ポイント~自分でできること~
専門業者による詳細な点検も重要ですが、まずはご自身でできる範囲で陸屋根の状態を気にかけてみましょう。
ただし、屋上に上がる際は安全に十分注意し、無理は禁物です。特に高所や足元が不安定な場合は、絶対に自分で登ろうとせず、専門業者に依頼してください。
チェックポイント1:排水口(ルーフドレン)の状態
- 詰まりはないか?
落ち葉、土砂、ゴミ、ビニール袋などが排水口やその周辺に溜まっていないか確認します。 - 排水はスムーズか?
雨が降った後、水たまりができていないか、水はけが悪くないか観察します。 - 周辺の劣化はないか?
排水口周りの防水層に剥がれやひび割れがないかチェックします。
チェックポイント2:防水層の表面状態
- 色褪せ・チョーキング(粉っぽさ)
防水層の表面を保護している「トップコート」の劣化のサインです。 - ひび割れ・亀裂
小さなひび割れでも、放置すると雨水が浸入する原因になります。 - 膨れ・浮き
防水層の下に水蒸気が溜まったり、接着が悪くなったりすると発生します。破裂すると雨漏りに直結します。 - シートの剥がれ・めくれ(シート防水の場合)
シートの継ぎ目や端部が剥がれていないか確認します。 - 雑草の発生
目地やわずかな亀裂から雑草が生えている場合、根が防水層を破壊している可能性があります。無理に抜かずに専門業者に相談しましょう。
チェックポイント3:パラペット・笠木の状態
- パラペットのひび割れ・塗装の剥がれ
パラペット自体が劣化すると、そこから雨水が浸入することがあります。 - 笠木の浮き・ズレ・サビ(金属製の場合)
笠木の固定が緩んでいたり、破損していたりすると、雨水が壁内部に入り込む原因になります。 - 笠木とパラペットの接合部のシーリングの劣化
シーリング材にひび割れや剥がれがないか確認します。
チェックポイント4:その他
- 屋上の手すりやフェンスのグラつき
固定部分から雨水が浸入する可能性があります。 - 屋上に設置しているものの状態
エアコンの室外機やアンテナの架台などが防水層を傷つけていないか確認します。 - 室内への雨漏りの兆候
天井や壁にシミやカビが発生していないか、雨の日にポタポタと音がしないかなど、室内側の変化にも注意しましょう。
これらのセルフチェックは、あくまで初期の劣化を発見するためのものです。少しでも異常を感じたら、早めに専門業者に相談することが大切です。
【プロにお任せ編】陸屋根の本格的な点検と主なメンテナンス方法
セルフチェックで異常が見つかった場合や、定期的なメンテナンス時期(後述)が近づいてきたら、専門業者による詳細な点検と適切なメンテナンスを行いましょう。
1. トップコートの塗り替え
- 目的: 防水層を紫外線や雨風から保護し、劣化を遅らせるため。防水機能そのものを回復させるものではありません。
- タイミング: 一般的に5年~10年に一度が目安。防水層の種類や使用されているトップコート材、環境によって異なります。
- 作業内容: 高圧洗浄で汚れを除去し、下地処理を行った後、新しいトップコートを塗布します。
- ポイント: 比較的安価に実施でき、防水層の寿命を延ばす効果的なメンテナンスです。
2. 防水層の部分補修
- 目的: 防水層に生じた軽微なひび割れ、膨れ、シートの剥がれなどを部分的に修繕し、雨水の浸入を防ぐため。
- タイミング: 点検で不具合が発見された都度。
- 作業内容:
- 塗膜防水(ウレタン防水、FRP防水など)の場合: 劣化部分とその周辺の防水層を撤去し、プライマー塗布後、新たに防水材を塗布して補修します。
- シート防水の場合: 破れた箇所にパッチ(補修用シート)を貼ったり、剥がれた部分を専用の接着剤や熱で再接着したりします。
- ポイント: 全面的な防水工事に比べて費用を抑えられますが、あくまで応急処置的な意味合いが強い場合もあります。劣化が広範囲に及んでいる場合は、全面的な防水工事が必要です。
3. 防水工事(防水層の全面改修)
目的
劣化した既存の防水層を撤去またはその上から、新しい防水層を全面的に形成し、防水機能を完全に回復させるため。
タイミング
各防水工法の耐用年数(後述)が近づいたとき、または雨漏りが発生したり、防水層の劣化が著しい場合。
主な防水工事の種類と特徴
防水工事の種類 | 主な材料と工法 | 耐用年数(目安) | メリット | デメリット | 費用相場(/㎡) |
---|---|---|---|---|---|
ウレタン防水 | 液状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成。密着工法と通気緩衝工法がある。 | 10年~13年程度 | 複雑な形状にも施工可能。継ぎ目のないシームレスな防水層。比較的安価。 | 職人の技術力で仕上がりが左右される。定期的なトップコートの塗り替えが必要(約5~7年ごと)。シンナー臭が発生する場合がある。 | 約3,000円~7,500円(税込3,300円~8,250円) |
FRP防水 | ガラス繊維で補強されたプラスチック(FRP)で防水層を形成。 | 12年~20年程度 | 軽量で強度が高い。硬化が早く工期が短い。耐摩耗性、耐薬品性に優れる。 | 伸縮性が低いため、広い面積や木造の動きが大きい建物には不向きな場合がある。紫外線にやや弱い。費用が比較的高め。 | 約4,000円~8,000円(税込4,400円~8,800円) |
シート防水 | 塩化ビニル樹脂(塩ビシート)や合成ゴム(ゴムシート)などの防水シートを貼り付けて防水層を形成。密着工法と機械的固定工法がある。 | 10年~20年程度 | 耐候性が高く、比較的長持ち。シートの厚みが均一で品質が安定。広い面積の施工に適している。塩ビシートはトップコート不要な場合も。 | 複雑な形状や凹凸の多い場所には施工しにくい。シートの継ぎ目処理が重要。下地の影響を受けやすい。 | 約3,500円~7,500円(税込3,850円~8,250円) |
アスファルト防水 | アスファルトを含浸させたルーフィング類を複数枚重ねて防水層を形成。熱工法、トーチ工法、常温工法などがある。 | 13年~20年程度 | 防水信頼性が非常に高い。耐久性に優れる。押えコンクリートで保護することも可能。 | 重量があるため建物への負荷が大きい。施工時に臭いや煙が発生する場合がある(熱工法、トーチ工法)。費用が高め。下地の動きに弱い。 | 費用は工法により大きく異なる |
密着工法
下地に直接防水材を塗り付けたり貼り付けたりする工法。低コストですが、下地の水分や動きの影響を受けやすく、防水層に「膨れ」が生じやすいというデメリットがあります。
通気緩衝工法(絶縁工法)
下地との間に通気層や緩衝材を設ける工法。下地の水分を逃がし、「膨れ」を防ぐ効果があります。防水層が長持ちしやすくなりますが、費用は密着工法より高くなります。長期的な防水効果を期待するならこちらがおすすめです。
4. 排水口(ルーフドレン)の清掃・交換
- 清掃: 定期的に落ち葉やゴミを取り除き、排水機能を維持します。
- 交換: ドレン本体が破損したり、著しく錆びたりしている場合は交換が必要です。
5. パラペット・笠木の補修・交換
- シーリングの打ち替え: 劣化したシーリング材を撤去し、新しいものに打ち替えます。
- 塗装: パラペットの美観維持と保護のために塗装を行います。
- 笠木の交換: 笠木が破損したり、浮いたりしている場合は交換が必要です。
6. 勾配調整工事(必要な場合)
- 陸屋根の水はけが極端に悪く、常に水たまりができてしまうような場合は、モルタルなどで水勾配を修正する「勾配調整工事」を行うことがあります。ただし、屋根の重量が増加するため、建物の構造計算が必要になる場合があります。
7. 屋根の造作工事(陸屋根から勾配屋根へ)
- メンテナンスの手間や雨漏りリスクを根本的に解消したい場合、陸屋根の上に新たに勾配のある屋根を造作するリフォームも選択肢の一つです。
- 費用は高額になりますが、防水層の劣化を気にする必要がなくなります。
陸屋根のメンテナンスサイクル:いつ何をすればいいの?
陸屋根を長持ちさせ、雨漏りを防ぐためには、計画的なメンテナンスが不可欠です。以下に一般的なメンテナンスサイクルを示します。
メンテナンス内容 | 推奨頻度・タイミング | 備考 |
日常的な清掃・点検 | 年に数回(特に梅雨前、台風シーズン後など) | ご自身でできる範囲で。排水口の清掃が中心。 |
専門業者による定期点検 | 3年~5年に一度 | 防水層の状態、パラペット、笠木などを詳細にチェック。 |
トップコートの塗り替え | 5年~10年に一度(防水層の種類やトップコート材による) | 防水層の保護、寿命延長のため。 |
防水工事(全面改修) | 10年~20年に一度(防水工法の種類や施工品質、環境による。各防水層の耐用年数を参照) | 防水機能の完全な回復のため。 |
シーリングの打ち替え | 5年~10年に一度(パラペットと笠木の取り合いなど) | シーリング材の寿命に合わせて。 |
これはあくまで一般的な目安です。建物の状況や立地環境、使用されている防水材によってメンテナンスのタイミングは変わってきます。専門業者の点検結果に基づいて、最適なメンテナンス計画を立てることが重要です。
まとめ:計画的な点検と適切なメンテナンスで、陸屋根のメリットを最大限に!
陸屋根は、その形状から雨漏りのリスクが指摘されることもありますが、定期的な点検と適切なメンテナンスを計画的に行うことで、そのリスクを大幅に軽減し、屋上スペースの有効活用という大きなメリットを長期間享受することができます。
陸屋根の点検・メンテナンスで成功するための重要ポイント
- 陸屋根特有の弱点(水が溜まりやすい、防水層の劣化、排水口の詰まりなど)を理解する。
- ご自身でできる範囲での日常的なチェックを心がける(安全第一!)。
- 専門業者による定期的な点検(3~5年ごと)を必ず実施する。
- トップコートの塗り替え(5~10年ごと)で防水層を保護する。
- 防水層の耐用年数に合わせて、適切な防水工事(全面改修)を計画する。
- 排水口の清掃やパラペット・笠木のメンテナンスも忘れずに行う。
- 信頼できる専門業者を選び、建物の状態に合った最適な提案を受ける。
「うちの陸屋根、大丈夫かな?」と少しでも不安を感じたら、まずは専門業者に相談してみましょう。早期発見・早期対応が、結果的に大きな修繕費用を抑え、大切な住まいを長持ちさせることに繋がります。この記事が、あなたの陸屋根との上手な付き合い方を見つけるための一助となれば幸いです。
クイック屋根工事
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「兵庫県姫路市で屋根修理をお願いしましたが、親切な対応と確かな技術で大満足です!」(50代・女性)
「雨漏りが気になっていましたが、しっかりと原因を特定し、丁寧に施工していただきました」(40代・女性)
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