「ベランダや屋上の防水、ウレタン防水が良いって聞いたけど、種類がたくさんあってよく分からない…」
「”密着工法”と”通気緩衝工法”って、何が違うの?」
「うちの建物の状態だと、どのウレタン防水が一番合っているんだろう?」
建物を雨漏りから守るために非常にポピュラーな「ウレタン防水」。液状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成するため、複雑な形状にも対応しやすく、多くの建物で採用されています。
しかし、一口に「ウレタン防水」と言っても、実はいくつかの「工法の種類」があり、それぞれに特徴や適した場所、そしてメリット・デメリットが異なります。適切な工法を選ばないと、期待した防水効果が得られなかったり、早期に不具合が発生したりする可能性も…。
この記事では、
「ウレタン防水にはどんな種類の工法があるの?」
「それぞれの工法の特徴や違いを詳しく知りたい!」
「どの工法がうちの建物に適しているの?選び方のポイントは?」
「施工手順の概要も知っておきたい!」
といった疑問を解消するため、ウレタン防水の主要な工法の種類と特徴、メリット・デメリット、そして簡単な施工手順の概要まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します!
ウレタン防水とは?~塗って固める、シームレスな防水層~
まず、ウレタン防水の基本的な仕組みをおさらいしましょう。
ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を施工箇所に複数回塗り重ね、化学反応によって硬化させることで、ゴム状で弾力性のある継ぎ目のない(シームレスな)防水層を形成する工法です。
「塗膜防水(とまくぼうすい)」の一種であり、その手軽さや汎用性の高さから、戸建て住宅のベランダやバルコニー、マンションやビルの屋上、共用廊下など、幅広い場所で採用されています。
ウレタン防水の主な工法の種類:下地と防水層の関係性が鍵!
ウレタン防水の工法は、主に下地(防水層を施工する面)とウレタン防水層の間に何かしらのシートを挟むか、直接塗り付けるかによって、大きく分類されます。それぞれの工法の特徴と、どんな場所に適しているのかを見ていきましょう。
1. 密着工法(みっちゃくこうほう)
- 概要:
- 下地に直接プライマー(接着剤の役割)を塗布し、その上からウレタン防水材を塗り重ねて防水層を形成する、最も基本的な工法です。
- 「X-2工法」とも呼ばれることがあります。
- 特徴:
- 施工が比較的簡単で、工期も短く、コストを抑えやすい。
- 複雑な形状や凹凸の多い場所にも馴染みやすく、シームレスな防水層を作れる。
- 立ち上がり部分(壁と床の境目など)にも施工しやすい。
- メリット:
- 工事費用が比較的安い。
- 工期が短い。
- 狭い場所や複雑な形状にも対応しやすい。
- 既存の防水層の種類を選ばず、上から重ね塗りが可能な場合が多い。
- デメリット・注意点:
- 下地の水分に弱い: 下地が水分を含んでいると、太陽熱などで温められた際に水蒸気が発生し、防水層が風船のように膨れる「膨れ」が生じやすい。これが密着工法の最大の弱点です。
- 下地のひび割れに追従しにくい: 下地にひび割れが発生すると、防水層も一緒に切れてしまう可能性がある。(ただし、メッシュシートで補強することで多少改善可能)
- 雨漏りしている箇所や、湿気が抜けにくい下地には不向き。
- 適した場所:
- 比較的新しい建物で下地の状態が良い場所。
- 雨漏りや下地の水分が少ないことが確認できる場所。
- 戸建て住宅のベランダやバルコニー(小面積で、定期的なメンテナンスがしやすい場所)。
- 施工手順の概要:
- 高圧洗浄・下地処理(清掃、ひび割れ補修など)
- プライマー塗布
- ウレタン防水材1層目塗布(必要に応じて補強用メッシュシートを貼り付け)
- ウレタン防水材2層目塗布(規定の厚みを確保)
- トップコート塗布(防水層を紫外線などから保護)
2. 通気緩衝工法(つうきかんしょうこうほう)※絶縁工法とも呼ばれる
- 概要:
- 下地とウレタン防水層の間に、通気緩衝シート(絶縁シートとも呼ばれる特殊なシート)を貼り付け、その上にウレタン防水層を形成する工法です。
- 「X-1工法」とも呼ばれ、現在、屋上防水など比較的広い面積で最も信頼性が高く、多く採用されている工法の一つです。
- 特徴:
- 通気緩衝シートが下地からの水蒸気をシート下で拡散させ、脱気筒(だっきとう)と呼ばれる専用の排気装置から外部へ排出する仕組みを持っています。これにより、防水層の「膨れ」を効果的に防ぎます。
- シートが下地と防水層を絶縁するため、下地の動き(ひび割れなど)が防水層に直接伝わりにくく、防水層の耐久性が向上します。
- メリット:
- 防水層の「膨れ」を大幅に抑制できる。(最大のメリット)
- 下地の水分が多い場所や、既存防水層の上に重ねて施工する場合にも適している。
- 下地の動きに対する追従性が向上し、防水層が長持ちしやすい。
- 雨漏りしている箇所の改修にも有効。
- デメリット・注意点:
- 密着工法に比べて、材料費(通気緩衝シート、脱気筒など)と施工手間が増えるため、工事費用が高くなる。
- 工期も密着工法より長くなる。
- 脱気筒の設置が必要。
- 適した場所:
- マンションやビルの屋上など、広い面積の陸屋根。
- 既存防水層が残っている改修工事。
- 下地に水分を含んでいる可能性がある場所。
- 高い防水信頼性と耐久性が求められる場所。
- 施工手順の概要:
- 高圧洗浄・下地処理
- プライマー塗布
- 通気緩衝シート貼り付け
- シートジョイント部処理(テープなど)
- 脱気筒取り付け
- ウレタン防水材1層目塗布
- ウレタン防水材2層目塗布
- トップコート塗布
3. メッシュ工法(めっしゅこうほう)
- 概要:
- ウレタン防水材を塗布する際に、ガラス繊維などでできたメッシュ状の補強布(補強クロス)を防水層の中間に入れ込み、防水層の強度を高める工法です。
- 密着工法の一種として、または密着工法の補強として行われることが多いです。
- 特徴:
- 防水層の亀裂や破断を防ぎ、耐久性を向上させる。
- 特に、ひび割れしやすい箇所や、動きの大きい入隅・出隅部分、立ち上がり部分などの補強に適している。
- メリット:
- 防水層の強度と耐久性が向上する。
- ひび割れ抑制効果がある。
- デメリット・注意点:
- メッシュシートを入れない密着工法に比べて、材料費と手間が増える。
- 全面にメッシュを入れると通気緩衝工法よりコストメリットが薄れる場合があり、近年では主に立ち上がり部分や部分的な補強に使われることが多くなっています。
- 適した場所:
- 下地の動きが予想される場所。
- 立ち上がり部分、ドレンまわり、入隅・出隅などの補強。
- 密着工法で強度を高めたい場合。
- 施工手順の概要:
- 高圧洗浄・下地処理
- プライマー塗布
- ウレタン防水材1層目塗布
- メッシュシート伏せ込み(防水材が乾く前に貼り付け、馴染ませる)
- ウレタン防水材2層目塗布(メッシュシートを完全に覆う)
- トップコート塗布
ウレタン防水の主要3工法 比較まとめ
項目 | 密着工法 | 通気緩衝工法(絶縁工法) | メッシュ工法(密着工法+補強) |
---|---|---|---|
概要 | 下地に直接塗布 | 通気緩衝シート+脱気筒 | 補強用メッシュシートを挟み込む |
防水層の膨れ | 発生しやすい | 発生しにくい | 密着工法なので発生の可能性あり(通気性はなし) |
下地への追従性 | やや劣る | 比較的良い | 向上する |
耐久性(目安) | 約10年 | 約13~15年 | 密着工法より向上(約10年~12年程度) |
費用 | 比較的安い | 比較的高い | 密着工法よりやや高い |
工期 | 短い | 長い | 密着工法よりやや長い |
適した場所 | 下地状態が良い小面積(ベランダ等) | 広い面積(屋上等)、下地に水分懸念、改修工事 | 立ち上がり、部分補強、密着工法の強度アップ |
雨漏り有効度(※) | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ★☆☆☆☆(全面の場合。部分補強としては有効) |
※雨漏り有効度は、一般的な傾向を示すものであり、実際の効果は施工状況や下地の状態により異なります。 |
4. 高強度ウレタン防水工法(こうきょうどうれたんぼうすいこうほう)
- 概要:
- 通常のウレタン防水材よりも強度や耐久性に優れた「高強度(高物性・高伸長タイプなど)」のウレタン防水材を使用する工法です。基本的には密着工法で施工されます。
- 特徴:
- 防水層の物理的な強度(引張強さ、引裂強さなど)が高く、破れにくい。
- 耐摩耗性にも優れている場合がある。
- メリット:
- 防水層の耐久性が向上する。
- 衝撃や摩耗に強くなる。
- 特に、通気緩衝工法の立ち上がり部分など、強度と柔軟性が求められる箇所に採用することで、全体の防水性能を高め、工期を短縮できる場合があります。
- デメリット・注意点:
- 通常のウレタン防水材より材料費が高くなる。
- 下地の水分による「膨れ」のリスクは密着工法と同様に存在する。
- 適した場所:
- 人の歩行が多い場所。
- 衝撃や摩耗が予想される場所。
- 立ち上がり部分の補強。
- 施工手順の概要:
- 基本的には密着工法と同様の手順ですが、使用するウレタン防水材が高強度タイプとなります。
5. オルタックバリボード工法(おりたっくばりぼーどこうほう)
- 概要:
- 比較的新しいウレタン防水の改修工法の一つで、既存の防水層の上に「バリボード」と呼ばれる特殊なアスファルト含浸パネルを敷き込み、その上に「オルタックシート」という絶縁・通気機能を持つシートを敷設し、さらにその上にウレタン防水層(密着工法または通気緩衝工法)を施工する複合的な工法です。
- 特徴:
- 既存防水層を撤去せずに施工可能なため、工事中の雨漏りリスクを抑え、廃材も削減できる。
- バリボードが下地調整の役割も果たすため、下地処理の手間を簡略化でき、工期短縮やコスト削減に繋がる場合がある。
- オルタックシートによる通気・絶縁効果で、防水層の「膨れ」を抑制する。
- アスファルトパネル(バリボード)による高い耐久性が期待できる。
- メリット:
- 既存防水層の撤去不要(アスベスト含有防水層の改修にも有効な場合がある)。
- 下地処理の簡略化による工期短縮・コスト削減の可能性。
- 高い耐久性と防水信頼性。
- 「膨れ」のリスク低減。
- デメリット・注意点:
- 比較的新しい工法のため、施工実績のある業者が限られる可能性がある。
- 材料費が他の工法より高くなる場合がある。
- 適した場所:
- 既存防水層がアスファルト防水やシート防水などで、撤去が困難または高コストな場合の改修。
- 下地の状態があまり良くないが、全面撤去を避けたい場合の改修。
- 高い耐久性と信頼性が求められる屋上。
- 施工手順の概要:
- 高圧洗浄・下地処理
- バリボード(アスファルトパネル)敷設
- オルタックシート敷設(専用テープで固定)
- ウレタン防水層施工(密着工法または通気緩衝工法に準じる)
- トップコート塗布
どのウレタン防水を選べばいい?~建物と目的に合わせた選択のポイント~
「結局、どのウレタン防水が良いの?」と迷ってしまいますよね。最適な工法を選ぶためには、以下のポイントを考慮しましょう。
- 施工場所の状況
- 下地の状態: 水分を含んでいるか、ひび割れが多いか、凹凸があるかなど。
- 既存防水層の種類と状態: 改修工事の場合、既存の防水層が何か、劣化はどの程度か。
- 面積と形状: 広い平らな屋上か、狭く複雑な形状のベランダか。
- 求める防水性能と耐久性
- どの程度の期間、防水性能を維持したいか。
- 雨漏りのリスクをどれだけ低減したいか。
- 予算
- 各工法の費用(初期費用と将来的なメンテナンス費用)を比較検討する。
- 建物の種類と用途
- 木造かRC造か、人の歩行があるかないかなど。
- 業者からの提案内容
- なぜその工法を勧めるのか、理由をしっかりと説明してくれる業者を選びましょう。
一般的な選択の目安
- 新規防水で下地状態が良い、または小面積(ベランダなど): 密着工法(+必要に応じてメッシュ補強)
- 屋上など広い面積、改修工事、下地に水分懸念がある場合: 通気緩衝工法
- 強度や耐久性を特に高めたい部分(立ち上がりなど): 高強度ウレタン防水
- 既存防水層の撤去を避けたい、下地調整を簡略化したい改修: オルタックバリボード工法
まとめ:ウレタン防水の種類を理解し、最適な防水工事で建物を守ろう!
ウレタン防水は、その汎用性の高さから多くの建物で採用されている優れた防水工法です。しかし、その効果を最大限に引き出し、長持ちさせるためには、建物の状態や目的に合った「工法の種類」を選ぶことが非常に重要です。
ウレタン防水の種類を選ぶ際の重要ポイント
- 密着工法: コストを抑えたい、下地状態が良い場合に。ただし「膨れ」のリスクに注意。
- 通気緩衝工法: 最も信頼性が高く、雨漏りや「膨れ」のリスクを大幅に低減。改修工事にも最適。
- メッシュ工法: 防水層の強度アップに。主に部分的な補強で使用。
- 高強度ウレタン防水: 耐久性・耐摩耗性を高めたい場合に。
- オルタックバリボード工法: 既存防水層撤去なしでの高耐久な改修に。
どの工法が最適かは、専門的な知識と経験を持つ業者でなければ正確に判断できません。必ず信頼できる防水工事専門業者に現地調査を依頼し、建物の状態をしっかりと診断してもらった上で、最適な工法の提案を受けましょう。
この記事が、あなたのウレタン防水工事計画の一助となれば幸いです。
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