「屋根の”唐草”って、あの風呂敷の模様のこと?」
「見積書に”唐草”って書いてあるけど、一体どこの部品なの?」
「屋根の端っこにある金属の板、あれが唐草?」
屋根工事の見積もりを見たり、屋根の専門家と話をしたりする中で、「唐草(からくさ)」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。普段あまり意識することのない部分ですが、実はこの「唐草」、私たちの住まいを雨水の脅威から守るために、非常に重要な役割を果たしている「縁の下の力持ち」なのです。
この記事では、
「屋根の唐草って、具体的にどの部分を指すの?」
「どんな役割があって、なぜ必要なの?」
「唐草にも種類があるの?費用はどれくらい?」
「劣化したらどうなる?メンテナンスはどうすればいい?」
といった疑問を解消するため、屋根の「唐草」の基本から、その重要性、種類、費用、そして長持ちさせるためのポイントまで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します!
屋根の「唐草」とは?~名前の由来と設置場所~
まず、「唐草」という言葉の由来と、屋根のどの部分に取り付けられるのかを見ていきましょう。
「唐草」の名前の由来
「唐草」と聞くと、多くの方が緑色の風呂敷などに描かれている、つる草が絡み合う「唐草模様」を思い浮かべるのではないでしょうか。実は、屋根の部材としての「唐草」も、この唐草模様と深いつながりがあります。
かつて、日本の伝統的な瓦屋根では、軒先の瓦(軒瓦)の先端に、装飾として「唐草模様」が施されることが一般的でした。この軒先の装飾瓦に由来して、次第に屋根の軒先に取り付けられる部材そのものを「唐草」と呼ぶようになったと言われています。
「唐草」が設置される主な場所
現代の住宅において、「唐草」または「唐草板金」と呼ばれる部材は、主に屋根の先端部分(外周部)に取り付けられる金属製の水切り部材を指します。具体的には以下の2箇所です。
- 軒先(のきさき)
- 屋根の低い方の端で、雨樋(あまどい)が取り付けられる部分です。
- ここに取り付けられる唐草を「軒先唐草」と呼びます。
- ケラバ
- 切妻屋根や片流れ屋根の、雨樋がついていない側の屋根の端部(妻側)です。
- ここに取り付けられる唐草を「ケラバ唐草」と呼びます。
つまり、唐草は屋根材の最も外側を囲い込むように設置され、屋根の輪郭を形作る重要な部材の一つなのです。特に金属屋根への葺き替えや屋根カバー工法の際には、必ずと言っていいほど必要になる部材であり、見積書にも記載されます。
唐草の超重要任務!~ただの飾りじゃない、雨仕舞の要~
「屋根の端っこにあるただの板金でしょ?」と思うかもしれませんが、唐草は見た目以上に重要な役割を担っています。その主な任務は「雨仕舞(あまじまい)」、つまり雨水を適切に処理し、建物内部への浸入を防ぐことです。
▼ 雨仕舞いについて詳しくはこちら
【軒先唐草の主な役割】
- 雨水を雨樋へスムーズに誘導
- 屋根面を流れ落ちてきた雨水を、軒先に設置された雨樋へと確実に導きます。
- これにより、雨水が軒先から直接地面に垂れ落ちたり、外壁を濡らしたりするのを防ぎます。
- 軒先の木材(鼻隠し・軒天など)を雨水から保護
- 軒先の先端部分(鼻隠し:はなかくし)や軒の裏側(軒天:のきてん)は木材で作られていることが多く、雨水にさらされると腐食しやすくなります。
- 軒先唐草は、これらの木部を雨水から守り、耐久性を高める役割があります。
- 毛細管現象による水の吸い上げ防止
- もし唐草がないと、軒先の屋根材の裏側に雨水が回り込み、毛細管現象(細い隙間を水が吸い上げられる現象)によって屋根内部へと水が浸入してしまう可能性があります。
- 軒先唐草は、この水の逆流を防ぐ「水切り」としての重要な機能を持っています。
【ケラバ唐草の主な役割】
- ケラバ部分の雨仕舞
- 軒先唐草と同様に、ケラバ部分を伝う雨水が屋根の内部や外壁(破風板:はふいた)に浸入するのを防ぎます。
- 破風板の保護
- ケラバの先端に取り付けられる破風板を雨水や紫外線から保護し、劣化を抑制します。
- 屋根材の固定補助
- 強風時に屋根材(特に端の部分)が煽られて飛散するのを防ぐ役割も担っています。
このように、軒先唐草もケラバ唐草も、屋根の端部からの雨水の浸入を防ぎ、下地となる木材を保護するという、建物の寿命を左右する非常に重要な役割を担っているのです。まさに「縁の下の力持ち」と言えるでしょう。
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唐草にも種類がある?~素材と形状~
一般的に「唐草」と呼ばれるものは、現代の住宅では金属製(主にガルバリウム鋼板など)のものが主流ですが、歴史的背景や用途によっていくつかの種類に分類できます。
| 種類 | 主な素材 | 特徴 |
| 金属製唐草 | ガルバリウム鋼板、ステンレス、銅、ブリキなど | 耐久性が高く、加工しやすい。現在の主流。銅製は緑青による風合いの変化も楽しめるが、高価。 |
| 瓦唐草 | 陶器(瓦) | 伝統的な瓦屋根の軒先や棟に使用される装飾的な瓦。瓦の固定と雨仕舞を兼ねる。耐久性に優れる。 |
| 木製唐草 | 木材 | 伝統的な日本家屋の軒先や破風板に見られる。木の温もりと美しさが特徴。防腐処理が必要。現代では金属製唐草で木部を覆うことが多い。 |
現在、新築やリフォームで一般的に使用される「唐草」は、ガルバリウム鋼板などの金属を加工して作られた「金属製唐草(板金唐草)」がほとんどです。これは、耐久性、加工性、コストパフォーマンスに優れているためです。
また、既製品として様々な形状や寸法のものが販売されていますが、現場の状況に合わせて板金職人が金属板を折り曲げて製作(加工)することも多くあります。この加工技術の精度が、雨仕舞性能を大きく左右します。
唐草の費用はどれくらい?~見積書の見方と注意点~
屋根工事の見積書に「唐草」や「軒先唐草」「ケラバ唐草」といった項目があった場合、その費用はどの程度なのでしょうか?
- 費用の目安
- 使用する材料(金属の種類や厚み)、加工の手間、屋根の形状や長さによって費用は変動します。
- 一般的に、1メートルあたり3,000円前後が目安とされることが多いようです。
- ただし、これはあくまで材料費と基本的な加工・取り付け費を含む場合であり、足場代や既存の唐草の撤去費用などは別途かかることがあります。
- 見積書の記載方法
- 「唐草 一式 〇〇円」とまとめて記載される場合もあれば、「軒先唐草 〇〇m × 単価 = 金額」「ケラバ唐草 〇〇m × 単価 = 金額」のように詳細に記載される場合もあります。
- 材料費と加工費が別々に記載されることもあります。
- 注意点
- 見積もりを比較する際は、単に「唐草」の金額だけでなく、どのような材料を使用するのか、どのような加工・取り付けを行うのかといった詳細を確認することが重要です。
- 極端に安い場合は、材料の質が低い、必要な加工が省略されているなどの可能性も考えられます。
唐草の劣化とメンテナンス:放置すると雨漏りの危険大!
唐草も、雨風や紫外線に常にさらされているため、経年劣化は避けられません。唐草の劣化を放置すると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 雨水の浸入
- 唐草本体のサビや穴あき、変形、固定の緩みなどにより、雨水が軒先やケラバの内部に浸入しやすくなります。
- これが進行すると、軒天や破風板、さらには屋根下地(野地板)の腐食、雨漏りへと繋がります。
- 美観の損ない
- サビや塗膜の剥がれは、屋根全体の見た目を悪くします。
- 雨樋への影響
- 軒先唐草が変形すると、雨水が雨樋にうまく流れ込まず、雨樋の外側から水が溢れたり、軒先から直接水が滴り落ちたりすることがあります。
唐草のメンテナンス方法
- 定期的な点検
- ご自身で屋根に登るのは非常に危険ですので、屋根塗装や外壁塗装などのメンテナンスの際に、専門業者に一緒に点検してもらうのがおすすめです。
- 特に、サビ、変形、固定の緩み、シーリングの劣化などがないかを確認します。
- 清掃
- 汚れやゴミが溜まっている場合は、柔らかいブラシなどで清掃します。(高所作業は専門業者に依頼)
- 部分的な補修
- 軽微なサビであれば、サビを落として錆止め塗装を施すことで対応できる場合があります。
- シーリングの劣化であれば、打ち替えを行います。
- 交換
- サビがひどい、穴が開いている、大きく変形している、固定が著しく緩んでいるといった場合は、部分的な補修では対応しきれないため、新しい唐草に交換する必要があります。
- 屋根の葺き替えやカバー工法の際には、基本的に新しい唐草に交換します。
唐草の取り付け・修理は専門業者へ!
唐草の取り付けや修理は、屋根の寿命を左右する非常に重要な作業です。
特に、現場で金属板を加工して唐草を製作・設置する場合は、板金職人の高い技術と経験が求められます。
施工が不適切だと、雨水が浸入し、かえって腐食を早めてしまうことにもなりかねません。
DIYでの作業は非常に危険であり、また専門的な知識も必要なため、必ず実績の豊富な屋根工事会社や板金業者に依頼するようにしましょう。
まとめ:屋根の「唐草」は小さな巨人!その役割を理解し、適切にメンテナンスを
屋根の「唐草」は、普段あまり注目されることのない部材かもしれませんが、雨水の浸入を防ぎ、建物の耐久性を高めるという、非常に重要な役割を担っています。
唐草を理解する上での重要ポイント
- 唐草は、屋根の軒先やケラバに取り付けられる水切り部材。
- 主な役割は、雨水を適切に雨樋へ誘導し、軒先やケラバの木部を雨水から保護すること。
- 雨仕舞の要であり、建物の寿命に大きく関わる。
- 金属製が主流だが、瓦製や木製も存在する。
- 費用は材料や加工により変動するが、1mあたり3,000円前後が目安。
- 劣化を放置すると雨漏りの原因になるため、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠。
- 取り付け・修理は、高い技術が求められるため、必ず専門業者に依頼する。
「たかが屋根の端の板金」と侮らず、その大切な役割を理解し、適切なメンテナンスを行うことで、住まいを雨水の脅威から守り、長く快適に暮らすことができます。
屋根のリフォームや点検の際には、ぜひこの「唐草」にも注目してみてください。
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「雨漏りが気になっていましたが、しっかりと原因を特定し、丁寧に施工していただきました」(40代・女性)
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